野の花 庭の花

野の花や山の花は心を慰めてくれます。庭園に咲き誇る花は心をはなやかにしてくれます。

春になるとどこにでも咲くシロツメクサ(20-072)

2020年05月14日 12時29分27秒 | 

春になるとどこにでも咲くシロツメクサ。ほんのりとピンクに染まるところが可憐だ。もとはヨーロッパからの荷物の詰め草として渡来した。幼い頃にこの花と蓮華で花の冠を作ったものだ。もはや遠い日である。緑化にも役立つ貴重な植物らしい。俳句の世界では多く「苜蓿」と書いて「うまごやし」と読んでいる。「うまごやしハンケチ敷きてやさしき座 山口青邨」。即物的な名前だが、よく知られるクローバーの名も使われる。「スカートをひろくクローバにひろげ座る 山口青邨」。

(2020-04 川崎市 道端) 

シロツメクサ

シロツメクサ(白詰草、学名:Trifolium repens)はシャジクソウ属の多年草。別名、クローバー。原産地はヨーロッパ。花期は春から秋。

特徴
「シャジクソウ属」も参照
茎は地上を這い、葉は3小葉からなる複葉であるが、時に4小葉やそれ以上のものもあり、特に4小葉のものは「四つ葉のクローバー」として珍重される。花は葉の柄よりやや長い花茎の先につく。色は白(ほんの少しピンクのものもある)。雑草防止、土壌浸食防止等に利用されることもある。

由来と歴史
漢字表記は、「白詰草」。詰め草の名称は1846年 (弘化3年)にオランダから献上されたガラス製品の包装に緩衝材として詰められていたことに由来する。

日本においては明治時代以降、家畜の飼料用として導入されたものが野生化した帰化植物。根粒菌の作用により窒素を固定することから、地球を豊かにする植物として緑化資材にも用いられている。

 


苜蓿の例句 

あさ露に苜蓿踏みぬ北見かや 山口誓子
あひびきのほとりを過ぎぬ苜蓿 山口誓子
あひびきのゐる苜蓿を去りゆくも 山口誓子
ある径の或る廃園のうまごやし 渡邊白泉
うしろより目かくしさるるうまごやし 伊丹三樹彦
うまごやしさはにゆれつつ陽は涼し 山口青邨
うまごやしより身を起す自転車も 鷹羽狩行
うまごやしハンケチ敷きてやさしき座 山口青邨
うまごやし兎の卯佐子放ちやる 星野麥丘人 2004年
うまごやし炭坑の娼婦帯を結はず 山口誓子
うまごやし病衣の裾をさばきつゝ 小林康治 玄霜
うまごやし若き咀嚼の中にをり 能村登四郎
うまごやし露頭の石炭をかくすなき 山口誓子
さきんじてはだしとなるやうまごやし 伊丹三樹彦
とつておく夏帽旅の苜蓿に 山口青邨
よき地表空の港のうまごやし 鷹羽狩行
をんな十代あひびきの苜蓿 山口誓子
クローバとタンポポと編む子供かな 山口青邨
クローバと混る車前草田舎の出 香西照雄 対話
クローバに天の梯子の垂るるなし 橋閒石 無刻
クローバに学帽投げて詩才なし 上田五千石『琥珀』補遺
クローバに座りこころよき冷を 山口青邨
クローバに青年ならぬ寝型残す 西東三鬼
クローバの中にも水の溜りをり 波多野爽波 鋪道の花
クローバの弾力土不踏に踏ませ 鷹羽狩行
クローバの花さはにゆれ茶屋の趾 山口青邨
クローバや蜂が羽音を縮め来て 深見けん二
クローバを編み可美真手命に懸けん 山口青邨
クローバーなりし浜草萌えにけり 清崎敏郎
クローバー広場をよぎる明日へと言ふ語 細見綾子
クローバー踏みゆき罎の蝦に臨む 渡邊白泉
スカートの一円を置きうまごやし 鷹羽狩行
スカートをひろくクローバにひろげ座る 山口青邨
ハンカチに滲む臀型うまごやし 上田五千石 田園
マラソンのあとクローバに伏し息す 草間時彦 中年
一悪も二悪もおなじうまごやし 亭午 星野麥丘人
乳充ちて牛苜蓿に身をこする 能村登四郎
乳母車より子を下ろすうまごやし 伊丹三樹彦
六兵衛の陶の灯籠苜蓿に 山口青邨
冬青き苜蓿の上や舟眠る 林翔 和紙
同じ木の根に旅の三人やうまごやし 大野林火 白幡南町 昭和二十九年
坐すところまづ手で押へうまごやし 鷹羽狩行
塵労の身は苜蓿の白き花に 山口青邨
墓のケロイド癒えじクローバ盛り上る 香西照雄 対話
娼婦の手坑夫はなたずうまごやし 山口誓子
子の頬杖父の手枕うまごやし 鷹羽狩行
寝ころんで夢見しむかし苜蓿 森澄雄
平遠をなす宮城の苜蓿 山口誓子
弱電の線たわたわしうまごやし 阿波野青畝
彼の烏クローバの花くはへとぶ 山口青邨
恋なき日々苜蓿咲きはびこりぬ 藤田湘子 途上
新月に花をひそめしうまごやし 飯田蛇笏 春蘭
旭注ぐや蝶に目醒めしうまごやし 杉田久女
春逝くと冷き厚き苜蓿 石田波郷
横たへて沈む身の丈うまごやし 鷹羽狩行
機関庫のあけくれ苜蓿の雨 下村槐太 光背
機関庫の旦暮のうまごやしの雨 下村槐太 天涯
水上機苜蓿しろき崎をゆく 山口誓子
沖は夏雲クローバーに花咲く如く 中村草田男
法隆寺出て苜蓿に苦の鼾 西東三鬼
滑走路苜蓿にゆきつまりゐる 鷹羽狩行
滝寓の冬みどりなすうまごやし 能村登四郎
牧場に苜蓿の花返り咲く(八ヶ岳山麓二句) 細見綾子
男女たることに素直にクローバー 細見綾子
番人と銃のけだるきうまごやし 秋元不死男
盛り上り白き花冷ゆうまごやし 山口青邨
知床の苜蓿暗し腎痛む 斎藤玄 狩眼
神の留守枯芝に青苜蓿 日野草城
空港に白地大幅うまごやし 山口誓子
空港のクローバ溺るるほどの雨 山口青邨
絨毯を踏み苜蓿を踏む草履 福田蓼汀 山火
脚投げて 来し方積る うまごやし 伊丹三樹彦
自転車を乗り入るる苜蓿の中 右城暮石 句集外 昭和二十六年
芝に勝つ緑刈らるるうまごやし 百合山羽公 樂土
苜蓿に寝墓かしげり丘かしげり 山口誓子
苜蓿に寝墓を銘をのこしける 山口誓子
苜蓿に擲ちし艪や反り打てり 木村蕪城 寒泉
苜蓿に日は落ち線路夥し 大野林火 海門 昭和十三年
苜蓿に母の台詞をそらんじゐる 安住敦
苜蓿に肋骨缺除感すべなし 石田波郷
苜蓿に腹這ふ上級生羨し 鷹羽狩行
苜蓿に膝抱いてをりかつてせし 森澄雄
苜蓿に隙なし銅像と吾距つ 上田五千石『田園』補遺
苜蓿に鞭を沈ませ豹使ひ 鷹羽狩行
苜蓿のうす桃色の返り花(八ヶ岳山麓二句) 細見綾子
苜蓿の濃きは砲丸投げのあと 鷹羽狩行
苜蓿の焼跡蔽ふことをせず 石田波郷
苜蓿の花一座敷く芝の中 山口青邨
苜蓿の花旺んなる薄暑かな 日野草城
苜蓿の茎からませてレイとせり 右城暮石 天水
苜蓿の首輪して牧夫かな 清崎敏郎
苜蓿の香や春の雲眼尻に 石塚友二 光塵
苜蓿は丘となりゆく恋の丘 山口誓子
苜蓿は犇きやすし機影過ぐ 上田五千石『田園』補遺
苜蓿や墓のひとびと天に帰せり 山口誓子
苜蓿や天主の婢僕十字のもと 山口誓子
苜蓿や選るといふこと罪に似て 鷹羽狩行
苜蓿を女素足で駆け狂ふ 山口誓子
苜蓿冬あをあをと乳牛臥す 西島麦南 人音
苜蓿檣頭は燈をともすころ 佐藤鬼房
苜蓿起てば忘るる父の恩 鷹羽狩行
茂陵荒れ唐子も見ざり苜蓿も 松崎鉄之介
蜩や憩へとしげるうまごやし 大野林火 雪華 昭和三十七年
蝶去るや葉とじて眠るうまごやし 杉田久女
蝶来虻来騰貴待つ地のうまごやし 伊丹三樹彦
足あとのどこにもつかずうまごやし 鷹羽狩行
蹼が柔かに踏むうまごやし 富安風生
逆立ちに地球の重みうまごやし 鷹羽狩行
鋸に乗られて支ふうまごやし 秋元不死男
鏡掛け人は住まヘり苜蓿 山口青邨
長旅の空より下りてうまごやし 鷹羽狩行
闘牛場ぐるりを囲む苜蓿 山口誓子
離陸後もしばらく戦ぐうまごやし 鷹羽狩行
雨三日日和二日のうまごやし 鈴木真砂女 都鳥
鞄まだ投げ出しはせぬ うまごやし 伊丹三樹彦
風の奥小暗くなりしうまごやし 岸田稚魚 筍流し


透明度の高い紅紫色のきれいなレンゲソウ(20-071)

2020年05月14日 11時38分16秒 | 

近頃ではあまり見かけなくなった蓮華草。アップでみると透明度の高い紅紫色のきれいな花だ。幼い頃はこれで花の冠などを編んだものだ。甘酸っぱい思い出が胸をかすめる。「セーラー姿もう今年だけ紫雲英風 中村草田男」。俳句の世界でもおなじみだ。

(2020-04 川崎市 公園) 

ゲンゲ(紫雲英、翹揺 Astragalus sinicus)はマメ科ゲンゲ属に分類される越年草である。中国原産。レンゲソウ(蓮華草)、レンゲとも呼ぶ。

特徴
湿ったところに生える。全体に柔らかな草である。茎の高さ10-25 cm。根本で枝分かれし、暖かい地方では水平方向に匍匐して60-150 cmまで伸びる場合もある。茎の先端は上を向く。また、根本から一回り細い匍匐茎を伸ばすこともある。葉は1回羽状複葉、小葉は円形に近い楕円形、先端は丸いか、少しくぼむ。1枚の葉では基部から先端まで小葉の大きさがあまり変わらない。花茎は葉腋から出てまっすぐに立ち、葉より突き出して花をつける。花は先端に輪生状にひとまとまりにつく。花色は紅紫色だが、まれに白色(クリーム色)の株もある。

利用・文化
ゲンゲの花は、良い「みつ源」になる。蜂蜜の源となる蜜源植物として利用されている。ギリシア神話では、祭壇に捧げる花を摘みに野に出た仲良し姉妹の話が知られている。ニンフが変身した蓮華草を誤って摘んでしまった姉のドリュオペが、代わりに蓮華草に変わってしまう。「花はみな女神が姿を変えたもの。もう花は摘まないで」、と言い残したという。

 

紫雲英 の例句 
あぜ道のうねり見えけり蓮華草 政岡子規 れんげ
いちめんのげんげに風の波起伏 上村占魚
うつし世に人こそ老ゆれげんげ咲く 三橋鷹女
おほらかに山臥す紫雲英田の牛も 石田波郷
げんげ たんぽぽ まだ煙吐く汽車通る 伊丹三樹彦
げんげ、私に手を引かれたいあなたの子で 荻原井泉水
げんげたんぽぽおくの山川越えて来し 村山故郷
げんげたんぽぽ尾さばきのだるい牛 鷹羽狩行
げんげの環首よりはづす父の前 伊丹三樹彦
げんげの雨昼は灯の来ぬ家つつむ 大野林火 白幡南町 昭和二十九年
げんげや菜の花やどの道ゆくも湖へ出る道 荻原井泉水
げんげんに座して女のものを喰ふ 政岡子規 れんげ
げんげんに弁当喰ひ居る女かな 政岡子規 れんげ
げんげんに顔うづめきく遠閑古 大野林火 冬雁 昭和二十二年
げんげんの下で仏は生れけり 政岡子規 れんげ
げんげんの実になる頃や時鳥 政岡子規 時鳥
げんげんの花うちおこす痩田かな 政岡子規 れんげ
げんげんの花に坐し利根をあかず見る 村山故郷
げんげんの花のさかりに関の雨 阿波野青畝
げんげんの芽の出そろへる初日かな 永田耕衣
げんげんをむしりて蔽ふ魚籠の鮒 富安風生
げんげんを打ち起したる痩田哉 政岡子規 れんげ
げんげんを見てむらさきの遠雪嶺 大野林火 冬雁 昭和二十二年
げんげ伸びきつてげんげ田盛り上る 山口誓子
げんげ咲きこの家母者健やかに 村山故郷
げんげ咲きこれの水照りがかなしかり 三橋鷹女
げんげ咲く朝むつ橋のくち柱 角川源義
げんげ摘む周の天下にあらざりき 星野麥丘人 2004年
げんげ摘む子等にも出会ひ旅つゞけ 星野立子
げんげ田と教へしがまだうす緑 伊藤白潮
げんげ田と梨の花棚平らなり 山口誓子
げんげ田にいつも白雲せりあがる 大野林火 冬雁 昭和二十二年
げんげ田にすこし離れて遊戯佛 伊藤白潮
げんげ田にもの抛りつぎ架線工 鷹羽狩行
げんげ田にスカート拡ぐ無電柱 山口誓子
げんげ田に人を思ひしは遠きむかし 三橋鷹女
げんげ田に古郷の家や遺子に逢ふ 角川源義
げんげ田に吾の居し跡経し時間 津田清子 礼拝
げんげ田に吾も脇臥北枕 山口誓子
げんげ田に子が入りて先づまろびけり 松崎鉄之介
げんげ田に容れられざりしげんげあり 相生垣瓜人 明治草
げんげ田に寝て欲しきもの双翼 津田清子
げんげ田に寝て白雲の数知れず 大野林火 冬雁 昭和二十二年
げんげ田に昔の煉瓦火葬場 山口誓子
げんげ田に来れば名張の山も見ゆ 右城暮石 句集外 昭和四十二年
げんげ田に湯を棄てて去る魔法壜 鷹羽狩行
げんげ田に牛を曳き出し終生唖 三橋鷹女
げんげ田に立てしその日の電柱点く 鷹羽狩行
げんげ田に自転車半没 あそび呆ける 伊丹三樹彦
げんげ田に花の三角波が立つ 鷹羽狩行
げんげ田に花菜田隣り入間川 角川源義
げんげ田の一つ部屋にて飲む食ふ 鷹羽狩行
げんげ田の夕かげり来し頃著きぬ 星野立子
げんげ田の広大これが美濃の国 山口誓子
げんげ田の色を夕焼が奪ひけり 鈴木真砂女 卯浪
げんげ田の電柱どれも傾ぎたる 岡本眸
げんげ田の鷺や直ちに天へ飛ぶ 山口誓子
げんげ田はいま誰のもの花盛り 右城暮石 上下
げんげ田はまろし地球のまろければ 三橋鷹女
げんげ田へみつばち放ちあるじ居ず 大野林火 冬雁 昭和二十二年
げんげ田へ女がさきに坐りけり 雨滴集 星野麥丘人
げんげ田や墓群隣る海女の小屋 角川源義
げんげ田や童話作家を訪ねゆく 渡邊白泉
げんげ田や鋤くあとよりの浸り水 臼田亜郎 定本亜浪句集
げんげ田をはじめ一村水浸し 鷹羽狩行
げんげ田を抜歯済みたる少女来る 飯田龍太
げんげ田を朝昼通り夜に通る 鷹羽狩行
げんげ田を洗足で歩きたがるかな 右城暮石 句集外 昭和四十六年
げんげ田を見尽くし遍路満願寺 山口誓子
げんげ田を鋤く一雨の後に出て 鷹羽狩行
げんげ田を鋤く帰らざる人のごと 森澄雄
げんげ田を鋤けとつばめにせかされて 長谷川素逝 村
げんげ畑そこにも三鬼呼べば来る 橋本多佳子
げんげ畑坐ればげんげ密ならず 橋本多佳子
げんげ茅花河原ひねもす空曇らず 村山故郷
げんげ野あり わが手で掴む後ろ髪 伊丹三樹彦
げんげ野に腰おろしても税重し 伊丹三樹彦
げんげ野に踏み入る 衰歩を 酔歩とも 伊丹三樹彦
げんげ野の 遍満光の 飛鳥地蔵 伊丹三樹彦
げんげ野を眺めて居れど夫はなし 桂信子 月光抄
げんげ野を行くバス車体丸出しに 右城暮石 虻峠
こころ堪ふ古りしげんげの畦をゆき 三橋鷹女
この道に左右無し左右の紫雲英田よ 香西照雄 対話
とぶ鮒を紫雲英の中に押へけり 水原秋櫻子 葛飾
とほる亡しげんげの畦を踏む時も 石田勝彦 雙杵
もう咲いてげんげすててある 荻原井泉水
もの出来ぬ痩田うつくし蓮華草 政岡子規 れんげ
セーラー姿もう今年だけ紫雲英風 中村草田男
トレンチを嫌がるげんげ減りにけり 阿波野青畝
一と刈りもせぬげんげ田に 利鎌 載る 伊丹三樹彦
一刷の紅は紫雲英田をちかたに 山口青邨
一枚の編み返しものげんげ鋤き 鷹羽狩行
一過せり濃きげんげ田もみづうみも 伊藤白潮
三日月に誓ふて交すげんげかな 渡邊水巴 白日
三角を忌まずげんげの三角田 山口誓子
上がり来し下から見えぬげんげ田へ 右城暮石 虻峠
上ヶ土のあひにわりなし蓮華草 政岡子規 れんげ
人知れず通ふ河原のげんげかな 上村占魚 鮎
低き山越しの没り日にげんげ畦 右城暮石 句集外 昭和三十九年
低鼻豊頬げんげ田に寝かされて 山口誓子
何十年入りしこと無きげんげ田よ 右城暮石 句集外 昭和四十一年
何犯すらむ紫雲英田に降り立ちて 中村苑子
先着の女二人はげんげ田に 右城暮石 散歩圏
入学の一と月経たる紫雲英道 橋本多佳子
切岸へ出ねば紫雲英の大地かな 中村草田男
十本の指ありげんげ摘んでゐる 三橋鷹女
千枚田げんげの紅をなしくづし 鷹羽狩行
半ば以上欠けしげんげ田花盛り 右城暮石 句集外 昭和三十五年
南無日蓮安房は妙法蓮華草 政岡子規 れんげ
印南野はげんげ日和よ遺影笑ふ 伊丹三樹彦
古き国古き彩してげんげ咲く 右城暮石 上下
右によけ左によけて蓮華草 政岡子規 れんげ
地は暮れて紫雲英田一枚微光せり 相馬遷子 雪嶺
地蔵照る 投げ込みげんげ一束分 伊丹三樹彦
売る花の如く紫雲英を束ね置く 山口誓子
夏に入つてげんげんいまだ衰へず 政岡子規 立夏
妻が長女に譲りしルビー花紫雲英 中村草田男
娯楽なき鳥にげんげを薙ぎ払ふ 鷹羽狩行
子を負はねばげんげ田の妻ひるがへる 伊藤白潮
富士の雪解けぬまげんげさかりなる 渡邊水巴 白日
富士山の裾野げんげの大平面 山口誓子
富士裾野げんげを刷毛で塗りしほど 山口誓子
山をあふれ~水辺のげんげかな 渡邊水巴 白日
山畑に紫雲英咲かそうと人々 金子兜太
山間ヒの天げんげ田に展けたる 右城暮石 句集外 昭和五十五年
岬のげんげ田 暗色 怒濤音をやどし 伊丹三樹彦
巡礼美貌げんげ彼方に鳰潜き 飯田龍太
往くさ来さ曲るげんげの畦いくつ 下村槐太 天涯
恥づかしぎものげんげ田に捨ててあり 波多野爽波
愁ひ身にあれば紫雲英の野は白し 三橋鷹女
我庭にげんげん咲けるうれしさよ 政岡子規 れんげ
我庭のげんげん肥えて色薄し 政岡子規 れんげ
手に余るげんげんの束捨にけり 政岡子規 れんげ
手に取るなやはり野に置け蓮華草 政岡子規 れんげ
手帖又落すげんげに寝ころべば 阿波野青畝
捨ててある紫雲英の束や夕日射す 中村苑子
摘めど摘めどげんげ尽きねばかなしかり 三橋鷹女
摘草やげんげんの束茅花の束 政岡子規 摘草
旅の真似するげんげ田に雨つのり 伊藤白潮
日々げんげ色その田より修道女 鷹羽狩行
木もなしに小庭は嫁菜蓮華草 政岡子規 れんげ
桜島いまし雲ぬぎ紫雲英の上 山口青邨
極楽の道へ迷ふや蓮華草 政岡子規 れんげ
極楽へ迷ひこんたり蓮華草 政岡子規 れんげ
母乳濃くなりて紫雲英田より帰る 鷹羽狩行
気まぐれをうかと来ぬげんげ濃き雨に 種田山頭火 自画像 層雲集
水浸きたるげんげ田水にげんげ咲く 山口誓子
波立てる鰻田げんげ田はしじま 松崎鉄之介
海に突ん出しげんげ田を打ち返しをり 村山故郷
海越えてきて踏む島のげんげかな 野見山朱鳥 曼珠沙華
溺愛の函げんげ田に乳母車 鷹羽狩行
父祖の地や今年げんげの衰ふる 角川源義
牛叱る声かやひびくげんげ田に 三橋鷹女
狡る休みせし吾をげんげ田に許す 津田清子 礼拝
田に牛入れて南ふく日のげんげ田水田 荻原井泉水
田の神のためにげんげを敷きつめし 鷹羽狩行
田一枚げんげ豊かや波郷の家 村山故郷
畦越えて咲きあふれたるげんげかな 高浜年尾
登り来てげんげ田のまだ花支度 鷹羽狩行
神将の左拳にまとふ紫雲英の風 古舘曹人 砂の音
童が走り紫雲英田の畦走り 清崎敏郎
笈摺を置く紫のげんげ田に 山口誓子
紫雲英の中にコンクリート建の寺 山口誓子
紫雲英の首環父なくせし子何祈る 有馬朗人 母国拾遺
紫雲英ゆらぐ常に序幕であるを許せ 中村草田男
紫雲英咲く小田辺に門は立てりけり 水原秋櫻子 葛飾
紫雲英打つ木曽の青天細き下 橋本多佳子
紫雲英滴む紫雲英の中に膝を埋め 清崎敏郎
紫雲英田が減つて村景薄れけり 百合山羽公 樂土
紫雲英田と湖の入江と相侵す 水原秋櫻子 玄魚
紫雲英田に住めば都と遊びけり 百合山羽公 樂土
紫雲英田に侠客ひとり裏返し 金子兜太
紫雲英田に母子三人月出るに 金子兜太
紫雲英田に漲りをれる愉色かな 相生垣瓜人 明治草抄
紫雲英田に馬の幻尾を振りし 百合山羽公 寒雁
紫雲英田のここをわれ歩く人しらず 下村槐太 天涯
紫雲英田のびつしり村に嫁来る日 鷲谷七菜子 花寂び
紫雲英田のまんなかにゐて子供刈る 山口青邨
紫雲英田の紫雲英あふれて次の田へ 山口青邨
紫雲英田の褪せたる後も落着かぬ 相生垣瓜人 微茫集
紫雲英田は尽きじ地球の円ければ 三橋鷹女
紫雲英田は風鰻田は水を張る 百合山羽公 樂土
紫雲英田や弔鉦のだしぬけに 百合山羽公 樂土
紫雲英田を幾重に峠なせりけり 水原秋櫻子 緑雲
紫雲英田を懐しみつつ来し吾ぞ 相生垣瓜人 明治草抄
紫雲英田を裾に敷き立つ三輪の神 水原秋櫻子 旅愁
紫雲英畑日々に隆まる揺色ぞ 香西照雄 対話
紫雲英荷と夕映充てし頬窪と 香西照雄 対話
紫雲英見て車輪音無き二階電車 山口誓子
紫雲英道幾筋断ちて基地始まる 香西照雄 対話
紫雲英野となる前殊に霞むらし 水原秋櫻子 蘆雁以後
紫雲英野に敢へて丘あり狂院載せ 中村草田男
紫雲英野の畝傍の子等に来る夕べ 有馬朗人 母国拾遺
紫雲英野の道たかまりて川跨ぐ 清崎敏郎
紫雲英野は礁の海につゞきたり 清崎敏郎
紫雲英野や一本の洋傘杖につき 山口青邨
絣着の嫁に げんげも負い籠の荷 伊丹三樹彦
美濃げんげ田に墓近江水田に墓 山口誓子
美濃ゆたか植田げんげ田隣りあひ 鷹羽狩行
老紫雲英生路そのまま戻り路 中村草田男
耕耘機げんげのしぶき浴びて鋤く 右城暮石 句集外 昭和四十七年
臥したきを耐へ来し日々ぞ紫雲英風 香西照雄 素心
舟で行く縁故投票げんげ流し 平畑静塔
花のみな垂るゝげんげの荷を担ぎ 高野素十
花紫雲英「疲れ負んぶ」の草履裏 中村草田男
花紫雲英児がふたり来て声ふたいろ 中村草田男
苗代やげんげの束の捨てゝある 政岡子規 苗代
茎長に紫雲英の花を摘みためて 清崎敏郎
菜の花紫雲英染物そろふ鯉幟 百合山羽公 樂土
蓮華草咲くや野中の土饅頭 政岡子規 れんげ
蓮華草我も一度は小供なり 政岡子規 れんげ
虻と虻これも組討げんげ揺れ 阿波野青畝
蛇籠あみ紫雲英に竹をうちかへし 水原秋櫻子 葛飾
血の気なくなりし老父と紫雲英摘む 百合山羽公 寒雁
裸足の娘げんげの畦を音もなく 松本たかし
見え渡る遠きげんげの紫も 山口誓子
親牛も仔牛もつけしげんげの荷 高野素十
賤機のげんげ田織の途中なる 山口誓子
踏み込んで大地が固しげんげ畑 橋本多佳子
踏切の鐘鳴るげんげ田もありて 右城暮石 句集外 昭和五十七年
転居の荷ほどきてげんげ田も近し 百合山羽公 寒雁
近づきてげんげ田花の密ならず 右城暮石 句集外 昭和四十六年
週末の贅沢げんげの絨毯藉き 鷹羽狩行
遠い日もだった 頬擦りげんげのこの冷たさ 伊丹三樹彦
重くなる霞に紫雲英田を起す 百合山羽公 寒雁
野道行けばげんげんの束のすてゝある 政岡子規 れんげ
釣堀に釣りてげんげ田つづきなり 岡井省二 明野
鋤きし田を囲みてげんげ田の真紅 鷹羽狩行
鋭角の紫三角田のげんげ 山口誓子
闇ひとしからずげんげ田花菜畑 鷹羽狩行
隣田は紫雲英咲きそむ鰻池 水原秋櫻子 殉教
雲ふかき紫雲英田敷けり幾重にも 水原秋櫻子 残鐘
頭悪き日やげんげ田に牛暴れ 西東三鬼
風に揺るゝげんげの花の畦づたひ 星野立子
駈け下りぬげんげの畦の見えしより 及川貞 夕焼
鶏鳴の野やげんげんによべの雨 村山故郷


深紅の花弁にオレンジ色のリップが映えるラン「カトレヤ・ウェンディーズ・バレンタイン」(蘭シリーズ 20-09)

2020年05月14日 07時32分27秒 | 

深紅の花弁にオレンジ色のリップが映えるラン「カトレヤ・ウェンディーズ・バレンタイン」。広げた花弁はまるで蝶の羽根のようにみえる。交配はCattleya Jinn x Cattleya Paprika。

(2020-02 東京都 神代植物公園) 

ラン「カトレヤ・ウェンディーズ・バレンタイン」

【正式品種名】 Slc.Wendy's Valentine ‘June’
【正式な属名】 Sophrolaeliocattleya
【品種名読み】 ソフロレリオカトレア ウェンディーズバレンタイン ‘ジューン’
【親の品種名】 
【品種の分類】 交配種 ミニカトレヤ類
【品種の特徴】 
【開花の特徴】 秋~冬


鮮やかな黄色が目に痛いほどのバラ「ゴールデン・フラッシュ」(薔薇シリーズ190)

2020年05月14日 07時00分07秒 | 

鮮やかな黄色が目に痛いほどのバラ「ゴールデン・フラッシュ」。剣弁高芯咲きの中輪の花が房咲きになる。凛とした佇まいがみごとだ。

(2019-11 川崎市 生田緑地バラ苑) 

 

バラ「ゴールデン・フラッシュ」

ゴールデン フラッシュ Golden Flash ・バラ
バラは樹形から、木立ち性(ブッシュ・ローズまたは木バラ)、半つる性(シュラブ〔S〕・ローズ)、つる性(つるバラまたはクライミング・ローズ〔CL〕)の3タイプに分けられます。
フロリバンダローズ(Floribunda Rose)はモダンローズ(現代バラ)の主な系統の一つ。「F」または「FL」と略記されます。
★ゴールデン フラッシュ Golden Flash は、オランダ、インタープランツ社、2005年作出のフロリバンダ・ローズです。
鮮やかな黄色の房咲きになり、4~6輪の中輪サイズの整形花を咲かせます。樹形はコンパクトで枝の分岐も多く丈夫な強健種です。


【基本データ】
科属:バラ科バラ属
園芸分類:耐寒性落葉低木
系統:FL フロリバンダローズ
品種名:ゴールデン フラッシュ
英語名:Golden Flash
別名:
花期:5~10月
開花性:四季咲き
花色:黄色
花の大きさ:中輪
花形:剣弁高芯咲き
香り:中輪
樹高:~160cm
樹形:半直立性
作出:オランダ/Interplant/2005年