2014年にオバマさんにせっつかれた、「昔貸した研究用プルトニウム返してね」のお約束が今日にも履行される模様。
プルトニウム輸送船が東海村到着
http://jp.reuters.com/article/idJP2016032101001208
核物質の管理強化を進めるオバマ米政権の方針に沿って日本が米国への返還に合意した研究用プルトニウムなどの核物質を運ぶとみられる英国の輸送船が21日朝、茨城県東海村の港に到着した。日本原子力研究開発機構(原子力機構)の施設に保管されていた核物質を積み込み、同日にも米国に向け出航する見通し。
プルトニウムは331キロで原爆40~50発分に相当。冷戦期に英米仏が日本に提供し、高速炉の実験に使われた。オバマ政権の要請に応じて2014年に安倍晋三首相が返還に合意した。合意に基づく返還実施は初めて。
もう少し詳しくいえばこんな感じか。
日本、今日一部のプルトニウムを米国に送る可能性あり[スプートニク日本語]2016年03月21日 14:25
http://jp.sputniknews.com/japan/20160321/1818470.html
(前略)
これは2016年3月31日-4月1日ワシントンで開催される第四回核安全保障サミットにあわせたもの。この会議で日本代表団は今回の輸送の報告を行う。
米バラク・オバマ大統領は、核不拡散体制の遵守を理由に2014年、日本にプルトニウムの返還を要求した。
60年代・70年代、米国、英国、フランスから日本に331kgのプルトニウムが運び込まれた。
それでもなお日本には核燃料の加工過程で出来た40トンものプルトニウムが残り、それらは国際社会の注目を集めている。近隣諸国の専門家は、これらは軍事目的に利用可能である、としている。
■ 嘘の代償は?
まぁその、日本はこうして核兵器の開発にも余念がなかったんだし、ミサイル技術もあるから事実上核保有国状態であったし今もあるってところでしょう。
で、問題はこれをどう見るのか、でしょうねぇ。つまり、国内の一部は、結構じゃないか、回りは核保有国なんだから日本が持って何が悪い、そーだそーだーー、と言うでしょう。
しかし、だったらそれってイランや北朝鮮と同じく、アメリカ覇権体制のある種の根幹である核不拡散体制をすり抜けて核保有してます、なのね。あ、イスラエルもそう。
で、イスラエル以外の国家はこういう取り組みによって各種の経済制裁を受け、非難され、大騒ぎになってもそれでも保有をあきらめなかったという経緯があり、今もある。
日本はどうかといえば、国民にも内緒、国際社会にも内緒(公然の秘密でさえないような気もするけど)で、核不拡散体制堅持を支持しま~すみたいなことを言っていたわけですね。
で、この状態、まぁ明確な違法状態に対して、日本国が違法性阻却事由みたいに思っているのは、英仏+米がOKしているから、なんでしょうね。しかし、当たり前だけどこんなの大声で言って通る話じゃない。
そこで、しら~っと、何の状況説明もなく物事が進んでいく。
これで終わるもんなの? 終わるとしたら、それはつまり、英仏+米グループへの完全なる降伏を継続するってな意味なのかなぁとか思ってみたりもする。
■ 総決算は赤字では?
ということは、自主防衛を叫びつつも、実はいよいよ深く現行の体制に組み込まれましたという話ではなかろうか。
いやしかし、自主防衛といったって別に米国から自主独立なんじゃない、中国からの攻撃を避けられればそれでいいのだ、という人もいるでしょう。
しかし、冷静に考えてみて、中国が日本を攻撃するのに核は必要なの? 巡航ミサイルがあれば別に核はいらんでしょう。ずらっと原発も並んでることだし。ってかなんで中国が日本に武力攻撃しないとならないの? 尖閣という岩を取るために核が要るの? 尖閣は沖縄ごともらえればいいなぁと長期戦やってるように見えるんですけど(笑)。文化戦に対して核は有効なの?
私は前から思ってるんだけど、一部の日本人にとって核兵器って魔法の兵器になってるように思う。
核武装を決断しさえすればいいのだ、みたいなことを言う人に至っては、それって妄想ですからとしか言いようがない(異流のハルマゲドン主義のような気もする。この一戦さえ勝てればなんとかなる、という信仰)。
いや、私だって心情的にはわかるんです。周辺が核大国であれば日本はどうするのだ~と煽られれば、そりゃ大変だ、という気にもなる。しかし冷静に考えると、これでは打開できないだろうという結論に私はなるわけです。
■ 限定戦=外交戦
日本に求められるのは、クレバーな外交能力だと思うんですよ、私は。
で、そういうことをいうとそれはハトだ、弱気だとすぐに言う人がいるけど、実弾戦を回避するのって本当に勇気と知恵がいるし、多くの場合金も要る。なので、むしろ弱気の人にはできない仕事でしょう。まぁでも、タフな外交を遂行できる能力は兵器より調達が難しいとも思いますが(笑)。
でね、それでもどうして外交に拘るしかないんだ、と思うかというと、日本が対応可能な戦争とは畢竟限定戦だ、と思ってるから。
で、限定戦争というのは、ある程度の枠を両者で共有しているからこそ限定できるわけです。つまり、限定戦争が成り立つならそれは外交が機能しているということ。日露戦争があそこで終われたのは、そもそも米+αが大枠仕切ってたからでしょ。あれを自前でできるようになることこそ日本が求めるべきじゃないのか、など思うわけね。
なぜ限定戦争しかないと思うかというと、だって国土は不規則に広がる列島だし、本体っぽいところにも深縦ないし、密集して住んでるんだもの。これは本格的な上陸戦にも弱いし、ミサイル等の飛び道具作戦にはさらに弱い。
それはともかく、いずれにしても、3月末の核サミットの成り行きに注目しときましょう。