1カ月ぐらい前、ラッカを米支援の「シリア民主軍」が解放したというニュースがあった。
しかし、そこにいたISはどうしたんでしょう? アメリカの黙認の下に、ISさんたちは移動したみたいですよという話。行き先は多分トルコと考えられており、トルコもそれを懸念している。
アメリカ軍の広報の人は捕えた人たちを選別して、シリア民主軍の人とその他の人に分けて、要するにそれらは市民だから逃した、というんだが、ジャーナリストは、そこにはISの戦闘員は入ってないと言えるかと尋ね、広報官は全員がどこから来たかまで100%答えることはできないと答えている。
Hundreds of terrorists feared to have fled Raqqa on US watch
見ればわかるけど、広報官は無茶苦茶自信がない、かつ、不機嫌というより不承不承という感じがある。なんで俺がこんな役やってんだよと思ってるんだろうなぁ、って感じ。
そりゃそうでしょう。だってISにしたって、シリア民主軍にしたって、米軍が勝手に他国に潜入させた、シリアから見たら完全な侵略者であることに変わりはないですから。
それをあれやこれやと理由を付けて、あたかも何か正しいことをしているかのような報道をさせて、全世界を欺いているのが今のアメリカ、特に中東に派遣されているいわゆる米中央軍。
でもまぁ米中央軍は多少なりともケリを付けたがっているんだろうとは思う。付けたくないのは、そこじゃなくて、ここまで嘘をつきまくった世界の主流メディア(そしてそこを広報代わりにしているその上のレイヤーの人たち)でしょう。
いやぁ、惨めなものを見た。
しかし、この話はここで終わらない。
なんと、BBCが、何百人ものIS戦闘員とその家族が、米軍と英軍が主導する連合と現地をコントロールしているクルド部隊が見守る中、ラッカを逃れていたことが発覚した、と報じている。
http://www.bbc.co.uk/news/resources/idt-sh/raqqas_dirty_secret
The BBC has uncovered details of a secret deal that let hundreds of IS fighters and their families escape from Raqqa, under the gaze of the US and British-led coalition and Kurdish-led forces who control the city.
発覚したって、最初から傭兵使ってるんだから、そういうスキームだろうが、とは思うし、いろいろ取り繕っている記事だとは思うが、いずれにしても、つい最近までの、英米軍はすべて正しい、悪いのはアサドというスタンスから見ると、ちょっとだけ勇気を持ったらしいと言いたい。
もちろん、ダメージコントロールしてるわけですけどね。一部の真実を見せて、そのぐらいならしょうがないと見せるというやつ。
そして、今後行われるシリアの政治決着を前に、私たちにも悪いところはあったんですが、みたいな切り口を作ろうとしているということだと思う。どこまでも薄汚く、どこまでも腹黒い、そんなあなたが世界支配、ってのが現状ですからね。だってみんなBBCを標準的に良質だと思ってるんでしょ? で、問題は多くの人のこの思い込みなわけですよ。ここを突破しないと、人々の側からのそれは違うだろう、それは違法だろう、不道徳だろう、というのを表現できるパスを存在させられない。
とはいえ、変化は変化。
「アメリカが航空機によりシリアのISISを移送、移送先は不明
http://parstoday.com/ja/news/middle_east-i32210
でもまだRTには遠く及ばないBBC。だって、ほんとの取材はしてないもん! RTの戦争報道はジャーナリストが命がけ。BBCはロンドンで気持ちよく作文。
☆2017年07月02日19時51分から☆