1/3【討論!】世界外交戦争[桜H26/5/24](+ 再生リスト)
◆世界外交戦争
パネリスト:
小川榮太郎(文芸評論家)
クライン孝子(ノンフィクション作家)
石平(評論家)
中山恭子(参議院議員)
馬渕睦夫(元駐ウクライナ兼モルドバ大使)
宮崎正弘(作家・評論家)
渡邉哲也(経済評論家)
司会:水島総
いやいやいや、これはなかなかいろいろ意味深な回でした。
■ ウクライナがらみ
もちろん私は昨今の興味からいって、なんといってもまず、馬渕さんとクラインさんがおっしゃっているウクライナ問題の位置づけにまったく賛同します。
そしてこれだけのことが言えちゃう人が動くメディアに載っていることができる今日の日本に、あらためて結構な驚きを感じます。これは、昔だったらないですよ、こんなの、日本では。事件がひと段落した後に、論壇紙に識者が書くのが関の山。
お二人の見解をまとめれば、今回のウクライナ問題の本質はロシアを潰そうという西側(クラインさんは正しくも、西側って本当は英米なんですよとおっしゃる)の試みで、今回単発ではなくて、ずっと昔からの続きで、それは欧州では常識みたいなものだ、と。実際私ももちろんそう思ってます。現在の主流メディアが語る、ロシアが脅威でどうしたこうしたなんて、この大きな試みを達成するための単なるプロパガンダに過ぎないと。
ウクライナを内戦へ追いやる米国
その視点から見た時、オバマ政権はどのへんを落としどころにしているんでしょうかね、という質問はほとんど意味がなくなる。どちらかが一時的に諦めることはあるにせよ、きれいな落としどころがつくような話ではないから。また、オバマ政権がどうしたこうしたという問題ではない、という点が実に重大。
■ 西欧の文化だけで押す流れとは違う時代にいるんだ
さらに、もう一つ、こっちも非常に重要なことをおっしゃられていたのは、中山恭子さん。
それは、前世紀までは西欧の文化を世界に普遍的なものとして広げるのが良しとされていた。でも今世紀は、アメリカの文化的な流れ、ヨーロッパの流れだけでなく、アジアの文化、暮らし方みたいなものも認められつつあるんじゃないか、ただそのあたりは整理されず混沌としている。
といったことを1/3の最初に、静かに穏やかにおっしゃった。
非常に遠回しにおっしゃっているけど、重要なことだと思う。つまり、ある種の多極化は既に起っていますという見解を示されていると思う(そういうと角がたつからそうはいわない)。そして、日本にとって重要なことは、その上で、そういう混乱の中に多様さが見えている中なので、従来の西欧型こそ普遍的なんですよ、みたいな態度を持っているとなんらかの混乱があるんじゃないかと思っている、ともおっしゃる。
私は、これはこういうことだと思うんです。
日本の外交方針は基本的に価値観外交を非常に強く押しだしている。昔は別にそんなことがなかったのに近年はそうなっている。そしてその内容は、法の支配、自由と民主主義といったものでそれはあたかもEUが言いそうなこと。
それをそのまま、アジアの国である日本がアジアの国々に向かって説教するような態度を取っていたら、日本の立場はなんだ?ということじゃないのかな、と。
私は実はこれを最近ずっと考えていたんです。インド人に向かって、日本が価値観外交でEUかNATOの代表部が言うようなことを言ってそれで何の活路が開けるんだ、と。
さらにいえば、悪くすれば単なる「西側」(つまりはアメリカとイギリス)の回し者にしか見えないという評価にもなりかねない。
そうなんですよ。まさに。ウクライナ危機みたいな外交方針として非常に難しい時に、あえて日本独自の立場を云々というのはやっぱり確かに難しいしリスクも大きいかもしれない。しかし、だからこそ世界(日本にとっては欧州よりアジアだ)が注目する機会なんだ、という視点も重要。なんらの独自スタンスもなく「ええ、まったくその通り」とアメリカ国務省の作文を読むようなマネをすることにはリスクが伴うという意識が必要。
この点、中国は、中共がやっていると思うから何でも腹が立つけど、アメリカやらEUやらになびかない態度を取っていると見せることには大成功しているわけで、つまりそれは結果的に、チャイニーズの価値を高めることに一定程度は成功している。
日本との立場の違いをわざと見せびらかしているという風にも思う。このやろー、だけど。
この地図、重要だと思います。
ロシアのクリミア併合に対する非難決議の結果
賛成(緑): 100 棄権(黄色): 58 反対: 11(茶紫) 投票不参加:(水色)24