土岐市美濃陶磁歴史館。岐阜県土岐市泉町久尻。
2024年3月29日(金)。
「開館44年収集の軌跡Ⅲ『挑戦!重要文化財2,000点並べてみる』」の続き。
元屋敷陶器窯跡から出土した安土桃山時代から江戸時代の出土品のうち、2041点が重要文化財に指定されている。
窯跡は、元屋敷東一、二、三号窯跡と、美濃窯最古の連房式登窯(れんぼうしきのぼりがま)である元屋敷窯跡の合計四基の窯跡で構成され、「元屋敷陶器窯跡」として国史跡に指定されている。
本件は、これらの遺構や物原(ものばら)から出土した、安土桃山時代から江戸時代にかけての陶器の焼成不良品を主体とし、これに匣鉢(さや)や円錐ピン、焼台(やきだい)などの窯道具や窯材が加わる。
元屋敷陶器窯跡での陶器生産は、16世紀後半の築窯当初は、従来からの天目茶碗・皿などを主体とした組成であった。そして、16世紀末に茶陶や食器のなかで黄瀬戸(きせと)・瀬戸黒(せとぐろ)といった新しい意匠をもつ陶器生産が始まる。
さらに志野が生産されるようになると、17世紀初頭には茶陶や高級食器の量産がはじまり、連房式登窯(れんぼうしきのぼりがま)の導入後には器形・文様・色彩など、多彩な意匠を見せる織部(おりべ)が本格的かつ多量に生産された。
このあと、美濃焼陶磁歴史館の北西数百ⅿにある国史跡・元屋敷陶器窯跡を野外展示している「織部の里公園」まで、受付で貰った地図を手にして徒歩で向かった。