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トランプ就任から2年

2019-01-10 14:43:52 | 欧州情勢複雑怪奇

 

一昨日トランプ大統領が執務室から国民向けに直接語っていた。

これについて日本の報道だと、トランプが壁で困って策を練ってる、みたいな感じでバカにしている調子が目立つ。日経なんかこの調子。

トランプ氏、深まる苦境 政府閉鎖続き国民演説も不発

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO39802390Z00C19A1FF2000/

【ワシントン=河浪武史】トランプ米大統領の政策運営が「ねじれ議会」で苦境を深めている。メキシコ国境の壁にこだわる同氏は8日、異例の国民演説に踏み切ったが「国境警備は極めて重要だ」などと乏しい内容に終わった。政府機関の一部閉鎖は過去最長に近づき、共和党からも造反の気配がある。利上げ批判が株安を助長するなど、最近のトランプ氏の言動はことごとく裏目に出ている。

 

■ 脱線:紙面を持つ≒意見を持つ

日経はFinancial Timesを買わせていただいたので、我々は既にロスチャイルドの一門である、自分は米国大統領より上だ、みたいな気分なんでしょうね。気持ち悪いから「日本」というのを外してほしい。しかしさ、日本の普通の人たちって、考えてみればホント可愛そうな存在。だって、こんな勝手に外国人らのの軍門に下ってる奴のご意見を「日本」経済界、財界の意見みたいにして外に表示され、その結果を「日本」だからというので私たちが取らされるわけでしょ。バカみたい。

一般紙でも何紙でもいいから、こういう「グローバリストのネットワーク」に入ってない紙面が本当に必要。

赤旗が続いてる共産党は大したもん。社会党も昔、社会新報というのをやっていたし、聖教新聞持ってるところもある。この意味は何かというと、表現手段を確保しないとやられちゃう、ってことでしょ? 国家権力は強い、情報をいじられる、デマでやられると前世紀の左派は学び、そうならないよう対処したってことでしょ。

そこで思うのは、民主党とその派生形の諸政党のことですよ。30年間、与野党伯仲にするのだのへちまだのといいながら、一紙の社会新報も、一紙の赤旗も作れなかったわけですよ。世の中小金持ちはたくさんいるんだし、都合のいいことにインターネットも活用できる時代だった。やる気があったらできる取り組みでしょ、これ。しかしできなかった。やる気がなかった。そういうしかないでしょう。

ではなぜそういう発想がなかった(と思える)のか。多分、国家権力に逆らうなんてのは左翼だ、ぐらい思っていたからでは? つまり、共同でマネージできるはずだ、みたいな、むごたらしくもかわいらしい発想をしていたのではなかろうか。アメリカの国務省さんもいいと言ってるし、とか。

しかし、長く続いた一つの体制を変えるとは、どうあれ、権力に逆らうことになるんですよ。たとえ自由主義と新自由主義の間でも、社会主義と新社会主義の間でも、あるいは同じ中国共産党の中の世代交代であっても。そこらへんの、教科書には書いていないだろうがしかし歴史を見れば明らかであるような、権力の仕組みと変化、変更、交代について、過去30年間、新しい野党をとか言っていた人々にはなんの知見もなかったという他ない。

 

■ トランプのその他の発言

実際問題、不法移民対策は別にトランプが突如言い出した話でもないわけだし、国民の支持も一定以上に実はあるわけで、これってむしろ民主党がバカなカードを引いたというべきなんじゃなかろうかと思ったりもする。

ともあれ、緊急事態宣言がかけられる可能性が目に見えるようになった、という点は注視すべきでしょう。ニクソンだって、そうやってお話ししたたわけですし。

トランプは、壁のtwitterの前には、

終わりのない戦い。特に何年も前になされた判断の誤りから出て戦われたそれ、そして、我々のやっていることから大きな便益を得ている豊かな国から我々は金銭的にも軍事的にもほとんど支援を受けていないというそれ。それらは最終的には、名誉ある終わりになるよ!

 

Endless Wars, especially those which are fought out of judgement mistakes that were made many years ago, & those where we are getting little financial or military help from the rich countries that so greatly benefit from what we are doing, will eventually come to a glorious end!

 

などというtwitterもしている。

終わりのない戦いが続いたが名誉あるやり方でそれは終わりになる、っつってんですからね。これは変化の予告でしょう。

何年も前の判断間違い。これはいつが何年も前なのか。many years agoってのは、通常3年や5年のことではないが、いったいいつのことなのやら。

 

でまぁ、日本もその豊かな国ってのに入っていることを日本の報道状況を見ていると国民に知らせるというか、状況はこんな感じですからねと言う気さえない。

 

あとこれも。

我が国のフェイクニュースメディアこそマジもんの「反対党」。これは本当に人々の敵! 私たちはジャーナリズムと報道に正直さを取り戻す必要がある!

....The Fake News Media in our Country is the real Opposition Party. It is truly the Enemy of the People! We must bring honesty back to journalism and reporting!

 

Opposition Partyは通常「野党」だが、野党だとそれ自体議会制民主主義にとっての建設的な意味を含んでしまうので、文字通り反対党としてみた。その他はニュートラルに訳したけどこれは、

我が国の偽物ニュースメディアは何でも反対する集団だ。これこそ人民の本当の敵である! 我々はジャーナリズムと報道に正直さを取り戻す必要があるのだ!

とか訳すと革命集団っぽいですね(笑)。翻訳ってこうやって簡単にチューンナップされていることに多くの人はどうも気づいていなそうなのが心配。

 

■ 何が来るか知らないけどおさらいしておく

どうなるのかわかりませんが、おさらいしておきましょう。2017年1月のトランプの就任演説を。

私の感想はこれ。

全体としていえば、ワシントンD.C.を根拠としてアメリカに巣くっているお前ら、お前らの時代は終わった。これからはアメリカ人によるアメリカの国を作るのだ、と言っているという話なわけで、これはもう、エスタブリッシュメントへの勝利宣言または宣戦布告のようなもの。

ドイツの議員の誰かが、あれは就任演説なんかじゃない宣戦布告だと言って議論を巻き起こしてたようだけど(ゼロヘッジで見た)、実際その感想は正しい。

トランプ就任スピーチとあさっての方を見てる日本の事情

 

とても重要な部分は、ここ。

今日は、権限を、ワシントンの特別な人々から、あなたがた一般人に返す日である、と言った部分。

Today's ceremony, however, has very special meaning because today, we are not merely transferring power from one administration to another or from one party to another, but we are transferring power from Washington, D.C. and giving it back to you, the people.

 

これを日本のNHK他の報道は、「アメリカ国民に返す」と訳して伝えたが、それでは意味が通らない。なぜなら、ド金持ち集団もアメリカ国民かもしれないから。

トランプは、アメリカの一般人に、特殊な人々ではない人々に返すと言ったわけです。強烈な反エスタブリッシュメントであり、その意味においてこれは通常私たちが学校で習うセンスに従えば、左翼の革命のようなものだ、と言ってもまったく問題がない。

しかし、大変革を左翼の、つまり社会主義に向けた取り組みにしかないものと考える理由はまったくない。実にまったくない。日本では、保守とは保守である、日本の伝統を~みたいな訳のわからないことを延々言ってますが、世の中には保守革命というのもあったし、あって悪い理由もまったくない

 

■ 2年経って

で、トランプが大統領に就任してから2年が経つわけだけど、まず第一に2年もったんだな、と思う。殺されるんじゃないかと真剣に言っていた人が多数いたし、民主党とメディアと大金持ち集団は結託して、弾劾すると大騒ぎをしていた。ロシア・ゲートとかいう訳がわからない騒ぎも作ったが、何一つ決定打がないどころか、要するにクリントン夫妻ってスゴイ酷いという話だけがなお一層人々の印象に残った(笑)。

結果から見れば、トランプはいろんなところに手をつけたが、実は何も達成していないと言うこともできる。シリアも半端、北朝鮮も半端、ロシア関係は悪化、イランはずっとボトム、中国関係も悪化。

しかしながら、国民の多くと約束したように、シリア、アフガンから撤退したいという方向性や、グローバルとか知らねーよ、いろんな国と交易してアメリカが首位に立ちゃいいんだ、といった方向性(雑だが)を堅持してはいる。

そして、逆説的だが、トランプがこれまでと異なるアプローチで入っていくことによって、自国民や当事国、その周辺国の国民が反応を起こし、これによってそれらの人々の意思や傾向を確認することができた。

シリア撤退を米の大多数の国民は歓迎することがわかった、というのは成果でしょう。

もう、ヒラリーが出てきて「ノーフライゾーンを!!」とか「アサドは退陣を」とか言っても、お話にならない。懲りずにイギリスが、アサドが化学兵器を~とかやればやるほど、イギリスは黒幕なんだなと受け取られるという展開まで付いてる。

 

総じていうのなら、ディープステートの金持ち集団はそりゃ元気なんだろうが、それらの手足となっていた米国務省だのCIA、軍・諜報、MI6などの西側諜報、そしてそれらの手足の主流メディアネットワークの信用が著しく棄損したため、これらのプレーヤーが総がかりとなって行う911や「アラブの春」的な、事件よ→危機だわ→やむを得ず介入よ、という連鎖を作ることは日々困難になっている。

これは、広く一般人にとってゲインというべきではなかろうか。

ということで、トランプ登場による変化は生じ、この変化は現在のところ戻れるようには見えない、ということができるでしょう。

 

■ オマケ:欧州方面の底流の変化

ついでにいえば、日本人の興味関心フィールドに入ってこないからなかなか日本語になってこないけど、クリントン時代の荒仕事は、シリア、リビアだけでなく、ユーゴスラビア解体からず~っと語られ続けている。

最近見たのは、当時NATOのフランス部隊の責任ある立場だった人が、ユーゴ問題は嘘だらけで、セルビアを偽情報で追い詰め爆撃した。俺たちが知っていたヨーロッパはこの時終わったのだ、みたいなある種の告白と告発の書みたいな本を出していた。

L'Europe est morte à Pristina
クリエーター情報なし
メーカー情報なし

 

こういうのが出て来ると(これが初めてではない)、まだつい20年前のことなので、実は俺もどこそこの部隊にいて、とかいう人たちが慚愧の念を持ってあちこちに書き込んで来る人がネット上に出て来る。アメリカ人もフランス人もイギリス人もいる。だって、あれこそ、後のブッシュ時代の嘘八百を基にしたイラク戦争の前哨戦みたいなものだったから、終わってみれば、なんということをさせられたんだ、俺たちは、となるわけね。

それがトランプに何の関係があるんだよ、と思う人もいるかもしれないけど、この動きはやっぱり関係大ありなんですよ。

(ついでにいえば、これこそドイツ統一とはドイツの再ナチ化のことだった、の表明のようでもある。前回の時のバルバロッサ作戦の直前にもナチはバルカンのスラブ系住民を虐殺しまくってる。→後述オマケ2へ)

なせなら、ユーゴ解体こそNATOが明らかな侵略軍に変貌した戦争だったから。ここからヨーロッパはおかしくなったと考える人が出てきても不思議はなく、アメリカ人もこの件は実に居心地が悪い。NATO東方拡大についてはアメリカ人は当初から懐疑的な人たちがかなりいた。

ちなみに、オバマが、クリミアを切り取ったロシアはヨーロッパの戦後秩序を壊したと語っていたが、それこそ全くの嘘。

嘘情報を基にヨーロッパの主権国家に軍事介入して国をばらばらにして、コソボを切り取ったのはNATO諸国たるヨーロッパとアメリカ、カナダ。つまり、自分で壊してる

また、クリミアの住民は住民投票をして圧倒的多数がロシアへの帰属を表明する機会があったが、コソボではそのようなことはまったく行われていない。これも重要。

そして、人身売買はおろか臓器売買までやっていた、信じれられないほどに悪質、醜悪な人たちを使ってアメリカを含むNATO諸国が切り取ったコソボは、2008年以来、米とEU諸国+日本が国家承認しているが、その他世界がしておらず、むしろ2008年に承認した国家が10カ国ぐらい減少している。

 

こうやって過去が暴かれていくことが止められない、人々がはばからず口にし次から次からタイプアップして語ろうとするこの傾向が存在することが、そもそも、オバマまでの時代の圧倒的なドミナンス(支配)が壊れていることの証左だろうとも思う。

 

■ オマケ2

バルカン側でのナチ勢の暴虐というか、無残さの例としては、

ヤセノヴァツ強制収容所などの存在が有名か。しかし日本語のwikiのこの異常な短さは何?と驚く。ここ

とりあえず各国語版の長さだけでも見ておいて悪くはないと思う。クロアチア独立派が作ったキャンプ。

で、ここらへんの犯罪は西側のジャーナリスティックな記事ではほとんど言及されないし、アカデミズムが表す第二次世界大戦ものでもさらりと流される。

しかし、ここが加わり、また、私がしつこく騒いでいるポーランドからウクライナ、バルト三国あたりで起こった虐殺もの一般をまとめると、到底、ナチスドイツの犯罪はユダヤ人虐殺でしたなどとは言えなくなる。

つまり、戦後作られた「ホロコースト」神話は政治的な道具にすぎなかったという話にもつながるし、それを放置させてきたことそのものが、西から東への侵略行動の全貌を明らかにさせることを阻んでいた人たちがいたことを示唆する、とも言えるでしょう。

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4 コメント

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Enemy of the people! (ブログ主)
2019-01-11 15:03:55
私は黙らないさん、

バーニーはほんと後がいけなかった。そもそも民主党員じゃないんだから、俺は知らないでもよかったのにね。労組などの既存の民主党支援集団が、ヒラリーを見切って地域によっては実は半分近くがトランプに行ってたというのが、トランプ現象で大事なところだと思う。

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Controlled Opposition (私は黙らない)
2019-01-11 04:40:11
日本の野党、要はControlled Oppositionってことじゃないのかな。私は、これを「ガス抜き隊」って勝手に解釈してるのだけど、アメリカもそう。バーニーだって、結果、「ガス抜き」でしかなかったわけだし。
(党ぐるみの不正な操作で敗北したとたん、ヒラリー支持に回るって一体アンタ何者よ。)
All those SUCKERS are the ENEMY of the PEOPLE!
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アンチ東部エリート (ブログ主)
2019-01-10 18:11:02
ローレライさん、

確かに、ハト派と言ってもいえるんですよね。

なんとかく第二次世界大戦後、アイゼンハワーあたりの時代に、中南部にたくさんいたという、「東部のエリートが俺らを戦争に連れていきやがった」という東部エリート不信の具現化がトランプという気もします。

その意味では、西海岸に逃げて行った東部出身大学生などのピースニクと同じ群像だとも言えると思う。まったく不思議だけど(笑)。

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タカ派の濡れ衣をされる、ハト派大統領トランプの2年! (ローレライ)
2019-01-10 17:03:39
タカ派扱いの濡れ衣される、ハト派大統領トランプの2年目と言う話で、アメリカの民度に合わせてタカ派大統領の濡れ衣に耐え続けたトランプ大統領、御苦労様でした。濡れ衣をいつもされている、東側の指導者達は上手にトランプ大統領のプロレス外交に付き合って来た2年でもありました。
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