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江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

江戸時代を中心とした、面白い話を、探して、紹介します。

キツネに導かれた、館林城  その1  関八州古戦録

2020-03-22 13:57:10 | キツネ、タヌキ、ムジナ、その他動物、霊獣
キツネに導かれた、館林城  その1

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大袋(群馬県館林市)と云う所に、新しい城を築いて移ったが、ここも又地の利が宜しくなかった。
そこで、どうしようかと思案していた頃合いに、要用の事が有って、同郡舞木(群馬県邑楽郡千代田町)の寺院に赴いた。
すると、道の途中に、子供たちが多く集まって、狐の子をいたぶって、なぐり殺そうとしていた。

法蓮は不便に思って、下僕に持たせていた火打袋からお金を取出して、狐の子をもらい受て、林の繁みに、放してあげた。
彼自身は舞木へいってから、タ方に帰ってきた

先程の道路に、どこからともなく小男が一人忽然と来て、法蓮の前にひざまづいた。
そして、涙を流して、
「今朝 それがしの最愛の我が子が、不慮の凶害に会っていた所に、あなた様の御慈悲により命を助けていただきました。
人畜 性を異にするとは言え、子を憐れむ道においては、全く同じでございます。
このご恩をどのように報いれば良いのかわかりません。
あなた様の住っている大袋の城地は、天然の不詳の気が有ります。
今、考えますに、ここより西北に当たる館林は、城を構えるのに良い土地であります。
居を移せば、繁栄いたしますでしょう。
幸いに、今宵は風は涼しく、月も明るい夜です。
いざ、道案内を致しましょう。」
と申しあげた。

法蓮は、その言葉に誘われて、その場所・館林に到って、土地の様子を見た。
誠に城郭の設営に良い土地であったので、大いに喜んだ。
近いうちに、城の建設を始めよう、と決めた。
すると、小男の顔が、狐に変わった。
「我れは、これ大袋の鎮守稲荷の神である。」
と言って、白狐の姿を現し、失せ去った。

以上、「関八州古戦録」広文庫より




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