馬酔木のような壺形の小さな白い花が可憐なドウダンツツジ。秋には目の覚めるような真っ赤に紅葉で楽しませてくれる。もともとは日本の原産種で、垣根などに好まれて使われる。たしかに花は満天の星のようだ。「どうだん」の名は「とうだい」がなまったもので、古来宮中で使われた「灯台」の形と、ドウダンツツジの枝分かれの形が似ていることにようものだという。古くからあった品種であることをうかがわせる。俳句の世界では満天星と書いてどうだんと読むらしい。「どうだんの鈴の落花の石に鳴る 山口青邨」。
(2020-04 川崎市 道端)
ドウダンツツジは春に咲く白い壺形のかわいらしい小花と、秋の紅葉(10月中旬から11月)がすばらしい、落葉性の花木です。葉が出る前に開花します。
日本原産ですが、現在、各地で栽培されているドウダンツツジは小葉の優良個体を選抜したものです。刈り込みに耐え、小枝が密に出るので、生け垣用として、戦後急速に全国に広まったものと考えられます。野生のドウダンツツジの多くは、栽培されている株よりも葉が大きく、枝の出方が粗めです。実際、各地に残るドウダンツツジの古木は葉が大きく、葉の幅が広い、野性のヒロハドウダンツツジ(Enkianthus perulatus f. japonicus)だと思われます。
基本データ
園芸分類 庭木・花木
形態 低木 原産地 日本(本州・四国・九州)、台湾
草丈/樹高 1~2m 開花期 4月中旬~5月上旬
花色 白 栽培難易度(1~5)
耐寒性 強い 耐暑性 強い
特性・用途 落葉性,耐寒性が強い,生け垣向き,初心者でも育てやすい
満天星の花 の例句
いつせいに咲き満天星の千の花 鷹羽狩行
どうだんにまじりて咲けるつつじかな 山口青邨
どうだんの紅見て仰ぐ山の雲 飯田龍太
どうだんの花がこぼるる石遅日 山口青邨
どうだんの鈴の落花の石に鳴る 山口青邨
子の声の花満天星や日の出前 齋藤玄 飛雪
揚羽またやすむ満天星若葉かな 岡井省二 明野
春めくとどうだん茜さしにけり 阿波野青畝
朝森に点き満天星の豆ラムプ 楠本憲吉 孤客
海老網を繰るや満天星の下 鈴木真砂女 夏帯
満天星に隠りし母をいつ見むや 石田波郷
満天星の鈴も更紗に染まるとは 後藤比奈夫
触れてみしどうだんの花かたきかな 星野立子
霧の禽満天星に瑠璃を点じけり 水原秋櫻子 玄魚