河童のお金 「蜀山人全集 一話一言」
2025.1.17
天明五年(1785)乙巳*月の頃、麹町飴屋十兵衛なるものの事である。
常々、心が正直なるものであった。
ある夕方、童子が来て遊んでいるのを見て飴を与えた。
それより毎日夕方に来た。
あやしんで跡をつけて行くと御堀の内へ入って行った。
さては河童であろうと畏れ思ったが、ある日、来たときに一銭のお金をよこした。
その後は、来なくなった。
その銭は、今は番町の能勢又十郎の家に所蔵されている。
その銭の拓本は、浅草の馬道に住んでいる佐々木丹蔵篁?が得ていた。
それを、私(太田蜀山人)に贈ってくれたので、ここに示しておく。(図略)
「蜀山人全集 一話一言」広文庫より
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