マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

トムラウシ、遥かなり(その2)

2022年02月11日 | 山旅

 トムラウシ山行の2日目、この日も快晴で、白雲避難小屋からの展望が素晴らしい。忠別岳から五色岳へ長々と続く尾根筋や高根ヶ原などを前景にして、遥か彼方に冠型をしたトムラウシまでが見渡せたのだ。例えるならば尾瀬ヶ原を数倍にしたような風景が展開されていた。
 朝5時にスタート。イワカガミなどの、豊富な高山植物の群落を縫うように快調に歩を進めた。しかし大きな不安があった。この辺一帯はヒグマの生息地なのだ。多くの登山者はスプレーなどの熊対策を用意して入山することだろう。とある大学の山岳部は花火を打ち上げながら進んだとか。私達は鈴以外の用意をしていなかったので、賑やかな6人パーティーのやや後からの行進というズル。(写真:白雲避難小屋から遠くトムラウシ方面を望む)

 ヒサゴ沼までは距離は長いが、ゆったりした尾根コース。前景にトムラウシを望みながらの尾根歩きは爽快だ。尾根は忠別岳(標高1962m)・五色岳(標高1868m)へ経て仮雲岳(標高1954m)へと続くが、その標高が物語るようにアップダウンの少ないコース。先行の6名にやや遅れるように、私達も7時間20分でヒサゴ沼避難小屋着。(写真:五色岳山頂にて。遥かにトムラウシ)
 (16年前はここでもテントを張った。テントの中からヒサゴ沼水面に映る山肌や豊富な残雪が見られた。食事の準備を終え、その日の行程を振り返りながら酌み交わすひと時は別天地に入り込んだ感覚がしたものだった。)

 第3日目 朝起きると辺り一面はガスに覆われていた。ラジオの天気予報は「今日から明日にかけては雨」とのこと。友と相談し、五色ヶ原周辺の散策は断念し、トムラウシ登頂後は一日早めの下山に計画変更。「日本庭園」辺りからは雨が降り出し風も強くなってきた。登るにつれて風は更に強くなり飛ばされそうにもなったが、3時間20分でトムラウシ到着。残念ながら山頂からの展望はゼロだった。(写真:トムラウシ山頂にて)
 トムラウシから一気に高度を下げ「前トム平」でまで来ると雨は止み、風もおさまって来た。天候に煩わされることなく昼食をとったことをはっきり覚えている。しかし、ここからの下りが難儀だった。雨は激しく降りだし、道はぬかるみ、何度か尻もちをついた。地図表示のコースタイムを大幅にオーバー。下山がこんなに長く感じたのは、百名山最終登山だった魚沼駒ヶ岳以来のこと。山頂から「短縮登山口」まで6時間も掛かってしまった。
  疲れ切って下山口に辿り着き、ふと見ると一台の車が停車していた。ずぶ濡れの身、乗車を頼むのは気が引けたが、お願いすると快く乗車させて下さった。明日の登山の入口視察だそうな。車でも20分の距離だったから歩けば2時間は要しただろう。下山後に他力をお願いしたのはこの時が初めてだったが、感謝!感謝!の一幕。
 予定より一日早く着いたトムラウシ温泉・国民宿舎東大雪荘に空き部屋は無く、大部屋での雑魚寝。2日間ここの露天風呂に何回も入り疲れを癒し、帰宅の途についた。
 
 北海道の雄大な自然と荒々しい天候の一端に触れた山行だったと思う。もうあの山に登ることは叶わないだろうが、その麓に抱かれたトムラウシ温泉東大雪荘の湯にはもう一度浸かってみたい。


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