香港のデモが続くにつれ、デモへの理解を示す人々は内でも外でも日増しに減っている気がする。
陳茂波財政官は28日にブログへの投稿で、抗議デモが安定したビジネス環境を誇ってきた香港の評判をますます傷つけているとし、地元の小売業や飲食業の多くが事業の「急激な落ち込み」に見舞われていると指摘。抗議活動が長引けば、中小企業がさらなる圧力に直面すると警告した。利福国際集団が運営する百科店のそごうは28日に休業した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-07-28/PVCQ1U6TTDS001
昨日見た、空港で人品骨柄いやしからぬといった風情の老人を抗議のあんちゃんたちが取り囲んで、へんなプラカード(紙だが)を背中に貼り付けている光景など、抗議の若い衆たちのクォリティに疑義をつきつけるに十分だった。
Can someone explain what are these Hong Protesters doing to this old man in Hong Kong airport? pic.twitter.com/FudeAK4OF3
— Carl Zha (@CarlZha) 2019年7月26日
何なのこの人たち?って感じ。
こんな紙を挙げている人がいるらしいんだが、
チャイニーズは入ってくるな、ここは香港だ、台湾は独立だ、チャイニーズを追い出せ
とか言ってる。
なんとなくウクライナ危機の時のように、中身が見えれば見えるだけ一般人は引いて行くという展開になってる。
それでもウクライナの場合は、オバマ政権はそこで民間航空機を撃墜して、それをロシアのせいにすることによって欧州に対ロ制裁を発動させて、世界中の主流メディアを従わせることに成功した。
もちろんこのバックラッシュは巨大だが、それをコントロールするためにもあと4年やりたかったんだろうなと考えることもできる。
ウクライナのオリガルヒの1人、Viktor Pinchukとクリントンの金がらみは今に至るまで解明されてないけど、これはそのうちやっぱり大っぴらいになる可能性を秘めてると思うな。
最近もロシアのプーチンが、Pinchukの名こそ出してないが米民主党とウクライナのオリガルヒの間に資金提供問題があることは、これって別に秘密でもなんでもないだろうと言ったりする。(オリバー・ストーンの新しいインタビュー)
で、香港のケースを見るに、かき混ぜてかき混ぜて、中国当局が強硬策めいたことをするのを待ってるって感じだったんじゃなかろうか。
ところがそうはならなかった。
そこでひたすら世界中のメディアへの露出を意図しているのでは? ロシアの反政府派であるらしい一群もまったくそんな感じ。そもそもお前らの無法っぷりが問題だろうと見てる人はわかるが、世界中の主流メディアは、ロシア当局が市民を拘束、拘束、こうそくーーーーーと書く。
どうするんでしょうね?
■ 少数者暴力の系譜
ウクライナのマイダンの過激派も、今回の香港の一群も共通しているのは、抗議者は実のところ席について何か問題を解決しようとしているのではなくて、ストリートで決しようとしている。つまり単なる権力闘争的。
ウクライナは、ヤヌコビッチに辞任しろと迫り、ヤヌコビッチは早期の大統領選に納得して、独仏ポの外務大臣が承認した、そこから暴力が始まる。
香港は、被疑者引き渡し条例についてとりあえず香港当局は一時棚上げにした。そこからむしろ暴力的になる。
日本の明治維新も徳川さんは大政奉還して、ある種の合議制を考え出した。そこから暴力が始まる。
ロシア革命はいわゆるメンシェビキが政権取って、なんとなく収まった。そこから暴力が始まる。
といった具合で、こういうパターンが来た時には、外側からの支援を疑った方がいいでしょう。
言ってみれば、外付けの革命教唆装置みたいなもの。
それに対して、もうそういうことはしないというのが、革命にこりごりのこういう人たちなんじゃなかろうか。
これはロシアの5月9日のビクトリーデー恒例の「不滅の連隊」の様子。
近年、毎年、国中で800万から1000万人ぐらいの人が外に出て、大祖国戦争当時の自分の祖先の写真などをもってパレードというかマーチというかをする。
ロシア世界が守られてよかった、守ってくれた祖先に感謝する、今度は私たちが不滅の連隊となってロシア世界を守る、ってなのが趣旨だと言っていいでしょう。
もし、沢山の人間が何らかの支持のためにデモンストレートすることが民主主義的で良いことなのだというのなら、世界中のメディアはこぞってこのマーチを毎年取り上げるべきではないのか? これこそ大多数のロシア人の確固たる意思の表明でしょう。
人口の5%ぐらいがマックスだろうと言われているロシア国内のいわゆる「リベラル派」の動向だけを取り上げるというのは、まったく不公正で、そして、現実のロシアを知るためにまったく不正確な話。
■ ないとは思うが・・・
で、ふと思うに、中国当局が、中国版の不滅の連隊マーチをやり出したらどうなるんだろう?
香港の一部の人たちは、自分たちは香港人であって、中国人じゃないとかまで言い出す始末で、大陸のチャイニーズという存在をやたらに嫌う人たちが目につく。しかし、大陸チャイニーズと香港チャイニーズって、ほんの1世代か2世代前まで何の違いもないし、香港は元々大きな都市だったわけでもなんでもないからそもそも周辺からの移民で成り立ったようなもの。それを、大陸チャイニーズが私たちを侵害してるみたいな騒ぎを起こすというのは、おそらく大方の大陸チャイニーズにとってはまったく受け入れられない話だろうと思う。
そこで、中華世界が存続してよかった、中華世界の存続のために外国人を追い出した我々の祖先の戦いはもっと称賛されるべき、今度は我々が不滅の連隊となって中華世界を守るのだ、という、大まかにいえば既に当然にチャイナに存在している見解をもっとわかりやすく見せ出したらどうするんだろう、など思ったわけ。
そうなったらアメリカやイギリスは何って文句をつけるんだろうか? コミュニストが~とか言ってもまったくむなしい。
外国人が入り込んで出て行く目途さえつかない状態をひっくり返してチャイナはチャイナだという状態を作ったという点で、日本や英米が何を言おうがチャイニーズにとっての中国共産党が無価値になることはないでしょう。それはスターリンとソ連赤軍に対するロシア人の態度と同じ。
■ オマケ
第二次世界大戦とはソビエトと中国が多大な犠牲を払って終わった戦争。そしてこの戦争の成果を、小さな犠牲しか払っていないアメリカとイギリスが総取りしているのが冷戦期からこれまでのいわゆる英米覇権というものですね。前から言ってますが、英米覇権はソ連の人2700万人の死体の上に乗っている。
第二次世界大戦の死者の数。赤が兵士、オレンジが民間人。青は1939年の人口に対する比率。
「世界独り占め計画遂行国配下の国々では、革命教唆装置デモだけは大々的に放送される 」
http://dendrodium.blog15.fc2.com/blog-entry-3111.html
今日の天木直人さんの記事の結びは、
「メディアは日米安保条約の最大の擁護者であるということである」でしたが、
メディアは日米安保だけでなく、米欧覇権遂行全般の擁護者でもあるのですよね。
毎年,ウクライナの ИНТЕР が 5 月 9 日の戦勝記念日に行っているコンサート。今年の映像です。
https://www.youtube.com/watch?v=QEOzbKuCAB8
最後の 2:24:30 から,Победа. Одна на Все с Днем Победы! の掛け声とともに始まる Навязывая высоте で皆が立ち上がり,おじいさん,ひいおじいさんの写真を胸に,会場が一体となるシーンは胸がつまります。
これを見ると,ロシアと一体化していたウクライナとロシアの間に線を引いたのは誰なのか,本当に馬鹿なことをしてくれたものだとつくづく思います。