天狗遊石 諸国里人談
2024.5
伊賀の国の岡山に、昔より、天狗遊び石と言い伝えられている石がある。方は八尺(2.4m四方)ばかりで、上は真平らで切り立っているようである。山の崖(がけ)にあって、突き落とそうとすれば、落とせそうな場所にある。
宝永の頃、藩主の廟所の礼許石(?)に良さそうだとして、周りの土を掘って、谷へ突き落としたが、何の事もなく落ちた。
大勢の人夫を使って、毎日それを引かせて、上野城下の坂口(入り口)へ、一里ばかりの所まで、来た。
その日、俄に大雨が降り、雷鳴がとどろいた。
それで、人夫に作業を中止させたが、夜に入っても止まなかった。
ようやく明け方になって、静かになった。
しかし、件(くだん)の石は、夜中に元の山の上に戻っていた。
それで、石を動かすのを、中止した。
諸国里人談巻之二 妖異部 より
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます