いささか古くなったけど、沖縄県の辺野古作業停止指示の話、これもなんでこんなことをするのか理解不能と思ったのでメモ。やり方として、無理押しというのはここを突破すれば必ず地平が開けるという場合にやるもので、まだ先があるのに(知事さんが黙ってるわけないでしょ?)ここで押してどうするよ、と驚いた。
沖縄県知事の辺野古作業停止指示、林農相が効力一時停止
ロイター 3月30日(月)9時29分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150330-00000018-reut-n_ame
[東京 30日 ロイター] - 林芳正農林水産相は30日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設をめぐり、翁長雄志沖縄県知事が沖縄防衛局に出した辺野古沖の作業一時 停止指示について、効力を一時停止すると発表した。沖縄防衛局は、作業一時停止指示の執行停止を申し立てていた。
ロイターの記事では何の法律に基づきこの権限が出て来るのか書いてなくて、どういう経緯なのかよくわからなかったので後で考えようとか思っていた。でも詳しい記事はないようだ。
おそらくこういうことだろうというあたりをメモしておくことにする。
(1) 沖縄県が沖縄防衛局に、辺野古での作業停止を指示した
(2) 沖縄防衛局が、(1)の沖縄県の下した作業停止処分は問題だ、と農水省に申し立てる
(3) 農水省が、沖縄県の下した作業停止処分を執行停止した。根拠法は行政不服審査法らしい。
あれ、と思うのは農水省ってこの件に関しての処分行政庁として適格なの?というあたり。
きっとこれは水産資源保護法あたりが農水省の管轄だから・・・なの? しかし、埋立を実行するための関連法って他にもあるでしょ、公有水面埋立法とかとか。そことの調整はどうなるんだろう。
埋立法だと所轄官庁が国交省なので公明党が乗ってくれなくて、だから林さんに頼んだとかいう話 ^^;?
というより、そもそも、国の機関に等しい沖縄防衛局が関連法の一部を根拠として地方自治体の処分を不服として国に申し立てができ国レベルの行政庁が執行停止できる、という形式がOKだったら、国と地方自治体が争う場合、やろうと思えば殆ど国の勝ちみたいになっちゃうんじゃないの、これ?と思ったりする。つまりいくらでも逆手に取れる。少なくともどこかで公平性を担保する仕組みにしないとならないのではあるまいか。
私が思いつくぐらいだからエキスパートの人がきっとそのうちどこかで書いてくれることを期待しておく。
しかし、ああしかし、前のエントリーの軍と憲法のすり合わせの話もそうだけど、この政権は一体なぜここまで悪手が好きなのか。理解に苦しむ。
でも、一方でその経緯がよくわからない人々は多数なので、沖縄は国の言うことを聞かない~、なんてことだ、みたいな感じで推移するんだろうと思う。
しかし、いやしかし、確かに防衛問題は大事だけど、国内法を適正に運用しないでなんでもかんでも「防衛問題だから」で押し通すというのは、それってこう、先軍主義ですかみたいな。
さらに、どう考えても状況からこれで終わりにはならないでしょう。つまりね、沖縄県の人たちだっていろんな意見の人がいるだろうけど、こうやって妙に高圧的なことをされると、当初はまったく思ってもいなかった人でも独立した方がいいとかいう話の方に気持ちが緩む可能性が増大する。
ということは、本土でわ~わ~中国は脅威だ、国の言うことに従わないお前らはサヨクだ反日だと騒いでいる人たちは、自らの意図に反して沖縄を一歩づつユーラシア側に送り出しているも同然ではなかろうか。
この様子は韓国を巡る動きと非常に似ている。前に書いた通り、私はこの動きが不思議でならない。
韓国とフィンランド化
いずれにしても、形式的に完璧な選挙を経て出て来た地方自治体の長を表だって蔑ろにするということは民主主義的に良いやり方ではないので、アメリカとしても沖縄についての懸念を大きくさせる方向に行く。日本国法に違反する軍隊と、民主主義的手続きを毀損して維持される基地を使って行動するってどうなの、俺ら、みたいな(笑)。
なんてかこう、この政権は不思議な政権だ。
日本人のための憲法原論 | |
小室 直樹 | |
集英社インターナショナル |