南野島男のGood Times

日常感じたことを面白おかしくエッセイ風に書きつづります。
これぞ笑いと勇気の玉手箱!

不発弾処理

2007-06-04 23:30:12 | Weblog
昨日長崎では不発弾の処理が行われた。
60年も前にアメリカが投下した500キロ爆弾が建設中のホテルの工事現場で見つかったのだ。 
急きょ長崎市は地域住民4000人を一斉に避難させ、交通までも全面的にストップし、爆弾から起爆装置である信管を抜き取る作業を行ったのだ。
各放送局もこのニュースを大きく取り上げ、忘れそうになっている第二次世界大戦の遺物の行方を見守った。 
午後1時17分「信管離脱成功」のニュース発表されると歓声が沸き起こった。 
そしてニュースでは避難していた住民の安堵の声が映し出されていた。 
確かに最悪の事態が起こることもなく無事不発弾騒ぎもおさまってめでたしめでたしなのであるが、何か忘れちゃいないかいという思いがしてならない。 

今回無事信管が抜けたということはそれを外した人間がいたということなのである。 
信管を抜き取る作業は4名の自衛隊員が行ったそうであるが、たとえ仕事とはいえ一つ間違えば完全に命はない。
彼らは半分死を覚悟して作業にあたった。 
いやそれ以上に彼らの家族の心境には計り知れないものがあったと思う。
中には「なんでお父さんが行かなくちゃいけないの?」と泣きぬれる家族もいたかもしれないのだ。 
先日観た『俺は、君のためにこそ死ににいく』という映画は、祖国日本を守るために特攻隊として出撃する若者たちを描いたものであるが、僕はどうしてもあの映画を思い出してしまった。
今回の不発弾処理にしたって誰かがやらなければ長崎の安全は確保出来なかったのである。 
正に命がけの仕事だったに違いない。
しかしニュースでは無事作業が成功したことは告げられたが、命を懸けて長崎市民のために勇敢に不発弾に立ち向かった自衛隊員の方々にはほとんど触れることはなかった。 
せめて作業成功のニュースと同時にマスコミも作業に当たった方々へ感謝の気持ちを表して欲しかった。
 
映画『日本沈没』で最も印象に残り感動したシーンは危機管理担当大臣(大地真央)が日本の危機を命を投げ打って救った結城、小野寺、2名の潜水パイロットの功績を讃えるラストのシーンだった。 
今日の4名の自衛隊員の方には言い尽くせないようなドラマがきっとあったはずだ。 
思いがけない不発弾の出現により60年という年月を隔てて、遠い戦争の記憶がよみがえったという市民も多くいたそうであるが、『俺は、君のためにこそ死ににいく』の特攻隊の存在からも分かる様に、今の日本の平和は国のため、愛する家族のために自らの命を捧げてきた人の犠牲の上にあるのだということを絶対に忘れてはいけないと思う。
この声は届かないかもしれないが、長崎を愛する一市民として今回の作業を行われた自衛隊員の方々に感謝の気持ちを込めて「ありがとうございました」とお礼を申し上げます。