江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

江戸時代を中心とした、面白い話を、探して、紹介します。

青鷺の妖怪  「尾張名所図絵」玉滴陰見

2020-10-29 18:32:01 | キツネ、タヌキ、ムジナ、その他動物、霊獣

青鷺の妖怪
2020.10

先日、ネットを見ていたら、アオサギが出てきた。
それで、数年前、松江に旅行したときに、アオサギを見たのを、思い出しました。
松江城のお堀を巡る船に乗りましたが、その時に人生で初めて、野生のアオサギを見ました。
堀端に、じっとたたずんでいました。
初めて、見たときは、何か妖しい感じがし、またペリカンに似ているとも感じました。
調べてみると、アオサギは、ペリカン目サギ科の鳥なんですね。どおりで、ペリカンぽいわけですね。

鳥山石燕(とりやま せきえん)の「画図百鬼夜行」には、アオサギも妖怪の一つとして描かれています。

また、平秩東作(へっつ とうさく)など編の「狂歌 百鬼夜狂」という、狂歌集には、
山東京伝(さんとうきょうでん)先生のアオサギを詠んだ狂歌が収録されています。


青鷺(あおさぎ) 山東京伝(さんとうきょうでん)
「色かへぬ 松にたぐへん(比=タグえん) 青鷺の さもものすごぐ 塀を見こすは」
と、載っています。

アオサギが、なぜ妖怪扱いされたのかを考えて見ました。
始めて見た時の感じというのは、何か不気味な感じでした。

なぜか?
まず、アオサギは、ほかのサギ類に比べて、大きいこと。体形が、違うこと。
もし、薄暗い時に見たら、なにか怖そうです。
また、体色も、くすんだ灰青色で、ほかの鳥とは、違っています。
もし、同じような大きさで、白い体色でしたら、普通の鳥と感じたことでしょう。
また、見たときには、まるで銅像のように、動かなかったので、ほかの鳥とはちがう、奇妙な感じを受けました。
後で考えると、多くの鳥は、せわしなく動いています。
動き回る生き物が、静止しているのも、生の感じがしなかった、と印象を得たのでしょう。

そのようなことから、アオサギを夕暮れの暗い時に見た人が、怪異を感じて、化け物扱いをしたのだ、と推定されます。

それなら、妖怪や化け物の話を集めた百物語類に、アオサギの事が、記載されていないか、と当たってみましたが、見つかりませんでした。

わずかに、「尾張名所図絵 付録 三」に、一話あるのを見つけました。
紹介しましょう。

尾張   ・・・・

長良村と烏森(かすもり)村とのあいだにある佐屋海道の縄手(細い道)に、昔 妖物が出て、夜行く人を悩ましていた。
或いは、七尺余りの大坊主となり、後ろより見越して妖しい顔を見せ、又は婦人の姿になり怖れさせていた。
ある夜、名古屋の人が来て、高須賀川の橋のほとりで、待ちかまえて、この化け物を組み伏せ、刺し殺した。
すると、大変大きな青鷺であった。
そのことを、里の老人は、聞き伝えてる。
これは、百八九十年ばかりの昔の事である。

玉滴陰見(ぎょくてきいんけん)に、
延宝八年(1680年)、尾張(愛知県)にて、青鷺が変じて、七尺ばかりになった。その後、女に化けて人をたぶらかしたかした、との事を、黄門公が聞いた。何としても、足軽に捕まえさせよ、と責任者に命じた。そして、命じられたとおりに、青鷺を組留めたとのことである。



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