先週あたりから、妙にアジアインフラ銀に関する記事の量が増えた。独仏イタリア、スイスあたりの参加表明がきっかけなんだろうか。
しかし、これは去年にプランが発表された時に検討すべき課題のような気はするけど、その時には鼻もひっかけませんという態度だった。
結果的にはこのまま日本は関わらないと思うけど、最近になって麻生財務大臣が多少なりとも揺れた発言をしているのは、いわゆる保険ということなんだろうと思う。
日経新聞にやや詳しい話が出ていた。
アジアのインフラ資金を供給する国際機関としては66年に日米が主導して設立したアジア開発銀行(ADB)がある。ADBは17年から融資枠を5割増やす。ただ増資は見送り、現在の自己資本に低所得国向けの基金を統合するなどのやりくりで資金を確保する方針だ。
増資時に中国の出資比率が拡大すれば中国の発言権が拡大してしまうとの警戒感が日米に根強いためだ。中国の発言権拡大を封じ込めようと増資をためらっているうちに、欧州勢も参画するAIIBの設立が今年末に迫ってきた。
アジア通貨外交 後手に回る日米 日韓協定打ち切り/インフラ銀に欧州勢 中国警戒も構想持てず
http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS04H0Q_U5A300C1EA1000/
要するに、アジア地域のインフラのための資金は既存のアジア開発銀行だけでは足らないと分かっていたけど、増資して規模を拡張すると出資非利率の関係で中国の発言権も大きくなる、だからそのままにしちゃいました。すると別口ができました、と。
これはそのままIMFも似たような状況。
で、この状況は今日わかった話じゃないわけで、であればなんでもっと早くから皆様にお知らせしないんでしょうね。日本マスコミおよび日本政府は日本国民に対してだいたいにおいて不誠実なので驚きはしないけど、今頃いろいろ理由を書いているのはなんでなのか、それは気になる。
■ カザフスタンとロシア圏
一方ロシアでは、プーチンがカザフスタン、ベラルーシとの通貨統合を呼びかけている。
Putin: Russia, Kazakhstan together can overcome economic difficulties
http://tass.ru/en/economy/783947
カザフスタン・ベラルーシとの通貨同盟検討を=ロシア大統領
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL3N0WM3RD20150320
おそらくカザフスタンのナザレバエフが健在のうちにこれはやるんだろうと思う。といってロシア人にとっては別に嬉しい話題ではないだろうとも思う。ロシア圏じゃなくてロシア共和国のロシア人にとっては、実は現状は悪くはないんだよね。というのは、周辺諸国との関係強化というのは殆ど一方的にロシアの持ち出しのケースが多いから、今ってロシア帝国時代、ソ連時代から見たら非常に身軽だとも言える。
でも安全保障を考えるとカザフスタンを30年先、50年先を見据えてロシアと一緒の地域にしておくことは、ロシア圏にとって重要だと思う。
前から何度も書いてるけど中・長期的な焦点はカザフスタンだと思うんだよね、私は。
このへんで書いたイベントがだから去年一番大きなイベントだったと今でも思う。
グレートゲーム v.2.2:NATO、イランとロシアにカスピ海から締め出される
なぜか。それはカザフスタンはスラブ人じゃないし、正教徒が根本で根強いって人々じゃないから。だからイラン、中国の勃興と共に離れていくオッズは、ベラルーシやウクライナ、あるいはグルジアあたりと考えても高いと見積もってもいい、少なくとも見積もることが可能。
この体制で鉄道を敷いたりすれば、西から欧州、東からチャイナが迫って来るも同然。時間と共にイランの影響力の伸張もあるだろう。だからこのへんはロシアとしては慎重に我々は共に富める体制です、ってのを作らにゃならんということだと思う。
そう考えて来た時、過剰にウクライナに拘った、金融資本屋さんというか、ぶっちゃけハザール系の人たちってことなんだと思うけど、このへんの人たちの作戦って私は「悪手」だと思う。ウクライナは結局のところモスクワ・ロシアのロシア人が生存し、強い限り、そっちに引っ張られるのが自然だから。
せいぜいいっても、洋服を着ようがちょんまげ切ろうが、憲法持とうが民法作ろうが日本人は日本人だった、みたいな折衷的な the Westにしかならん、というのが私の考え。
だから、いわゆるネオコン派の、ウクライナなしではロシアは大国にはならない → だからウクライナをロシアの影響圏から外すべきだ、という発想は、戦略的なようでいて実は単なる彼らの欲望の表明に過ぎないんじゃないかともみえる。
ハザールのネットワークを駆使して近代に富をなした金貸しを本業とするファミリーが黒海北岸の領有を希望しているので、私たちはお手伝いしていますと言えばいいんじゃないか、アメリカ&EU、と思ったりもする。あはは。
■ 太平洋を見つめる直轄領
というわけで、私は前から言ってるように現在の本戦はむしろ中央アジアでしょ、という感触を今も持ってるんだけど、その場合日本の立ち位置はどうなるのか・・・。どうなるってか、そもそも10年ぐらい前から日本は、環太平洋地域のアジアみたいな基調になってると思う。
そうなのよね。安保体制がまずそうなってるし。各種の多国籍企業の枠組みも日本ってオーストラリアと共に、アジア・パシフィックとかいう区分に入ってることが多い。この場合のアジアはアジア全域じゃなくて、太平洋と太平洋側のアジア、みたいな区分。なんとなく、無理やり隣国はアメリカ、オーストラリアだという意識を植え付けられているような気もする。東南アジアへの意識もそんなに盛り上がらないから、要するにずっと太平洋を見る、みたいな感じ?
しかし実際のビジネスは普通にチャイナ奥深く、ロシア奥深くも結構やってるわけだし、そもそも文化的にはいくら日本が単独、孤立の文明ですっつったってユーラシア側からの影響を抜きにして語れるわけもなし・・・。どうなっちゃうんだろうか。
日本はアメリカ幕府に対して外様から普代へと進み、さらに進んで親藩のような意識で、我こそは一の家来~、忠臣は二君に仕えず、とか律儀なことをしてたら実際には単なる直轄領になってました、みたいな位置にいると思う。
安保法制成立へ意欲=「切れ目ない対応可能に」—安倍首相
http://jp.wsj.com/articles/JJ10598506312738034562117963391321847804002
いろいろ言っても実際のところ、上様の御命令に、万全を期して切れ目なく対応させていただく所存です、とかいう態度なわけだよね。直轄領には上様に意義を申し立てる権利はないから、なにが変でも「この道しかない」となるのは理の当然。
ハーゲンダッツ4,800円セット(ラッピング付き) | |
ハーゲンダッツ | |
ハーゲンダッツ |
ハーゲンダッツ業務用2L (バニラ) | |
ハーゲンダッツ | |
ハーゲンダッツ |