今年でベルリンの壁崩壊から30年とかで、それなりに記事が出回っていたがどこもおめでたいものではなかった。
また、米英仏露のどの首脳も式典に出なかったそうだが、これはつまり、この間トランプが来年のモスクワのビクトリーデーに行きたいと言ったことと実は表裏になってる話のようにも思う。
「リベラル」が歴史修正主義者だったというお話
だって、結局のところこの壁崩壊によって、やたらめったらコミュニスト東ドイツを悪者にして、それを増幅させて、まるでドイツがソ連に対峙させられたことがすべての悲劇の原因でしたみたいなムードを作った。それが現在のナチ・ヨーロッパの原因だったとも言えるわけよね。
思い出すに、壁崩壊の頃、東西ドイツがどうして東西に割れたのかさえ説明していなかったと思う。今もこのへんはかなり曖昧。というか、気づいている人さえ少ない。
混乱を無視して進むドイツ流
エプスタイン事件 (3) エプスタイン「自殺」と赤狩り物語
ということは、この迂闊な壁崩壊劇こそ歴史修正の勝利、ナチ勃興の初日とも言える。ナチはナチでもナチ・リベラルだが。
■ ナチ・リベ(新自由主義)の勃興
いやしかし、思い出すだに、壁が崩壊して親戚、知人が行き来出来たのはよかったと思うけど、とてつもない「プロパガンダ」戦だったのだなと今ならわかる。
ソ連アフガン侵攻、ベルリンの壁崩壊、911は、みんな同じ人たちによる「劇場」だったんでしょう。みんな似てる。すべてが指し示す方向は、民主主義でも共存でも、やさしさでも理性でもない、和解でもなければ希望でもない。みんな、一部の異常な儲けと人々の考えをコントロールすることに集中している。
ジャーナリズムはこれらすべての出来事において重要な役割を担っている。それは散発的なものではなく、ビルトインされたものだった。だからこそ、すべての媒体がみんな同じことを言った、見せた。もし自由に書いているのなら、そんなことは起こらない。
で、ドイツの統一というのはゴルバチョフやソビエトの指導者層の善意を食って、ロシア人を騙して達成されたものなので、今となっては誰も拍手もしなけりゃ、良い思い出と思って見る人がそんなにいないのも無理はない。
これがウクライナ問題以前なら、まだしも、東西ドイツの差異は経済問題として解決するという方向性もあっただろうけど、ウクライナの出来事以来は、ああ結局西側、特にドイツは東方侵略構想を止められないんだなと思う以外になくなった。しかもウルトラ卑怯だな、と。
NATOの東方拡大はアメリカが決めたものではあるにせよ、ドイツはこの帰結を利用して、クロアチアというセルビア人と因縁のある民族を使ってユーゴスラビア解体を進めたのは事実。
そして、人身売買、ドラッグなんでもござれの「コソボ解放軍」なるヤクザ集団を使ってセルビア周辺を滅茶苦茶に混乱させて、セルビア人にとって重要な場所であるコソボを切り取り、最後には70日間もセルビアのベルグラードを空爆しセルビア人を離散させて終わった。終わったわけではなくその血のしたたる、憎悪が今でもうめくようなコソボには巨大な米軍基地がある。
バチあたりもここまで来れば立派といった趣。
そして、壁崩壊のところから、経済的には、なにしろ社会主義は間違い、遅れてる、ようやく整理できた、やっぱり資本主義の勝利、みたいな調子ですべてが進んだのだから、そりゃもうむき出しの資本主義、すなわち新自由主義になるのもまったく理の当然。
日本の様子はこのへんで書いた通り。
自分で蒔いた種「ネオリベ」を超えられるのか
自分で蒔いた種「ネオリベ」を超えられるのか (2)
社会主義というのは、別にある日突然マルクスの書物に目覚めた人たちが言い出した話ではなくて、資本主義という新しいスタイルの経済秩序の進展と共に出てきた問題に対する対応として、主に労働者の権利拡張運動を通して議論されていったもの。
第二次世界大戦に至る経緯から言えば、あの大戦争というのは、社会主義(いろんなフォーマットがあれど)の進展や認知がイヤでイヤでならない資本家集団が、ナチまで作ってソビエトを潰させた、と考えてもいい成り行きとさえ言える。だってナチを勃興させたのは米英独の資本家やドイツのドイツ帝国主義が忘れられないじいさん方だったわけですから。
■ 変われるのだろうか?
で、西側が新自由主義から抜け出せるオッズはまったく高くないし、考え直したい市民は大勢いるが、考えさせたくない支配層がメディアと共に要塞化しているのも西側共通だと思う。
個々の国で見てると、自分の国の支配層だけが馬鹿に見えるわけだけど、並べてみるとだいたい軌道はあってる気がする。
で、変われるのだろうか? これがつまり民主主義の問題ですよね。多くの市民が考えて判断するはずの仕組みだと西側は宣伝しまくって、これが故に中露よりエライというのが西側共通の「プライド」なんでしょ。
で、できるわけ?
いやぁ、難しそう。
さりとて、こうなったからといって戦争で解決することもできない。絶対報復するからなと先ごろプーチンに念を押されているじゃないか。
ということで、低緊張のカオス作戦で世界中を混乱させているといったところなのだろうと思われるが(度重なるクーデターとか)、それをしたところでエンドゲームは何?
いろいろ考えてみると、結局、カルトめいた「リベラル・デモクラシーこそ正義」教に基づく他国侵略主義、あるいは干渉主義を停止して、各国の経済を立て直す以外に道がないって気がする。
そうすると昔の左翼の人たちの意見を参照して取捨選択していくというのが王道なんだと思うわけですよ。だがしかし、その左翼さえ西側世界には残っていないように見える(みんなリベラル化してた、みたいな感じ)。
となった場合、リベラル・デモクラシーから経済を立ち上げるという、岸信介なら「そんなものは欧米のプロパガンダ、そんなんで経済成長できたところはない」と見破るような(笑)話を、延々とやっていくだけのことになるであろうと思う。あはははは。
まとまらない話だけど、いやほんと、壁崩壊以降にリベラルが乗っ取った社会というのは、これは結構処置なしだとマジで思う。
最低限、現状はメディアによるカルト支配がされているので、まずは自由に考えるよう人々の頭を解放するってのが求められる気がするな。「リベラルからの自由」という笑えない状態。
■ オマケ
ユーゴの話を書いてて思い出した。今現在のイギリスの首相のボリス・ジョンソンはいろんなことしてる人だけど、ユーゴ解体の頃はTelegraphのライターとして派遣されていた。
ニール・クラークという基本的に西側の戦争について非常に批判的なジャーナリスト(UK)が、ボリス・ジョンソンは、セルビアでのNATOの行動について、他のジャーナリストたちと違って非常にあけすけなことを書いていたと証言している。
Boris Johnson: War Reporter
https://sputniknews.com/columnists/201906251076042642-boris-johnson-war-reporter/
当時、NATOは攻撃がヘタだとは言われたけど、それだけじゃなくて一般人が死ぬことがわかりきったところを空爆している様や、赤んぼを殺してる様などを記して、このように書いていたそうだ。
戦争は愚かしい。戦争は地獄だ。しかし、手段と目的を合せるのにここまで途方もなく無能なものはかつてない
‘War is stupid. War is hell. But never has there been a war so stupendously incompetent in matching methods to aims’
それが結局、膨大な数の市民の死傷となるわけですよ。馬鹿が花火をあげるみたいな空爆とか。
それがNATOが欧州の一国であるセルビアに対して行った戦争。見てた人たちから呆れられた戦争。大義もなく、手段も馬鹿げて、最後はミロシェビッチに責任を押し付けた、惨たらしくも愚かしい、そしてまったく無能なNATOの戦争。クリントン(妻)が喜び勇んだ戦争。リベラルの戦争。
コメントありがとうございます。
当時は、私は東京にいましたがフランス人の友だちが歴史的だ、歴史的だと盛んに言っていたのを思い出します。メディアも学者たちも含めてみんなその調子でした。
その後アメリカで暮らす中でソ連圏の人たちが多数いて、知り合ううちに、なぜ彼らの生活は壊されなければならなかったのだろう?などと考え出したことが今こんなことを考えるに至るきっかけの1つだったと思います。
別の角度から見るっていつでも大切だなと肝に銘じる次第です。
東ドイツ市民、多くが自由を求めていたんです。そして、壁が崩壊して、東ドイツが滅亡して、自由を手にしたんです。それは市民のレベルでの快挙だたんですね。政治のレベルは、再びロシアへ侵攻とういう作戦だったんですね。今の政権の発言を耳にすると平和を追求るどころか、如何にしてロシアを叩き潰すかだろうと感じます。その仲間の一つが日本の政権なんですね、虚しすぎます。