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危険な享楽

2019-04-07 23:04:05 | アジア情勢複雑怪奇

年号だのゴーンだのとへんな話ばっかりがマスコミを埋め尽くす日本の報道体制はまさに異常なのだが、なぜ異常さがキープされているのかと考えると、恐ろしい将来しか見えない。

恐ろしいといえば、軍事評論家の田岡俊次氏がひさびさに動画に出てきていた。初期の胃がんで入院されていたそうだ。

【田岡×北丸のディープバックグラウンド】田岡復帰記念!元号とトランプ20190402

 

全部面白いとは言いませんが、最後の最後45分あたりの発言は、ぎょっとするというより沈黙してしまうものがあるなぁとか思った。

田岡氏は、

今ね、僕ほんと気持ち悪いのは、自衛隊はね、本当に中国と戦争になることを覚悟してる。

とおっしゃる。司会の女性が「ほんとにぃ?」と素っ頓狂な声をあげると、田岡さんは「はい」という。

だから、水陸両用部隊3000人で奪還するとか言ってるんだし、オスプレイ、上陸用舟艇、宮古島の対空、対艦ミサイルetc.と、これは明らかに戦争準備です、とおっしゃる。その後で、中国が乗って来ないからならないとは思うけど・・・と言葉を濁す。

すると、司会の女性が「でも、日本って兵隊さん足りてるんですか?」などという寝ぼけたことを言い出す。

すかさず田岡さん、「それより制空権が取れません」と言い出し、台湾海峡での有事に向けて中国軍が最新鋭を優先的に配置してきたというある種のこのおじさんの持ちネタみたいな説明をする。

司会の女性は、アメリカは乗ってこないんでしょ、日本だけがやるんですか、などといい、もう一人の男性も、負けますよね、みたいな相槌しか打てない。

 

昔田岡さんが言っていた、平和ボケのハト派はうざいだけだがタカ派の平和ボケは危険だと言っていたことを思い出した。この場合はハト派のうざい平和ボケのケース。

といってそれは、タカ派の平和ボケが言うように、艦隊決戦しちゃうみたいな頭で、そうだ戦争準備は必要なのだぁとか言いたいのではない。

この戦争準備は要するに、NATOの欧州戦線で見た場合のバルト三国+ポーランドなわけですよね。つまり目的は、小さな紛争を制して何か課題に決着させるというのではなくて、戦端を開いて、NATOの場合なら対ロシア、日本の場合なら対中国で、陣営みたいなものを拵えて対立構造を永続化させ、できれば中規模な戦争をぐしゃぐしゃ現地がやるとさらにいいな、みたいな構想でしょう。

ということは、この目的から考えれば、日本の作戦部隊が全滅させられて膠着状態になるというのだってOKなわけですよ。

別の言い方をすれば、勝てない戦争なんだからするわけがないわ、という考えではこの状況に対応できないということですね。現地のパペット政権が勝とうが負けようがどうでもいいんですよ、対立さえできればというのがアングロ・シオニストの支配の流儀とでも申しましょうか。

日本の場合は沸点が非常に低い、煽りに弱い体質があるから、ごくごく小さなおかしな紛争で日本人の兵が死んだというだけでも、十分に世を上げての対立は作れる。

トルコ機に撃たれてパイロットを死なせてもトルコとの関係調整に動いたロシアのような真似は期待できない。

ということは、戦端を開かせないことが何より重要。ユニットを全滅させられて動かなくなる、というパターンではその後の対立が残りまくる。

 

不吉な話ではあるけど、でもでも、2008年の南オセチア戦争などは参考になるかもしれない。意気揚々とそもそも仲の悪い(仲が悪いから平和維持部隊がいた)オセチアにグルジア軍が突っかかって行って、ロシア軍の介入を招き南オセチア、アブハジアを制圧され両地域が分離独立することとなった事件。

分離独立部分はあとの問題だけど、重要なのは軍事行動を起こしたロシア軍は当面グルジア側が反攻しても軍事的に意味がないレベルまで叩くという作戦の展開を短期間に非常に上手に行ったこと。

次のフェーズでは、理論的には、グルジアが単独でロシアに向かうか、または、グルジアの後ろについたイスラエルと米が報復としてロシア相手に戦争をする、ということが考えられる。

現実には、欧州勢はロシアを非難しまくったもののグルジアがNATO加盟国ではなかったことを実に明らかに安堵し、米軍と共にNATO諸国が黒海に戦艦を入れてロシアに睨みを利かせる、といった行動止まりでフランスのサルコジが仲介に立ってこれ以上の戦闘は発生しなかった。

場を制圧するということは、局面を静止させることを意味する。つまり、報復する相手は自分で戦争を開始しなければならなくなる、とも言える(法理論的にどうこうということではなくて)。

だから、抑えて鎮めるというのはこれ以上の戦闘を望まない場合には、非常に有効な行為。

だがしかし、そのためには当然のことながら初期に投入される兵は死ぬ確率が非常に高い。死なせないように注意しながらやってたら制圧できず、継続している戦闘に他者の介入の口実を与える可能性もある。

 

ということを考えながら、田岡さんが言う「制空権が取れない中で奪還に行ったら3000人、全滅」という言を聞くと、想定としては理解できるだけに恐ろしい。

(奪還部隊の)結成式典見ててもね、ああこれ何かになったら、いざとなったらね、やりますと言ってる以上出さざるをいかなくなるから、ああこの3000全滅するなと思うと、見ててもね、なんかいやーな感じがして...

などという発言も、実際問題水陸機動団は2018年3月に創設されちゃってるわけだから、絵空事ではない。

 

現在の報道体制を安倍は馬鹿だからこうなってる、みたいな漫画っぽい見方だけで見るのはとても危険だと私は思うな。

 

■ オマケ

しみじみ思うに、いろんな局面、いろんな節目があったけど、ことここまで悪い方向に向かった一つの大きな理由は、占領が継続しているだけであるにもかかわらず、日米は同盟国同士であるなどと言い始めたところでしょう。

昔の人は、日米安保体制とは言っても、日米同盟とは言わなかった。昔の人は戦争が終わってからの経過をある程度は記憶していたが、今の人はふわっと上から降りてきたシステムに載せられてそれが所与だと思わされている、ってところなんでしょうね。恐ろしい作為だわ、ほんと。

 


 

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3 コメント

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過去記事をご紹介させて下さい (和久希世)
2019-04-08 19:18:59
私の事を左翼ぶっていると言っている人に申し上げます。
http://blog.livedoor.jp/dendrodium/archives/79524289.html
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単に日本が右傾化しただけ (宗純)
2019-04-08 16:49:46
2016年7月31日、経歴詐称のあの緑タヌキが大勝した都知事選で在特会の桜井が11万票で5位。
我が日本国ですが、極限まで病的に右傾化、大勢の人々の脳みそ腐っている状態になってしまっているので、日米同盟なる言葉が平気で使われ出したのです。

軍事評論家の田岡俊次も矢張り世間の流れに影響されたのか。?それとも別の理由か?
オスプレイですがアフガニスタンにも配備されているが、実戦には危なくて使えない欠陥商品。
日本に本格導入されたのが2012年なのですから、間違いなくフクシマの核事故と関係しているでしょう。
米軍空母ロナルド・レーガンは220キロ離れていても放射性プルームに数時間遭遇して深刻な汚染を引き起こしたのですから、
もしもの時には、米人の避難用に足の長いオスプレイは絶対に必要なのです。

護憲左派に見える和久希世なる人物ですが、本人は必死で偽装しているが、日本では非常に珍しい、ダーウィンの進化論を否定する狂信者なので、安全のためには決して近寄らないのが肝要でしょう。
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昨日貴記事を引用させて頂きましたのに、今日のも又引用したくなりました。 (和久希世)
2019-04-08 11:02:23
>昔の人は、日米安保体制とは言っても、日米同盟とは言わなかった。昔の人は戦争が終わってからの経過をある程度は記憶していたが、今の人はふわっと上から降りてきたシステムに載せられてそれが所与だと思わされている、ってところなんでしょうね。恐ろしい作為だわ、ほんと。

恐ろしい作為ですね。ほんと
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