キルギスタンで、選挙結果が不正であるとして不満を持ったデモ隊が政府を襲撃し、その間に前の大統領のアタムバエフ氏を解放するという騒動が起こってる。
キルギス、議会選挙に不満のデモ隊が政府庁舎に乱入 収監の前大統領を解放
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2020/10/post-94635.php
こういう感じだと暴徒が襲った(まぁそうだが)だけ、みたいな感じだが
警察が一回押し返しても、再度人が集まってきて、負傷者もかなり出たが達成した、みたいな感じ。
好むと好まざるとにかかわらず、いわゆるカラー革命ではないですね。スローガンもないしアイテムもない。逆にもっと人の力で押して政府に言うことを聞かせようとしてる。
どうなるものか成り行きに注目ですね。
で、小さくない目的の1つには、アタムバエフ前大統領の解放があったと思われる。
Kyrgyzstani protesters free ex-president Atambayev, imprisoned for corruption, as fallout from 'rigged' election leads to chaos
https://www.rt.com/russia/502645-kyrgyz-president-freed-jail/
というのは、この大統領は去年、政府の治安部隊によって拘束され、その際に支持者と政府で銃撃戦になるという事件があって、そこから収監されている。国民の中にはこれを不正であると考えている人が結構いるんでしょう。
容疑としては不正蓄財とかそんなだったと思うけど、そんなことを言ったら中央アジア諸国の指導者層は全員そう。特にソ連崩壊前後の政治家は西側がソ連から離そうとして、いろーーーんな援助やらプログラムをやったのでとりわけ潤ってる(笑)。だから、別の事情でしょう。
つまり、アタムバエフさんは、ある種のロシア回帰政策に熱心だったし、中国の一帯一路プランにも好意的だった。だから、排除しようという動きがあったのではないのだろうか、と私は思ってみてる。
こういう感じで、ロシアから勲章をもらったりしてた。
Kyrgyzstan: Putin congratulates Kyrgyz President Atambayev on 60th birthday
また、2015年の対ナチと大日本帝国を破って70年という年には、中国にも行ってた。
その頃、アタムバエフは、キルギスタンは位置的に遠いけどロシア人が戦っていた時無関係なんかじゃなかった、キルギスの人はみんな覚えてる、ロシア欧州部でたくさんの孤児が出たのでその子たちをキルギスは預かり、その後多数のロシア人がお礼に来てくれて交流が続いた、私たちは苦難を共にしました、といったことを語っていた。
これを見ていて私は、この人は危ないと思ったわけですよ。
西側はナチと同質だから、とにかくロシアの苦難を語るような奴は許せないだけでなく、90年以降の西側の中央アジア向けナラティブは、中央アジア諸国はソ連の体制の犠牲者で、イヤイヤながら閉じ込められていたが、ソ連は倒れた、さぁ西側へというものだったので、心からの交流がありましたなんて話は許せないでしょう。
(左がアタムバエフさん、右がナザレバエフさん)
カザフスタンの元大統領のナザレバエフの親族の不正蓄財がロンドンで問題にされてみたりするのも同様の脅しだと思う。
というところで、2017、18年あたりの政変で首脳が変わったキルギスタン、アルメニアが共に揺れている。