江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

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新説百物語巻之四 3、何国よりとも知らぬ鳥追ひ来る事

2023-02-04 00:02:14 | 新説百物語

新説百物語巻之四 

3、何国よりとも知らぬ鳥追ひ来る事

                                                                                               2023.2

京の四条あたりに、昔より大晦日の夜、鳥追いのおもらいが来る家があった。
与える物としては、ただ餅一重、鳥目(とりめ:銭ゼニのこと)二十文であった。
この一軒を目あてに、むかしより来る事は不思議である。
又、鳥迫いの住まいも聞いた事もなかった。
毎年、二人で大晦日の夜八つ時に来る。
ある年、外装工事をして、店の造作を作り変えた。
その年より、鳥追いは来なくなった。

その家の主は、来なくなってから六十年はそのことを覚えていた。
その前は、いつより来たのかと言う事は知らなかった。

その近所では、昔からその家の跡を長者の屋敷跡と言い習わしていた。

その鳥追いのうたう事は、目出度い事ばかりいいならべて、一時ばかり歌った、と言うことである。