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英国王室とナチス

2014-05-25 22:40:59 | 欧州情勢複雑怪奇

奇妙なというより、なにか禍々しいものを見た気がした。

チャールズ英皇太子、プーチン氏のクリミア併合は「ヒトラーと同じ」発言 英露関係が緊張 
http://sankei.jp.msn.com/world/news/140523/erp14052319020002-n1.htm

皇太子発言は「言語道断」=英に説明要求-ロシア
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2014052201016

【ロンドン時事】チャールズ英皇太子が、ロシアのプーチン大統領とナチス総統ヒトラーを同列視したとされる問題で、在英ロシア大使館は22日、「言語道断」と強い調子で不快感を示した。
 BBC放送によると、大使館のクラマレンコ公使参事官が「皇太子の言語道断な発言を議題の一つにして」(大使館)英外務省代表と会い、詳しい説明を要求。英ロ関係は、2006年のロシア元情報機関員殺害事件以来の緊迫した局面を迎える恐れがある。

事件自体はたいしたことがない。

もともとチャールズ皇太子は、お父さんと同様口が軽いことで有名なので、英国民もこの発言自体に驚きはしないだろうと思う。ただ、皇太子さま(しかも女王様がご高齢なので事実上のHead of the Stateかも)がこんな、はっきりいえば性質の悪い政治的問題について発言していいのだろうか?

さらに、もっと薄気味悪いのは、これに対してロシア当局者が腹を立て、その上ロシアの報道があてこすった報道をして話を激化させたという経緯はあるとはいえ、イギリスメディアがほぼ3日間ずっと騒いだこと。主要紙のオンラインを開くたび上の方に記事を挙げていた。もちろんプーチンを悪者扱いする一連の取り組みの一つでしょう。それはいい。いや理解できる。

しかし、そんなことに王室を使うってどうなのよ、という点に、騒ぎすぎですよ、ではすまない居心地の悪さを感じた。

■ 王族は政治から離れているべきというルールが忘れられている・・・

もちろん、立憲君主制下にあっては国王およびそれに準じる立場にある人は政治から離れるべき、と怒っている人もいる。報道の中でも一応出てきていた。

しかし、イギリスの政治家たちが、私的な会話だから、とか、誰にでも意見を述べる自由がある、自由の国だ、みたいなことを語っていて、大物がこの問題を抑えようとしていなかった。これでいいのか!と思うのだった。

いや、これはいかんと思うなぁ、イギリス。何かひょっとしたら、いや英国民には申し訳ないけど、小さい声でいえば、王室の維持が困難な社会になってませんか・・・というような気さえしてしまった。いや、大げさなとは思うけど、この問題は民主主義の教則本みたいなのにはない、王室(皇室)のある社会にしか存在しないルールなので、国民がこぞって理解しておかないと大変なことになると思う。

例えば、もしこれで英露関係に大きな亀裂が入ったり(まぁ、もうずっと入ってますが)、また、万一、今回の顛末はアメリカがクーデーターを仕掛けたことをきっかけとして発生した事態であり云々と、情報の正常化が起こり、当時の政府関係者の責任が追及されることとなった、といった経緯が発生した場合、この皇太子の立場はどうなるんだろう・・・?

イラク戦争の時、結局大量破壊兵器がないとなってからイギリス議会は揉めに揉めたことを忘れたのだろうか?

王室は政治的意見を公にするべきではないというのは、長いことかかって作られた、国家にとって益のある、同時に王室の保持にとても重要な良き伝統だと思う

この理解がしっかりしていないと、王族の政治利用に歯止めが効かなくなり、政治的に使い尽くされる可能性が高まる。危険です。

■ 英王室とナチス

危険というより、ぎょっとしたのは、イギリスの王室にはナチス問題は避けた方がいいのじゃないのか、という理由があるからでもある。

第一に、英王室はナチス勃興時代に少なからぬ親族が親ナチだったと言われている。なぜそうなるかといえば、やっぱり英王室はドイツ貴族由来の人が多いから・・・でしょう。

英王室は、その家名を、第一次世界大戦中の1917年7月、ジョージ5世の時代に、敵国ドイツの領邦であるザクセン=コーブルク=ゴータ公国の名である House of Saxe-Coburg and Gotha を、王宮のあるウィンザー城にちなんでウィンザー家と改称。とてもイギリスっぽくなった。

第二には、こっちは公然の秘密の方で、「王冠を賭けた恋」で知られるエドワード8世は、王冠を賭けた恋の故に退位したのではなく、ナチスとの関係の深さ故に退位させられたから。

(シンプソン夫人とエドワード8世)

で、それがどのぐらい深いのか、あるいはどう関係していたのかを巡っては諸説あるのが現状じゃないかなと思う。ただ、2000年代に入って発表されたFBIファイルが正しければ、シンプソン夫人はヒトラーの外務大臣リッペントロップのエージェントで愛人。エドワード8世はまんまと彼らの策謀にひっかかって、ヒトラー側の人間になっていった、と。

Britain's Nazi King

Britain's Nazi King
https://www.youtube.com/watch?v=LXamWEGhBgA

ヒストリー・チャンネルの番組。

上のFBI説を正しいとして半分ドラマ仕立てで作られたもの。ちょっと作りすぎじゃないのか・・・と私は思ったりもするのだが。

今検索したら、この経緯をまとめてらっしゃる文章を発見。yahooの知恵袋にあった。お借りします。

「歴史通」2009年4月号 「歴史は誰のものか」
京都大学教授・中西輝政

www.youtube.com/watch?v=SGyuDwprO2M&feature=youtu.be

 

このへんの話は、別に秘密じゃないけど、でも知らない人は知らないわけだし英王室も別に広く知ってもらいたいとも思ってないだろう。

が、そういうわけで、早速ロシアのRTが短いニュースの中で、ヒトラーといえば英王室でしょ?と上の話を取り上げていた。RTって英語、スペイン語、アラビア語で配信され、アメリカで外国語放送としてBBCに次ぐ視聴者数を持つ局ですので、へ~初めてしったって人もさぞ多いでしょう。

ROYAL NAZI TIES: Prince Charming and the SS
http://www.youtube.com/watch?v=SGyuDwprO2M&feature=youtu.be

ROYAL NAZI TIES: Prince Charming and the SS

 

なんでこんな話を今頃思い出させてもらっちゃうんだろう・・・。つくづくウクライナ問題は歴史に縁がある。そしてイギリスのここ最近のメディア動向はかなり変だ。いやもっと、なんかイギリス、とっても難しい局面にいるような気がします。


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