-写真の部屋-

奥野和彦

再会

2013-01-19 21:25:49 | 写真
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矢内くんの写真展に行って来た。
コンパクトデジカメで撮り、インクジェットで
プリントされたものであるが、それはもう十分に
モノクロ写真と言える仕上がりである。

このレベルのものを見せてもらうたびに
資源保護の為にもフィルムも薬品もやめて
引き伸ばし機も処分しようかと考える。
私の持っている低価格のプリンターで使うインクには
そもそも色の成分が入っているのか光源によって
モノクロの写真が青みがかったり、緑がかったり
赤く見えたりしていつも、使い物にならないと思う。
ハイエンド機を買えばちゃんと出来るのは知っているが
天下の◯ドバシカメラ辺りでも用紙売り場に
緑がかったモノクロプリントが「極上の白黒写真を…」
などと作例で掲げられていると がっかりする。
白黒写真に対する認識が売る側にして、卸す側にして
その程度の子供だましってことだ。

で、さっそく自分のオリンパスEPL-1を持って出歩いてみる。
フォーマットも焦点距離もいろいろ変えて「撮ってみる」
が、結果を言えば「ダメなのである。」
いろんな事が間尺に合わないのである。

矢内くんは一つ年上の先輩で本当なら「さん」と
呼ぶべきだが昔から私は親しみを込めて「くん」付けで
呼んでしまう。20代に勤めていた職場で会って
大変に生意気な「くん」付けの私を嫌う事無く
面倒見てくれた。
棕櫚の日曜日は非常に短い期間で撮られている。
主題がきちんとしている上で、映像に幅があって
技を感じる。 新聞社のカメラマンとして世界と関わる
他に、今のフクシマを一人の男として、一家の主として
こうも見えるよ、こうも思うよ と言っているのである。
写真で何かをする、表現する、残すとはそういう事であり
その事がしっかりと見る者に伝えられる。
写真を見た人が、
明日、もういちど何かを頑張ってみようとか
人生をつまらないと思っている人が、
もしかしたら、そんなにつまらなくもないかと
考え直したり。
売れっ子になるとか仕事が増えるとかメディアに
とりあげられるとか、そういうことが
たどり着く先なのではないと思う。

矢内くんの素晴らしい写真のことだけを
書けば良いのにどうしても◯ドバシ辺りにからんで
話が横道に逸れる。

次は何を撮るのか決まった? と聞かれ
もうちょっとマイルドな部分がなくなると思う
と答えた。口に出すと責任を持たなければならなく
なって一歩踏み出すにはいいかも知れない。
しかもしっかりとした仕事をしている人の前で。