ウクライナ問題はNATO問題なので、笑ってられない大変な問題なんだと書いたばかりでなんだけど、なんだかおもしろいニュースを発見。
Hungary's PM calls again to grant autonomy to ethnic Hungarians in Ukraine
http://voiceofrussia.com/news/2014_05_17/Hungarys-PM-calls-again-to-grant-autonomy-to-Hungarians-in-Ukraine-7395/
Orban renews autonomy call for ethnic Hungarians in Ukraine
http://news.yahoo.com/orban-renews-autonomy-call-ethnic-hungarians-ukraine-113513393.html
ハンガリーの首相が、ウクライナ内のハンガリー系住民には自治が認められるべきだと主張しはじめている。ザカルパーチャのことですね。
先週1回出たけど、確か外相がそういう意図ではありません、と否定していたので成り行きで何か言っただけなのかと思ったら、どうも首相が再度主張しているらしい。
キエフ政権が「ウクライナ化」してロシア系住民を苛めようとしている中にあっては、ある意味当然。なんでハンガリー系住民がウクライナ化しないとならないんだよ、となるよ、そりゃ(笑)。
これって、ある意味、ハンガリーからのロシアへのアシストではないのか?と疑ってしまうのだが・・・。
つまり、ウクライナは複雑なんだから自治権を与えて連邦化(どこまでの自治かはいろいろあるだろうけど)しないとウクライナはまとまりません、と再三再四ロシア政府が言っているのに、まったく進まないのが現状だから、そこに、登場、と。
■ ウクライナはそもそも歴史的「unity」じゃないもので・・・
前に1911年のオーストリア・ハンガリー帝国の地図を見ながら、現在揉めている場所の前の姿を考えたことがあったけどこれがまた役に立つわ。
1911年のオーストリア・ハンガリー帝国の地図
で、現在ウクライナと呼ばれているところは、ざっといって東側、つまり右側はほぼロシア人。一回も「西欧」的なところに支配されたことがない地域で、1922年にレーニンが「ウクライナ」に入れたもんだから、その後100年間でウクライナ化が進んだ地域。
難しいのは西側。黄緑のところ。そこはだいたいポーランドの影響を受けていると書いた。しかし、ハンガリーにも接しているわけで、そこにはハンガリー系住民が相当程度いる・・・。
このオレンジのところが1911年のハンガリー人の分布。
現在でいえば、左はじの一番下、47%のところ。ここがハンガリーに接している。
■ 自治でいいの?
この部分はとても面倒くさいところ。実際問題、元をただせばハンガリーでいいと思うけど、その後ハンガリー・オーストリア帝国が第一次世界大戦に負けたのが運のつき、一瞬だけ存在した西ウクライナ共和国に取られ、この国はすぐに消滅するので、そこからチェコスロバキアの一部になり、しかし、そのうちドイツの占領時代が来て、最終的にドイツが負けて赤軍が来て、ソ連内のウクライナ共和国の一部になったところ。
気の毒なほど負けるたびに売り渡されていった。
で、そのソ連も終わったので、1991年にウクライナ内で自治区にしてくれと住民投票をして多数を取ったけどけど認められなかった。
自治というより、もうハンガリーに返せば?と無責任なことを言いたくなる地域だけど、州全体から見れば圧倒的にウクライナ&ロシア人口が多い。ということは、土地全部という話にはならないけど今もってハンガリー系住民は固まって住んでいるようなので切り分けは可能っぽい。
ハンガリーは、でも、ここよりももっと、ルーマニアになっているトランシルベニアの方にも遺恨があると思う。
そして、逆に、スロバキアあたりにはルシン人という広義にいえばロシア人の人たちがいる・・・。
この際みんな遺恨試合をしてみる?