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ウクライナ雑報(国ごとに考えるから間違う)

2015-02-07 08:45:17 | 欧州情勢複雑怪奇

どこまで行っても不透明なウクライナ戦線は、とりあえず山場を迎えている模様(今後も何度もある山なのかもしれないわけだが)。

独仏首脳がロシア大統領と会談―ウクライナ和平で対案提示へ

 西側政府当局者によれば、プーチン・ロシア大統領は今週初め仏独に秘密裏に和平提案を提示したが、親ロ派に有利な内容だったことから、西側諸国は同提案を拒否した。メルケル独首相とオランド仏大統領は5日、キエフでポロシェンコ・ウクライナ大統領と緊急会談を行い、その後モスクワに向かった。独仏首脳は6日プーチン大統領と会談し、米国の支持を得た対案を提示する見通し。
http://jp.wsj.com/articles/SB12052756172436844285404580444383022962808

ドイツのメルケル、フランスのオランドがキエフで話し合った後モスクワに飛んで、プーチンと5時間ぐらい話したらしい。その内容は日曜日に発表されるらしい。

どうしてこうなったのか。直接的なきっかけは、ドンバスの勢力が強まって、またまた再度再再度キエフ政権側が囲まれているような恰好になっている上に、ドンバスのいわゆる親ロシア派、又の名をノボロジア側が今回は非常に強気なので、キエフ軍壊滅状態何度目?みたいな状況になりそうな感じだからでしょうね。

一応西側的には、軍事的緊張が高まったとか書いてるけど、そもそもキエフ政権が何回目かの徴兵をかけたら、ウクライナ人たちが徴兵拒否多数、みたいなことになっているので、状況的にキエフ政権が非常に不安定になっているというのもあると思う。もちろん、そんなこと関係ねーと米・欧の傀儡政権ならではの政策を取るんだけど、4000万人以上の人間のうち一体どれだけの人がキエフ政権に従ってるかといえば、もう相当怪しいでしょう。

ロシアは徴兵忌避の人来てもいいですよ、みたいなことを言っていた。

ウクライナ市民には戦う気はない
http://japanese.ruvr.ru/2015_01_28/282523158/

ウクライナ政権は兵役義務のある市民が動員を拒否したことに対し、これを非難している。刑事犯罪に問われると脅しても、兵役義務のある市民の半数は様々な手段を用い、徴兵逃れに必死だ。これより以前、プーチン大統領は戦争拒否を行うウクライナ国民に対し、ロシアに移住し、兵役義務の期間をやり過ごすよう提案していた。

そういうわけで、西側メディアはいろいろ言ってるけど、私が思うに、ここで割って入らないければキエフ政権が不評の中で崩壊しちゃいそうだ、使い物にならんやんけ、ということなんじゃなかろうか。だから焦ってメルケルとオランドがアメリカのお使いになってモスクワに行った、というところではないのか。

この人たちは、ウクライナ人が何万人死のうが、無益で身勝手な徴兵に晒されようが、ただの一度も哀悼の意も怒りも示したことがないという、ものすごい非・人間的な集団だから、自己保身目的以外に慌てる理由はないでしょう。

たとえウクライナ人がどれだけ死のうが、キエフ軍が弾道ミサイル使おうが、クラスター爆弾使って市民生活をずたずたにしようが、報道しないことはないこと、この原則こそが我々西側の原理なのです、とか言ったら面白いんだけど(笑)。言明しないものは存在しないのです、って哲学的には興味深い議論だけど・・・。

■ 見どころ1: アメリカは軍を維持できるのか

この状況で見どころ1は、アメリカはウクライナに武器を出すのか、という話。

上のウォールストリート・ジャーナルは、

  米政府当局者はこのほど、親ロ派のさらなる侵攻を阻止するため、ウクライナに対し対戦車ミサイルや小型武器、弾薬などを供与することを検討していると明ら かにした。ホワイトハウスのアーネスト報道官も5日、大統領はウクライナとの関係に基づきより幅広い戦略について決定する権限を持っていると語った。独仏 はウクライナへの武器の供与には反対している。

と、まるで現状を受けてアメリカがウクライナへの武器の供与の話が出たみたいなすっとぼけ た書き方をしているけど、こんなことが起こる前に既に年末に議会が6人の議員以外の全員の賛成でウクライナに武器支援を可能にする法案を可決して、オバマ も一応それに署名してしまっている。

だから、騒ぎを大きくしたのはいつものようにアメリカではあるわけね。こんなことされたら所帯の小さいドンバスは構えるしかないでしょ。ついでにいえば、この間、武器だけじゃなくてアメリカ人、イギリス人の兵隊がウクライナに入っていることが youtubeの動画で晒されたりしていたし、雑駁にいって、キエフ政権の軍は米・欧、またはNATO関係国が寄せ集めた組織だと思えばいいんじゃないでしょうか。

で、この様子は要するにリビア、シリアとマそっくり。外国人をわらわら入れてその国の住民を犬猫以下の物体として殺害するか、それができなければどこかに移動させてそこを支配下に置こうという算段。他者の存在も暮らしも単なるコンバーチブルな物体でしかない。

ウクライナはロシアがいたからそこまで無茶なことができずにいるのに過ぎない。

さて、これは一体なんだろう。これは戦争ではないわけです。単なる破壊。そう、私が思うにアメリカという国家が現在問われているのは、あんたらただの破壊屋になり下がるのかという点だと思う。もっと直接的にいうのなら、米軍は名誉を失う組織でもういいのか、諦めるのかということでしょう。正規軍の一部は確実にネオコン&民主党介入主義者に反対していると思える行動が多々あるわけだけど、それはやっぱり軍という組織には名誉がなければただの殺人者軍団になってしまうから、こういう意味不明な外征ばっかりやらされている状況を変えたいのではなかろうかと考える。

しかしまぁどんな屁理屈を使ってでもアメリカの武器支援を世界中に行いたいマケインみたいな狂犬がいる以上、もはやアメリカの凋落には拍車がかかってるとも思うけどね。強けりゃ勝てるっていうのは終末論に毒された人たちに共通した妄想。ここに根深い宗教右派(日本にも別種の宗教右派がいる)の影響がある。

パット・ブキャナンは、もうこのへんでアメリカはウクライナに戦争じゃなくて平和をもたらす正直な仲介者になれ、とか書いてたけど、既にビクトリア・ヌーランド等政府高官がクーデーターを焚き付けた殆ど現行犯みたいな犯人たちなので、アメリカが立場的に中立、正直にはなれないでしょう。だけど、とりあえず言いたいことはわかる。

Ukraine Needs Peace, Not Weapons
http://www.theamericanconservative.com/buchanan/ukraine-needs-peace-not-weapons/


■ 見どころ2:ウクライナを誰が助けるか

上の話はとりあえずどこにでも武器を出して破壊活動(人と物を一緒に破壊する)をして、そこを支配下におさめることに異常な情熱を持った人々の話だけど、ウクライナ問題は絶対にこれだけではない。

むしろそれをカバーストーリーにして後ろで何やってんですか、というのが本当はきっかけなんじゃないかとさえ思えるんだが、これが分からない。このへんは年末にも書いた通り。

バルバロッサ作戦 v2: で、ウクライナを誰が助けるの?

多分、欧州的に最悪のシナリオは、キエフ政権がウクライナの市民の支持を失い崩れていることを隠せなくなったと同時に、ウクライナを救済できない(≒デフォルト)となること、じゃなかろうか。

だから、オランド、メルケルがアメリカのお使いになってモスクワに行っているのは、何もウクライナの一般国民の苦境を救うためには何ができるのかなんて話じゃなくて、どうやってパッケージ化してモスクワに譲歩させるか、みたいな話でしょう。で、この支援としてアメリカがウクライナへの武器支援(その上それをシリアに横流しする)でロシアを脅している、ってことじゃないかと思うんだが、どうでしょう。

とはいえ、オバマ政権は武器支援には慎重なので独仏の二人も武器支援系ではない。さりとて経済制裁はもう自分が痛むからやりたくない(あくまでウクライナ一般国民の苦境は誰も考えてない)。

日曜日、何が出て来るのか楽しみにしよう。

 

■ 国ごとに考えるから間違う

ウクライナの話は結局のところ、国ごとに考えるから訳がわからなくなるわけで、各国にAチーム、Bチームがいて、現在はこのABが国をまたいで争ってるが、現在の世界の基本の枠組みが国民国家主体なので、勢い国ごとにやっているような話にみえる(だからどこも混乱している、ともいえる)。

■ 国ごとに考えるから間違う

http://blog.goo.ne.jp/deeplyjapan/e/7496389eff8fd01f563b866566ec1823

Bチームは概ねジャコバン流。

というか、こういうことじゃないか。

ジャコバン → 青年党革命的一派 → ボルシェビズム → トロキスト → ネオコン

こうやって200年頑張ってきた、みたいな。

で、このサブツールとして、

ムジャヒディーン → アルカイダ → ISIS

を作って、適宜争いを激化させる。しかし make no mistake, 間違っちゃいけないよ、ターゲットは常にBチームを邪魔するものすべてだよ、みたいな感じ。

サブツールは見やすいんだけど、ジャコバン以降の本流が誤解されやすいのは、ボルシェビズム以降を、自分が仕掛けた先であるソ連の属性にして多くの人を騙したからではなかろうか。

そういうわけで、こっちの話も徐々に整理されていったらいいなと思う。そしてBチームは今回も負けると思う。


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