7時のNHKニュースを見ていたらロシア軍が北方領土で演習をしている、なんということだ、と言っていた(超概略)。
ロシア軍 択捉・国後で軍事演習
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140813/k10013776111000.html
国後、択捉で演習というよりシベリア・極東の演習のうちに日本の北方領土(ロシア的には俺らの領土)が入っているということらしいが、ともあれ日本はそれに対して正式に抗議をしたようだ。
さて、どうしてこうなったのかそりゃロシア軍の人に聞いてください、ではあるけど、流れとしては、日本が制裁をしたことに対するレスポンスとしてやってんだろうなとは思う。3月頃もあったよね、こんな展開。
あと、ロシアは周辺で軍事演習をやっていて周辺と緊張が高まってるとかなんとか、あたかも一方的に何の意味もなくロシアが突如演習をしてばっかりいる(狂人だろ、それ)ような言い方でNHKは説明したけど、ウクライナに関していえば、そもそもウクライナ軍というのが名ばかりで実体はアメリカとその仲間たち、つまり外人主導みたいな軍だし、周辺国はNATOとして演習したりしているわけ。つまりお互い様にしておくためのバランスとして演習が必要な場合が多い。
でもNHKはいつもの日本の報道機関なので、大枠の説明はせず、人々は、やはりロシアは信用ならん、となるんだろうなぁ。(ロシアの言い分を取り上げたこともなく「信用ならん」もないもんだと思うが、これが西側仕様です。)
そうすると、まず第一に誰が喜ぶかというと多くの人はアメリカと思うんじゃないかと思うけど、私は前から書いているように、それはチャイナだと思ってます。
で、今日面白いものを見たなぁと思ったのは、人民日報で結構目立つところにあった記事。
米欧日、ロシア制裁で連携 日本が最大の敗者に?
人民網日本語版 2014年08月13日09:38
http://j.people.com.cn/n/2014/0813/c94476-8768964.html
いや、これをチャイナが言っちゃうっていうことが一番興味深い。もう勝ったと思ってるのか?
日本が北方領土問題を抱えているのに欧米に追随してロシア制裁に加わっている、この動きは日本にとって良い動きじゃないでしょ、と。
中国現代国際関係研究院世界経済研究所の陳鳳英所長は、「日本のこの一手はうまいものとは言えず、日本に戦略的な損失をもたらすことになる。石油の70% から80%を中東から輸入している日本は、エネルギーの安全保障のため、ロシアの極東地区に投資し、エネルギー輸入の多元化を実現しようとしてきた。だが 今回の措置で日本のこれまでの努力は水泡に帰した。その利益が損失を上回っているとは言えない。結果は、『元も子もなくなる』のである。米国もこれをどう にかしてくれるわけではない」。
と、つまりエネルギーの多極化から見て失敗だろう、と言っている。
実際それはそうだけどエネルギーの多極化はもう少し中・長期的に見ればいいので現状かかっている問題としてそこまで大きいかどうかは、私は不明と思ってる。そしてチャイナもそれはわかってるんじゃないかと思ったりもする。だけどそれをいちいちあげつらうのも問題があるので、一番遠い話を一つ理屈としてもってきた、と。
では問題は何かといえば、それは、ここで、いや、ここでもまた、結局アメリカに封じ込められることを選択することによって、結果的にチャイナを利する形を自ら取ってる日本、という構図でしょう。中国人とかドイツ人から見たら、日本の動きって見てて面白くてしようがないだろうなという気もする。あんたらなんでそこで、一回矯めないの、みたいな。
で、その上でこの記事はこう締める。
陳所長は、あと5年もすれば中米日の3カ国のうち日本は影響力のない小さな駒にすぎなくなると主張する。「米国との協力には慎重さが必要だ。米国は小さなパートナーの利益などは考慮しない。欧州債務危機ではそれが再度確かめられた」
あと5年ぐらいしたら、日本は影響力が小さくなるからそこまで適当にいたぶればいい、って思ってるらしい。
何を~と言いたいし、言うのは簡単だけど、でもまんざら間違いじゃない可能性だってあるのが今の日本。
■ 米とチャイナの特殊な関係、そして日本の尊厳問題
少なからぬ日本人は、現在みんなして中国を封じ込めていると考えているらしいんだけど、でも、アメリカの戦後政策の東アジアの基本は米中による日本の共同封じ込め体制でしょ?
というよりね、アメリカというか世界的な銀行家さんというのか、国際金融資本というのかなんだかわかりませんが、とにかく覇権を一極にして支配しようとしている人たちは、チャイナを買ってるわけですよ、戦前からずっと。チャイナという市場を日本・ロシアのいいようにさせまいとして日露戦争を戦わせてみたり、ボルシェビキを突っ込んでみたり、最後に太平洋で日本を鎮めてみたりしてきた、と言ってもいいぐらい。
米外交政策内の私たちの位置を考えれば・・・
この状況は基本的に変わってないと思うわけです。なぜか。それは人口が多いからだろうし、きちんとした国民国家じゃないから扱いやすい、っていう点も「彼ら」にとってgoodなんでしょう。馬渕さんがさかんにおっしゃるグローバリストvsナショナリストというのは冗談じゃないですね、まったく。
で、扱いにくい代表例がロシアだというのも正解でしょう。そして、1980年代までの日本、つまり昭和の日本も「彼ら」にしたら敵だったんだろうなぁとも思う。グローバリストの敵は、要するに各国、各人の「主権」なんでしょう。主権があれば自己の利益のために国境を上げ下げできる、それは国境を超えて侵攻しようとする側にとっては「邪魔」。
そして、この構図を戦前の日本人の多くも読めてないし、今もそう。西尾幹二先生のGHQ焚書図書開封シリーズのどこだったかに、戦争に入っていく頃書かれたもので、欧米はシナ4億の民とかいって贔屓ばっかりするけど、一体なんだっていうんだ、みたいに憤慨しているところがあった。今と同じだなぁと思った。私の考えでは、日本人はなんでここを諦められないんだろうというのが非常に不思議だ。
つまり、日本人は西欧流の民主主義だの法の支配云々の仕組みを習って近代化した自分たちが、そういうことについての習熟度が著しく低いチャイニーズに比べて大事にされていないことについて、ず~っと不満があるんだと思う。
しかし、そもそもなぜ西欧人に頭をなでてもらわにゃならんのだ、とは人々はあまり考えない。こここそ日本の本当の問題だったし、今もず~っと問題なんだと思うんだよね。いや別に無法モノになれとかいうんじゃない、しかし、俺は俺だとまず踏ん張ってみましょうよ、と、まぁその一言でいえば、日本にはどうもdignityが足らない。
伊藤貫先生のお話をもう一回よく聞こう!
国家には3つの要素が必要だ。それは、経済力、軍事力、価値観。
価値観とまとめて書くけど、dignity、integry、independece、つまり尊厳、一貫性(誠実性)、独立自尊の風、といったことだ、と。つまり、国家としての態度、気概の問題ですね。