2024.10.22
石山緑地から少し車を走らせると芸術の森に隣接して「「関口雄輝記念美術館」がある。ふだん美術館に行くことは滅多にないが寄ってみた。
「関口雄輝記念美術館」は札幌に本社を置く北榮工業という会社が文化事業の一環として、2005年に設立した私設の美術館である。
若いころ、経済学の先生が「企業の使命は職員家族を養い、利潤を社会に還元することにある。」と話していたと記憶するが、今日、なかなかそのような企業は無いような気がする。
関口は埼玉県に生まれ、1972年に初めて北海道を訪づれると、その厳しくも美しい自然に魅了され、以後、北海道の風景を描くことを生涯の課題と定めて、細かな観察による幻想的な風景を描き、戦後の日本画の分野で特異な存在感を示した、とある。
1968年、東山魁夷の皇居新宮殿障壁画制作の助手を務めている。
2008年、85才で死去。
ひと目で若いころに仕事で勤務した十勝の農場や稚内方面の厳寒の海と分かるモノクロームの冬景色の作品は、寒風とともにそこに暮らす人々の家庭の温もりとエネルギーが伝わってくるようだった。
綿羊を描くにも実際に飼ってみて観察したり、季節、時間ごとに何度も現地を訪れて構図や描写を推敲し原作、本作へと仕上げたという。
植物も関口の作品世界を支える重要な要素で沢山のスケッチが展示されていた。
今から10年以上も前にフランスの修道院の島、モンサンミッシェルを訪ねたことがあった。関口による克明なデッサン、原作、本作の流れをしばし立ち止まって見ていた。
チャイコフスキー「眠りの森の美女」よりワルツ
ユーリー・シモノフ/NHK響 1993.5.31