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ミュンヘン安全保障会議から10年

2017-12-31 23:27:40 | アジア情勢複雑怪奇

「マスコミに載らない海外記事」さんが、今年の終わりにふさわしい記事を訳されていた。リンクさせていただきます。

アメリカ世界覇権の終焉を予見していたプーチン大統領

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2017/12/post-d630.html

この中で語られる、2007年のミュンヘンのセキュリティーサミット。ここでプーチンは、一極支配は他国にとってもその国自身にとっても有害だと述べ、ロシアは自立した国としてやっていくと宣言した。メルケルやマケインが薄ら笑いを浮かべて、ロシアの大将の話でも聞いてやるかといった態度でテーブルを囲むのを前に。

彼は言った。一極世界というのは“支配者一人、主権国一つという世界だ。最終的には、これは、この体制内部の全ての国々にとってのみならず、内部から自らを破壊するので、覇権国そのものにとっても有害だ。”

あの呼びかけから十年、アメリカ合州国の世界的な地位が、まさにプーチンが2007年の昔に警告した通り、実際目を見張るほど下落したことを疑う人はほとんどいない。

まさしくその通りだと思う。

そして、いったいなぜロシアを、プーチンをそれほどまでにののしり続けるのかといえば、プーチンが我々は独自の外交政策を行うと宣言したからに他ならない。エリツィン時代に作られた属国ロシアをやめると言ったのだ。

しかし、2007年のミュンヘンにおける勇敢な演説で、彼がワシントンの帝国主義政策立案者連中から憎悪されるようになったことは疑う余地がない。要するに、プーチンは、前任者ボリス・エリツィンが、冷戦後の初期の年月に受け入れた属国という地位からロシアは脱すると通告していたのだ。

“ロシアは千年以上にわたる歴史を持った国で、事実上、常に独自の外交政策を行うという特権を享受してきた。この伝統を今変えるつもりはない”と挑戦的なプーチン大統領は述べたのだ。

この大胆な自立と、世界の危険の実に多くがアメリカ帝国主義者の傲慢による直接の結果なのだというプーチンの手厳しい分析以来、ロシア大統領は、過去10年間にわたり、ワシントンによる大変な敵意の標的になっている。

 

こういうことを下敷きに見ると、今日、中国の習さんとロシアのプーチンが交わした新年の挨拶がただ来る新年を寿ぐだけのそれでなく、それは互いの決意をより一層固めていることがわかる。なぜなら、西側はより一層狂ってくるはずだから、でしょうね。

中国Global Timesのニュースのトップにあった記事。来年もロシアと相互の信頼と協力関係を促進するつもりですよ、と習近平さんがプーチンに新年に向けてのメッセージを送り、プーチンの方からも同様のメッセージが寄せられたとのこと。

Xi says China ready to promote mutual trust, cooperation with Russia in 2018 

http://www.globaltimes.cn/content/1082768.shtml

今年の成果として、中国の一帯一路とロシアのユーラシア経済連合がドッキングできたことをあげ、両国は、イノベーション、農業での協力関係のみならず、人的交流、メディアの交流も盛んになってきているとある。

そう、このへんのメディアの交流、あるいはメディアのアウトレットを増やしていくことも重要だと思うな。

なんといっても、世界中のメディアアウトレット(各媒体)の大部分は、西側メディアとある種のシンジケートを組んでいるように思える。だって同じニュースがあれだけ手早く回るんだもの。嘘や著しい歪曲が「真実」になってしまう仕掛けはこれ。

これを覆すためには、ロシアは大車輪で活躍しているが、チャイナの動向も非常に重要。中国はデフォルトでアメリカ好きな人が多いから、ついつい油断していたんだと思うが、現在のような無駄な取り込みは有害でしょう。どうせ西側メディアは、嘘ばっかり言っていることが多くなったし、要するに、冷静に考えれば別に勉強になるような媒体ではもはやないんだから、別に立ち上げていくのがいいと思う。

 

ということで、いやほんと、中国・ロシアはほんとに安定感を見せた一年だったと思う。反射的にいえば、アメリカは嫌われているというより、何か嫌がられてる、困った存在になったなという感じがする。

一部では、トランプがドレイン・ザ・スワンプ(泥をかきだせ)を実行しているのだ、という声もあるし、そういう部分もなくはないと思うが、すべてがしっかり計算づくで出来ているとは私は考えていません。

で、トランプとプーチン&習が組んでいるかのような表現も見るけど、安全保障から見たらとんでもない錯覚ですよね、それ。

本人の意図がどこにあれ、むしろ、アングロ・シオニスト伝来の、カオス作戦の強化版に入っているところもあると思う。つまり、全員を混乱させて、ビックピクチャーを見せず(だからみんな怖がるしかない)、その中での全員のレッドラインを見極めつつ、何かをしかけてある種のカウンタークーデター的に支配権を獲得しようとする手法ですね。

北朝鮮、イランvsイスラエルなんかまさしくそんな感じ。しかし、これは限界がある。

ロシア、中国はそのカオス作戦が思いもかけないことにならないよう、まったくほんとに神経使ってるよなといったところ。

で、結果的に、これによってロシア、中国の信頼感、安心感が高まり、彼らのプレステージはほんとに上がったなぁと思う一年だった。

 

ミュヘン安全保障会議から10年、その前、プリマコフがNATOのベオグラード空爆を聞きつけ、向かっていたアメリカ行きの飛行機を大西洋上でUターンさせロシアに戻った1999年から18年でロシアはここまで来た。18年でここまででできるのだなと人材の優秀さと厚さに驚きもし、しかし、ロシアならずとも、これは出来ないことではないのだとわずかにしてもそこに希望を見る。

 


 


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2 コメント

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ガラパゴスは続くのか (ブログ主)
2018-01-01 17:43:55
ローレライさん、
池上さんも指摘できないし、御用学者は倒錯するばかりだし、もう大変。
日本のリスクは、アメリカ人やヨーロッパ人の中にはこの流れを理解している人がいる、ってこと。
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『プーチンの予言通りの10年』 (ローレライ)
2018-01-01 10:33:23
ミュンヘン会議以来『プーチンの予言通りの10年』とは池上某氏は披露できない指摘ですね。『日本では東側評価はタブー扱い』ですから。
返信する

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