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イラン・中国ビッグディール&イラン外相ロシアへ行く

2020-07-22 17:53:50 | アジア情勢複雑怪奇

日本のtwitterではいつもと同じ尖閣の騒ぎが流れているけど、アメリカでは米国政府がヒューストンの中国領事館に突如閉鎖命令(用語はわからないけど)みたいなのを突きつけたらしい。

US abruptly informs Beijing to CLOSE consulate in Houston – Chinese Foreign Ministry 

https://www.rt.com/news/495464-us-china-close-consulate-houston/

 

オバマはロシアのサンフランシスコの領事館を接収するという、まったくの泥棒行為を働いてたので、また泥棒するのかもしれない。中国の領事館の人もそこまで考えて運び出すものを運び出した方がいいでしょうね。

ということで、アメリカさんはもはや礼儀とか法といったものとは全く関係のないものになっている。

 

で、その間のユーラシア側の状況はというと、中国がイランにビッグディールを持ちかけて、それが通りそうってところ。

これね。25年間の長期にわたって関係を結びましょう案ですね。

イラン、中国に特価で原油供給へ…見返りに43兆円のインフラ投資 

https://www.yomiuri.co.jp/world/20200713-OYT1T50011/

 【テヘラン=水野翔太】米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は11日、中東イランが中国との間で、今後25年間、市場価格を大幅に下回る価格で原油を供給する協定を結ぶ見通しになったと伝えた。イランは見返りに、中国から25年間で4000億ドル(43兆円)規模のインフラ(社会基盤)投資を受けるという。

 

で、これを巡っては、イランの中では、革命後のイランが辛抱してきたのは中国の保護国になるためではない、みたいな反発もあって、イラン側でも賛成ばかりではない。

だが、アメリカが経済制裁をしまくって、SWIFTからイランを外しているので、大方の外国の民間企業にとってはイランと付き合うのはリスクが高すぎる状態が改善されない。また、アメリカが、インドを離して、イランにとっての石油の上得意先を揺さぶってもいる。

そこで、中国が大きな取引を持ち掛けた。こんなのアメリカが悪いじゃん、という話ではある。

だがしかし、上述の通りイランの内部にも反対みたいなのはある。そして、メディアがこぞって、イランが中国の下につく~、カジャール朝のシャーかよぉみたいなことを書き出す。

また、ロシアも安心はしていないのではないのか、と考えることもできる。

そもそも一帯一路というのは言うほど平和的なプランではない可能性を秘めてる。中国・イラン・ヨーロッパがつながると言うのは、実のところドイツ系がイランを取ってアラビア海へ願望していたプランを中国が逆からやっているようなもの、とも言える。

ムジャヒディーン合戦の布陣とも似てるしね。

 

だがしかし、ここでイランの外相が、モスクワへ行った。行くぞ、というニュースが出回った時には行ってた。

 

ロシアとイランの既存の協力関係の枠組みを延長することを中心に話し合っている模様。おそらくそれだけではなく、なんらかのギャランティーみたいなものも挟み込まされる(by ロシア)と思うな。イランがムジャヒディーン支援の過去のようなことにならないように。

Extension of 20-year Iran-Russia cooperation deal on agenda of talks: Zarif in Moscow

https://parstoday.com/en/news/iran-i124205-extension_of_20_year_iran_russia_cooperation_deal_on_agenda_of_talks_zarif_in_moscow

 

こうなれば、イランは立場を作れる。ロシアと中国という大きな仲間と組みましたという立場ですね。無論、イランが弱い立場で中国に何か無理強いされるようなことがあっても、ロシアに相談に行くという恰好も作れる。逆もある。三角形っていいのよ。ロシア、中国、インドも三角形。

 

ということで、これはもう、西側の一極支配勢にとって悪夢のような成り行きではあるまいか。

東西に中国がイランを目指し、南北にロシアがイランを目指して、中国とロシアがイランで握手しましたみたいな話。

 

■ カスピ海

長くこのブログにお付き合いくださっている方はご記憶だと思いますが、私としてはここで再度言わないとならないことがある。

近年最も重要な動きの一つは、ロシアとイランがカスピ海を巡っての長年の主張を調整し(ロシアが妥協し、だが)、カスピ海は沿岸国が主権を有するという考えを共有したことだ、というわたくしの主張でございます。おほほ。

「カスピ海は俺らの海」宣言の効果確認(2)

 

これがあったればこそ、カスピ海からロシア軍がイラン領内を通過するミサイルをシリアに打ちこむことができ、これがあったればこそ、シリアのアサドは西側の諜報を潜り抜け、モスクワに到着するという事件があり、そして、これがあったればこそ、今回のような協調関係が成り立つ。

 

■ 東シベリア石油パイプライン

で、中国がロシアを裏切るってどうよ、というはかない望みを持つ人たちもいるかもしれないけど、そうなる条件は、インド・太平洋軍の解散ぐらいのことがないとダメなんじゃないの?

日米が南シナ海を紛争化してるけど、本当の狙い(フォーカス)はむしろインド洋でしょう。どっちでもルートは同じだけど要するに中国にとってのシーレーンで必要があれば通商妨害をしよう、できるんだぜってのが日米のインド・太平洋軍の意味。

これはそうそう決着はつかない。決着つかないけど、中国は20年前と比べたら遥かに条件を整えて安心して戦える恰好になっている。

その大きな理由の1つは東シベリア・太平洋石油パイプラインによって、内陸側のロシアから巨大な量の石油を輸入できてるから。

東シベリア・太平洋石油パイプライン

New Pipeline Doubles Russian Oil Supply To China | Energy news ...

容量最大に達したのは実に去年2019年11月。

これがなければ、カザフスタン・中国のパイプラインは1本あったけど、それでは全然足らないので、基本的に中国は大半以上を海側からの石油の輸入に頼るしかない体制だった。つまり、シーレーンで弱みを持ってたわけだすね。

だからこそ、アメリカは安心して、中国は敵ではないですよ、などと言えたとも言えますね。

 

■ オマケ

冷静に考えれば、日本が中国の下に付きたくないと思うのだったら、人数も面積も違うんだからGDPで負けるとかいうのは割とどうでもよくて、この東シベリアのロシア産の原油をすべて日本が買えばよかったんだと思う。日本向けのパイプラインにするってことね。2000年代前半ぐらいの判断が重要でしたね。

そうすれば、ロシア、中国、日本の三つ巴になれたでしょう。

振り返ってみれば、シベリアの石油を日本が開発しようという話に先鞭をつけたのは田中角栄。チュメニ油田の話が出たあたりからきな臭くなりました、とは田中角栄の側近だった朝賀さんの言。youtubeでも見られるところでおっしゃっているのに、この言を誰も拾わないところに日本のへんちくりんなタブーの構造があるんだろうなと思う。

 

 

 


 


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5 コメント

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Unknown (にゃんこ)
2020-07-25 15:31:54
民間機、軍用機を巡る贈賄事件は世界中であった。オランダ女王の旦那さんも確か。そんな記憶がありますが。角栄逮捕は政治的な権力闘争もありますが。
昔、犬養道子さんの本を読んでいたら、フォード大統領の側近から、「昭和天皇は素晴らしい」という話を直に聞いたという事が書かれていました。角栄さんは昭和天皇にずいぶん嫌われていたという話も、何年か前にはネットで見ました。
シベリア抑留者を帰還させるため、ソ連と交渉していた鳩山一郎さんにも激怒という記事を見たことがあります。鳩山さん青くなったとか。
「対占領軍交渉記録、渡辺武日記」というのがありますが、それに、GHQが「理由は何でもよいから、石橋湛山を逮捕しろ」というのが出ていた記憶があります。これには渡辺さんたちも慌てて執り成しに動いたようですが。

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そしてイランは損してない (ブログ主)
2020-07-24 23:23:49
ローレライさん、

その上イランは別に損してないですし、面子も潰れてない。
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米のせいでもないのでは? (ブログ主)
2020-07-24 23:22:12
にゃんこさん、

虎の尾を踏んだ男という言い方はよく聞きますが、これって米が許してくれなかったというニュアンスですよね。

しかし、田中角栄を潰したのは米ではなくて日本の中の人たちだと思われます。日本の中の争いを言い立てるかわりにアメリカが潰してる、アメリカが許さない、というトークが頻繁に使われてきたんだと思います。これだと突破口ないですから、何を言っても愚痴にしかならない。
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ロシアと中國を引き込んで傘にするイラン! (ローレライ)
2020-07-24 22:09:53
ロシアと中國を引き込んで、傘にするイランはインド洋にロシア中國の艦隊を呼び込み傘にする!
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Unknown (にゃんこ)
2020-07-24 20:34:31
正三角錐だともっといいのかな。

昔、雑誌で、角栄さんの側近の方、名前は忘れましたが、田中角栄は「虎の尾を踏んだ男」と書かれていました。資源の問題、中国との問題、宗主国に逆らうことは、絶対に許されないのですね。フォード大統領の時でしたね。
石橋湛山も短かったですし。
日本のタブー、どうにもならないです。
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