思わぬことが起きていた。
安倍首相赤っ恥 クルーグマン教授が極秘会合の中身を暴露
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/178338/1
まぁ要するに、日本の政府が、世界的に著名な経済学者を呼んで自分たちの都合のいいように使おうと思ったら議事録をばらされた、という話。
どこにあるんだろうと検索したら、pdfが出て来た。
これだと思う。
https://www.gc.cuny.edu/CUNY_GC/media/LISCenter/pkrugman/Meeting-
minutes-Krugman.pdf
■ 一読した感想
とりあえずざーっと一読した感想。
日本の記事はどれも経済の問題についてのやり取りの話をしているけど、私の 目を引いたのはそこではない。麻生さんの第二次世界大戦に対する認識と、その背後にある戦争全般に対する非常に浅い認識の部分が最も目を引いた。
（縷々デフレ状況の話があって）
同様の状況が1930年代の米国にもありました。これを解決したのは何でしょう？ 戦争です！
1940年代に第二次世界大戦が起こり、米国の解決策になったのです。さて、日本の企業の様子に戻りましょう。彼らはデフレマインドに取りつかれています。彼らはこのマインドセット（ものの考え方の枠組み）を変えて、設備投資を開始すべきなんだ。私たちはそのキッカケを探しています。これが最大の懸念です。
A similar situation had occurred in the US in the 1930s. What solved
the question? War! Because World War II had occurred during the 1940's
and that became the solution for the United States. So, let's look at
the entrepreneurs in Japan. They are stuck with the deflationary
mindset. They have to switch their mindset and should start making
capital investments. We are looking for the trigger. That is the utmost
concern. （太字私）
これに対してクルーグマンは、ルーズベルトは当時多数あった財政は均衡すべしという声に押されて1937年に財政刺激を後退させ、これによってリセッションの第2波が来てしまった。これが大きな間違いだった。
と、麻生氏の発言を訂正した後、
Yes, obviously we are looking for ways to achieve something like that without war. （太字私）
そう、私たちは明らかに何かそういうものを達成する方法を模索しています、戦争なしでね。
と言っている。
私が思うに、これは、例えば、
「私たちは戦争なしでそういうものを達成する方法を模索しています」
と訳しては意味が伝わらないと思う。少なくとも、思考の流れが中断される。
彼が話している時の頭の中の筋立てはこうではないかと拝察する。
(1) 私たちは確かにそういうものを達成する方法を模索している
(2) ただし、戦争なしでね、
私たちは確かにリセッション（程度問題はあれ）を脱しようとしている、その意味からは(1)は共通認識かもしれない、
しかし、私の立場は (2)も含めた複合命題だ、ってこと。、
そう、まさしくそうです、但し条件があります、これこれです、という言い方ですね。
流れ的に、これはクルーグマン氏は without war をあえて言ったってことだろうなぁとか思う。
で、別の言い方をすれば、このshallow（浅はか）な人々が恐ろしくなったからこそ、これはいけないという意味で、あえて対談を公表して世論に訴えるべきと判断したのではなかろうか、などと想像してしまう。
クルーグマンという人を良い人だと思う気はないんだが、経済と戦争を簡単に結び付けて、経済がまわらないから戦争だ、といった言を軽々と承諾するような人だとも、そういう人々を無批判に受け入れる人だとも私は認識してない。
ドイツのギリシア対応なんかにもかなりマジで怒ってたしね。
日本政府を代表するような人々が、酒場の思考実験風の戯言を言うというのに恐怖を感じた、って感じではなかろうか。
そういうわけで、何か、日本って、大方の日本人が想定しているよりも遥かに国際的に厳しい状況にきちょるんやないけー、とか再度、再度、再度そう思う。
