「和漢三才図会」でのカッパ、カワタロウの記述
2024.10
「水虎奇譚」でのカッパ、カワタロウの記述
豊前の國に、幅が五六十間(けん)であるが、浅いので、歩いて渉(わた)ることのできる河があった。
夜に河を渉(わた)ろうとすると、必ずカッパが出てきて、「相撲をしようよ」、と引き留める。
カッパを子供だと思って、相撲をとると、最後には、河に引きいれられて、食われてしまう、と云う。
小笠原信濃守の家の家臣に、大家庄右街門という人が有った。いとこである瀬川藤介を伴って河を渉(わた)った。その時、藤介の袖を引きとどめて、「相撲をとろうよ」、とカッパが言った。
大家庄右街門は、返事もしないで、抜き打ちにした。
手ごたえがしたが、水の中へサッと入っていった。
次の朝早くに河に行って見ると、三町ばかり下流の柳の根にひっかかっていた。十歳以下の子供のようで、髪は四、五寸ばかりあり、顔は猿のようで、白く、爪は猫のようであった、とのことである。
以上
「水虎奇譚」 広文庫 より