8月の焼尻島への自転車旅の途中、羽幌港で暫くぶりにナマコに出会って、記憶にあった椎名誠の『ナマコもいつか月をみる』を読んでみたくなった。
Amazonにあったのは中古品のみで価格94円、送料が2倍以上の257円 !
初版が33年前の1991年で42才の時だからまだ自転車を始めていない頃の古い本だ。
椎名誠に出会ったのは確か1993年の写真集『草の国の少年たち』だ。
モンゴルの草原で馬、羊と生きる遊牧民の子供たちが白黒写真で収められている。
久しぶりにパラパラと捲っていたら、この日本にもかつてはそこらじゅうにこんな笑顔があったなぁとしみじみと想い出す。
今、モンゴルの草原にパオで暮らす人は殆どいないという。放牧では生活できず街に出ているとBSか何かで放映されていたことがあった。モンゴルの草原を吹く風も雲も変わっていないのに生活は一変したようだ。
『ナマコもいつか月をみる』は新聞などの連載をまとめたエッセー集だが目次のどこにも〝ナマコ〟の文字は無い。
ナマコはどこだどこだと叫ぶ読者を見透かしたように「あとがき」でやっと登場する。ナマコという不思議な生き物は海の底で何を考えているのだろうと常々思っていて本のタイトルにしたのか。。。
そのナマコ、大消費地の中国では養殖で増産されているところに消費が落ちて崖を落ちるような値崩れを起こしているらしい。高品質の道内産乾燥ナマコも原発処理水の問題で中国に輸入ストップされて漁業者、加工業者の苦境が続く。
この本が世に出て33年間、モンゴルの草原にも海の底にもアメリカが吹きまくってきたグローバリズムの嵐が押し寄せていたのだとしみじみとエッセイを読む。
恵庭から眺める山々 2024.8.29
過日の記事でナマコ漁に使う網をみて驚きましたが、不思議な動物ですよね。
あの時、I.SATOさんが『ホシクイのようにもっといい名前がないものか・・』と嘆いて(?)いらっしゃいましたが・・・
確かに他の棘皮動物たちにはホシクイ(星喰)ヒトデ(海星)クラゲ(海月・水月・水母)ウニ(雲丹・海栗)ウミユリ(海百合)などとファンタジックとも思える漢字表記がありますね。
それに引き換えナマコは・・・
それでも椎名誠があえてナマコ(海鼠)を取り上げた真の意味を私も知りたいような気がします。
ナマコが好きな酒の肴に入っているようです。