マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

『根津美術館』へ

2010年05月25日 | 東京散歩

                        
 1週間前の5月19日(水)の午前中、家人に誘われて根津美術館に出かけました。根津美術館は3年半を掛けての新築工事が終わり、昨年10月7日新創開館していました。開館から1年間は、8回にわたる新創記念特別展が開催され、今回がその5回目。「琳派コレクション一挙公開」と名打って「国宝燕子花図屏風」などが展示されたのです。 (写真:美術館前に張られたポスター)




 私は改築前の根津美術館へも行った事がありません。全てを家人に任せ付いて行きました。美術館到着が10時直前、5月23日(日)の最終日が近いせいか開館前に既に多くの方が並んでいます。
                                                           
                                          
尾形光琳の国宝「燕子花図屏風」は、『伊勢物語』第9段に登場する三河の国八橋の燕子花を題材として、意匠的な画面構成と優れた技法が渾然一体となった日本絵画の名品です。この「燕子花図屏風」が、4年ぶりに根津美術館の初夏を彩ります>とあります。
 高校時代学んだ『伊勢物語』に登場した「かきつばた」、これを題材として尾形光琳が描いた屏風を目の当りにしました。絵心の分からない私ですが、濃淡の群青と緑青によって描かれた燕子花、美しいと暫し見入りました。(写真:庭から美術館を見る)


  
 

 他に「桜花蹴鞠図屏風」や「四季草花図屏風」なども展示されていて、尾形光琳が描いた色彩鮮やかな世界を垣間見て、庭に出ました。細い坂道を下ると小さな池があり、そのには何と「かきつばた」が群生しています。見事な演出にも思えます。ここ根津美術館は庭園としても素晴らしい。高低差を上手に利用しての庭園。森林浴も楽しめ、何度も訪れたくなるお庭でした。(写真:池へ下る坂道)














 根津美術館を後にして、家人は「教え子がやっている小さなお店に行ってみたい」と言いだしました。「雑誌に登場して、元気に活躍しているらしい。一度行った事があるので何とか行きつける」とも言いました。少し迷いましたが、全く偶然にその教え子さんと再会。そこは中国古美術品を扱うお店で、カフェも兼ねていて、家人と教え子さんは”いにしえ話し”に花を咲かせ、私は木のカップで美味しいコーヒーを味わい暫しの休息の後表参道を後にしました。

 

 

『黒田塾』第6回

2010年05月25日 | 行政書士奮戦記

 5月22日(土)、この週の土曜日も晴れ。午後1時に六義園内「心泉亭」を後にし、渋谷へと向かいました。

 『黒田塾』第6回目からは事例研究です。「黒田行政書士事務所」に相談に来られ、遺言公正証書の原案作成を依頼された件について、遺言者・依頼者の意向や周辺事情を踏まえてどのような原案を作成したが研修内容。今後はこの事例研究が、最後まで続く事と思います。

 左の図で今回の事例1の周辺事情を述べます。依頼者は三男E男、遺言者はその母B子。B子の夫は既に死亡し、現在は三男夫妻とその子供たちと生活を共にしています。
 問題はその推定相続人の三男、後遺症のため、やや判断能力が衰えています。その三男の妻は遺言者である義理の母B子の世話ばかりでなく、夫の日常生活も補助しなければならない状況にありました。こういった実情は訪問をして初めて知る事。一度は訪問した方が良いと先生は強調されます。

 遺言者の最大の心配は三男が自分より先に死亡すること。その場合、自分の財産は推定相続人のC男とD男が相続することになってしまいます。E男死亡後も遺言者B子はF子に世話をして貰うことになるのが一番良いと考え、三男E男が相続するはずの財産を嫁F子に”相続”させたいと望んでいます。そのような遺言状の原案作成をE男が依頼に来たのです。

 「遺留分」の問題を避けて通れません。現在は比較的裕福な生活を送っている推定相続人C男もD男も、母の全財産がF子に”相続”されたとなれば、「遺留分減殺請求」するかも知れません。どちらにもかなりの割合の「遺留分」があります。この様な場合に、黒田先生にはゆるぎない方針があります。遺言執行をあえて複雑なものにしないためにも、相続人の交際関係を悪化させないためにも、遺言者に了解を求め、相続人全員に相当の財産を相続させる遺言原案を作成するのです。

 調査した結果財産は①土地付き居宅の不動産G(B子とE男一家が居住) ②土地付き居宅の不動産H ③その他預貯金約1,700万円

 これらの状況のもと作成された「遺言公正証書」の原案は、その趣旨の部分を抜書きすると
第1条 遺言者は本日以前に作成したすべての遺言を撤回する
第2条 遺言者は、不動産Gを、三男E男に相続させる。遺言者と同時もしくは遺言者より先にE男が死亡した場合には、不動産GをE男の妻F子に遺贈する。以下各条においても同様とする。
第3条 遺言者は不動産Hを息子3名に各1/3の割合で相続させる
第4条 遺言者は預貯金のうち、長男B男に100万円、次男D男に100万円相続させ、残額は三男E男に相続させる。
以下略
 

 この遺言状には2つのポイントがあると感じました。一つは第2条で、三男が遺言者より先または同時に死亡し、相続が出来ない場合に備えて、その場合にはF子に遺贈するとした部分。二つ目は長男・次男にも相続分を指定したこと。遺留分までいかないまでも相当の財産を相続させることにより、円満な相続を図っていることです。

 遺言状は最後に第10条で付言を書きます。その中で遺言者の母はこう書きます。
 〈誰でもそうですが、若くなって行く者は一人もなく、皆、老いながら生きていきます。まして、望まぬ病を抱えながらの生活は並たいていではありません・・・〉と、病を抱えながら生きていくE男一家へ配慮した心根を述べ、その理解を長男・次男に語りかけるのです。この様な文書、初めて遺言を書く人に出来るはずがありません。母の心情を察し、その思いを文章にしたのは黒田先生が母の気持ちに寄り添い、その気持ちを理解したからこそだと思います。さらには視点をもう少し広げ、長男・次男へも配慮した原案を作成したのでした。
 争いを避け、円満解決を図ろうとする道筋こそ行政書士が目指すべき方向。少しは理解出来ました。