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冷戦期、米国諜報機関は1000人ものナチをスパイとして使っていた

2014-10-28 13:44:48 | 欧州情勢複雑怪奇

妙な記事。

ナチの残党をアメリカが使っていたというのは全然目新しい話ではないのだけど、ニューヨークタイムスにさも新しいことのように寄稿が載るということがニュースかも。

In Cold War, U.S. Spy Agencies Used 1,000 Nazis
(冷戦期、米国諜報機関は1000人ものナチをスパイとして使っていた)
By ERIC LICHTBLAUOCT. 26, 2014
http://www.nytimes.com/2014/10/27/us/in-cold-war-us-spy-agencies-used-1000-nazis.html?_r=0

この記事は 10月28日発売のEric Lichtblau著の“The Nazis Next Door: How America Became a Safe Haven for Hitler’s Men,”(隣のナチ:アメリカはどのようにしてヒトラーの男たちの避難場所となったのか)という本を紹介しているとも言える。なにせ寄稿しているのは著者本人。

内容のハイライトは、CIAおよびFBIは最低でも1000人の元ナチの人物を、冷戦中対ソスパイの協力者として使っており、それらの内容が新規に開示されたファイルとインタビューによって確かめられたというのが趣旨のようだ。

The Nazis Next Door: How America Became a Safe Haven for Hitler's Men
Eric Lichtblau
Houghton Mifflin Harcourt


冷戦期のスパイとしてナチ残党を雇うことには殆どモラル的な考慮はなされなかった云々というインタビューによる談話がある一方で、80年代には、司法省がFBIに同省の16人についてナチスとの関係を問いただしたが、FBIは完全拒否をしていたというエピソードがあるようなので、アメリカ国内でもそれはそれなりに問題視されていたんだろうなとは思う。

■ 冷戦期だけではないナチとの関係

しかし、この本が目立つと、妙な誘導がなされるのじゃないのか、などとも思える。(本を読んでないからなんとも言えないけど)

なぜなら、米国およびカナダに入って来たナチ関係者は、なにも冷戦期だけでなく、また、ドイツ本国のナチ関係者だけではなかったから。

アメリカ、カナダは、ナチシンパだったウクライナ西部とかバルト3国、ポーランドあたりの人々を大量に庇って、移住させて、その人たちが現在の反ロシア運動の中心者になっている。

このへんで書いたところ。

ウクライナ・ナチス・アメリカの隠しておきたい関係

西側という宗教


で、このへんのことが今回のウクライナ危機をきっけかに世界中のかなりのところに(こんな遠くの日本にさえ)知られてしまった。

ひょっとして、NYTがこの著作を取り上げる理由はこういう状況をカバーアップしたいのかな~とか思ってみたりもする。

冷戦期だから、対ソ戦略の一環としてナチを庇っただけですよ、と言いたいと。

しかし、時系列で考えればそれはおかしいわけね。

1945年4月以前にウクライナ西部あたりでナチの味方になるということは、当然のことながらソ連=ロシアにしてみれば、敵を誘導した裏切り者になる。

ということは、実のところ第二次世界大戦中においては、ソ連と連合していた米軍、英軍にとっても、それらのナチ協力者は敵なわけですよ。つまり自国兵士の敵を自国が庇うという事態が発生していた、と。

理由としては反共なんだけど、だったらなんで戦争で同盟してんだよ、という話にもなる。

また、そもそもウクライナ西部とかクロアチアあたりのナチスもびっくりしたぐらいの過激な民族主義者たちというのは誰が養成していたんだ?というのも実は結構な問題なんじゃないのか、など私は思ってる。ドイツ軍は入っていって、そのあまりの残虐さに驚いたというエピソードが知られているので、それはつまりドイツ軍の関与以前になんらかの過激集団が出来ていたということ。現在のウクライナの極右勢力も誰かが資金を出さなけりゃあんなに持続的に力を持てないっしょ。

カトリック聖職者のウスタシャへの関与

総合的には、ラットライン作戦として知られている動き。


ぶっちゃけ、そもそもナチを作ったのは英米独に関係するか住まいするかした資本家さんたちだしね、と言ってしまえば身も蓋もないんだけど、でも結局問題はそのへんに収斂されるのかなぁとは思う。

アメリカはなぜヒトラーを必要としたのか/菅原 出


■ 歴史がほどけていく

そういうわけで、まぁその、だんだんいろいろと表に出てきて興味深い。今年の最初に「正史との戦い」とかいって、私たちはずっと「正史」を信じ込まされているけど、これはそう正しいとは限らないみたいなことを呑気に書いていたけど、2月にウクライナでクーデーター騒ぎが起って以来、「正史」という物語を正面に据えることで忘却用バッグに押し込まれていた別の物語があふれ出てきたという気がする。

前にも書いたけど、EU/USAは、なんでウクライナという血なまぐさい地でクーデーターなんていうアホなことをしたんだろう、と不思議でならない。

このままいくと、次はユダヤ人とボリシェビキ、コミンテルンあたりに行くのかなとちょっと期待しちゃう。で、そうやって辿っていけば、ポーランドとユダヤ人という話とか、西方カトリックと東方正教会の問題にもタッチしそう。楽しい時代じゃないか!


 

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