どこでも目立つ紅色の花を開くナガミヒナゲシ。風にゆらゆら揺れている花は風情があって素敵だ。多数の種子を放つので繁殖力がとても強いらしい。ときに嫌われるようだが、ぼくは好きだなぁ。ナガミは長実で、果実が細長いことによる。花はすぐに終わって果実ばかりになっている株よくみかける。
(2020-04 川崎市 道端)
ガミヒナゲシ(長実雛芥子、長実雛罌粟、学名Papaver dubium)は、ケシ科の一年草または越年生植物である。
分布
地中海沿岸の原産でヨーロッパ、北アフリカ、西アジア、オセアニア、南北アメリカ、日本に分布する。
特徴
紅色、もしくは肉色と評されるオレンジ色の花を付ける。花弁は基本的に4枚だが、多少の変動がある。開花時期は4-5月。
高さは栄養状態によって異なるが、15cmくらいから最大60cmぐらいにまで生長する。茎には硬い剛毛が生えている。葉は細かく切れ込む。果実(芥子坊主)は細長く、和名の長実雛芥子はここから付けられた。果実の中には文字通り芥子粒の大きさの種が入っている(種子一粒の大きさは0.6×0.7mm、重さは0.13mg程である)。果実が熟して乾くと柱頭との間に7-9箇所の隙間が出来、長い茎が風に揺れることでこの射出部から種を地面に落とす(風靡散布)。
梅雨時に非常に小さな灰黒色の種子を大量に成す。一つの果実には約1600粒の種子が内包されている。一個体は100個の果実を成すこともあるため、多い個体では15万粒の種子を持っている。種子の表面には凹凸があり未熟な状態でも発芽し、また、結実から5年を経たものでも発芽することができる。種は秋に発芽してロゼット状態で越冬するものと、翌春に発芽するものとに分かれる。発芽適温は7-25℃と広範囲にわたり、殊に気温の低下により発芽が促される。
茎を切ると黄色または乳白色の乳液が出てくる。根と葉からは周辺の植物の生育を強く阻害する成分を含んだ物質が生み出される(アレロパシー)。外来植物の改良FAO方式による雑草化リスクの評価では、特定外来生物に指定されている植物に匹敵するか、これらを上回る高いリスク点数が得られているが[5]、特定外来生物などにはいまだ指定されていない[9]。各国ではコムギ畑などの秋播き作物の農地へ侵入して難防除雑草となっている。
ナガミヒナゲシは他のヒナゲシと同様、阿片の原料となるアルカロイドを含んでいないとされ、あへん法による栽培や所持等の禁止対象とはなっていないが、同法により栽培等が禁止されているケシとの交配の可能性を示唆する論文も有る。