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ワニの標本江戸時代の 「重訂本草綱目啓蒙」

2024-09-29 16:52:48 | キツネ、タヌキ、ムジナ、その他動物、霊獣

ワニの標本江戸時代の 「重訂本草綱目啓蒙」

                     2024.9

「重訂本草綱目啓蒙」小野蘭山は、大変優れた、博物学の書です。
様々な面白い記述がありますが、今回は、ワニについて。
表題には、「だ?龍 一名 ダ?魚」とあります。
だ の字は、文字化けするので、重訂本草綱目啓蒙 のを示した。3

下の左のは、「ダ=揚子江ワニ」の字。右のはそれを横に伸ばしたもの。

何となく、ワニっぽくありませんか。


この「? タ、ダ tuo北京音」は、本来は、揚子江ワニを指しています。中国の揚子江には、ワニがいます。固有種で、小さめのワニです。
しかし、蘭山先生は、この表題で、ワニのことを、述べています。


以下、本文。
?龍  一名 ?魚(本経逢原)
日本には産しない。薬には、甲を用いる。?(魚+它)魚甲(方書)と言う。
先年、オランダ船が、小さい物を薬水に漬けてあるのを持って来た。それが、見せ物に供せられた。
オランダでは、カアイマンと言う。中山(沖縄か?)にては、「カンギアダク」と呼んでいる。大きいのは、一丈余り(3m以上)に至ると言う。姿は、四つ足があって、トカゲのようである。口は大きく、歯も大きく数も多い。鱗は長く、蛇の鱗のようで、魚の鱗には、似ていない。尾は長く、身体の半分位ある。背には、三つの稜があって、水から速く出ることが出来る。
舟にいる人をうかがって飛び出す。それで、外国人は、シャム及びジャガタラの辺りを通る時、大変に恐れる、と言う。
釈名の?(ダ 魚+它)は、鯊魚(スナフキ:一般名、カマツカ)と同名である。鯊魚(スナフキ:カマツカ)は、淡水の小さい魚である。
土龍(ドリュウ)は、蚯蚓の別名である。日本で、土龍と称しているのは、?鼠(元ルビ ウゴロモチ:もぐら:えんそ)である。


この図は、「毛詩品物図考 巻五」(天明甲辰:1784年)にある。


これが、見せ物に供されたものであろう。

 以上、「重訂本草綱目啓蒙」より。



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