9月13日の記事のつづきです。
3.
実は一番気になったのは、高橋ジョージがデジタルオーディオを否定しアナログを手放しで礼賛していたことです。
「Road」で得た財産を全て注ぎ込んだプライベートスタジオには海外から取り寄せたアナログ機器が揃い、
リリースの媒体もCDではなくアナログレコードにしたいとまで言っていました。
確かにアナログ黄金時代(1960年代から1970年代初頭あたりまででしょうか)に作られたレコードの中には、物凄い音のものが多々あります。
しかるべき再生機器で聴くと、どんなに良くできたCDプレーヤーでも太刀打ちできないと思わせる次元の違う音です。
しかし、1970年代中頃あたりからのアナログレコードからはなぜかその凄みが失われてしまいました(具体的に言えば演奏のダイナミズムが平板になり、音の見通しが悪くなりました)。
その理由についてはあくまでも個人的な意見ですが、音楽業界全体がテクノロジーの急速な進歩を過信し過ぎて、それまでの機微な職人仕事さえもテクノロジーで吸収できると思ってしまったのではないかと考えています。
そして残念なことに、全ての情報を記録できたと思い込んでいるものが、ローテクの時代に職人が記録していたものよりも情報量が劣っていたのではないでしょうか。
当時は音楽業界も耳の良い人が多かったでしょうから多くの人が過ちに気付いたと思いますが、その時には機材も人も全て入れ替ってしまっていて、
すでに取り返しがつかない状態になってしまっていたのではないでしょうか。
個人的には、1970年代中頃あたりからのアナログレコードの音のレベルでしたら、デジタル録音かつCDでも越えられると思っています。
そのくらい現在のデジタル技術はいい線まで来ています。
もちろん音楽が分かった耳の良いエンジニアがいることが前提ですが。
アナログの方が全て優れていると思い込んでいるミュージシャンは、エンジニアに恵まれていなかったか、
そもそも本人が、良い音とはどんなものか分かっていないのではと思います。
しかしアナログ黄金時代のレベルを超えるのは、CDアナログに関係なく、絶望的に難しいと思います。
そのくらい、しかるべき再生機器で聴くアナログ黄金時代の優れたレコードの音は隔絶しています。
高橋ジョージはおそらくそのレベルを目指して機材を収集し環境を整えようとしているのでしょうが、
以下の点でかなりの難題だと思います。
1) アナログ黄金時代と同じクオリティのレコーディングおよびマスタリングが可能なのか
2) アナログ黄金時代と同じクオリティのプレスが可能なのか
3) 満足できる再生が可能なのか
1)および2)については、
(1) 当時と同じ機材または同じレベルの機材が、当時と同じコンディションで手に入るのか
(2) ノウハウは持っているのか
というかなりの難題があります。
(1)については、当時と同じ機材が手に入ったとしても、メカ部品、電気部品共に劣化しているのが当たり前だと思いますし、
現在現役のアナログ機材で替わりが務まるかというと、1970年代中頃から現在までのアナログレコードの音を聴く限りでは、無理だと思います。
(2)については、アナログ黄金時代の職人の機微なノウハウを40年後の現在、得ることが可能なのかという疑問があります。
このノウハウには録音やプレスだけでなく、機材のメンテナンスのノウハウも含みます。
まだ続きます。
3.
実は一番気になったのは、高橋ジョージがデジタルオーディオを否定しアナログを手放しで礼賛していたことです。
「Road」で得た財産を全て注ぎ込んだプライベートスタジオには海外から取り寄せたアナログ機器が揃い、
リリースの媒体もCDではなくアナログレコードにしたいとまで言っていました。
確かにアナログ黄金時代(1960年代から1970年代初頭あたりまででしょうか)に作られたレコードの中には、物凄い音のものが多々あります。
しかるべき再生機器で聴くと、どんなに良くできたCDプレーヤーでも太刀打ちできないと思わせる次元の違う音です。
しかし、1970年代中頃あたりからのアナログレコードからはなぜかその凄みが失われてしまいました(具体的に言えば演奏のダイナミズムが平板になり、音の見通しが悪くなりました)。
その理由についてはあくまでも個人的な意見ですが、音楽業界全体がテクノロジーの急速な進歩を過信し過ぎて、それまでの機微な職人仕事さえもテクノロジーで吸収できると思ってしまったのではないかと考えています。
そして残念なことに、全ての情報を記録できたと思い込んでいるものが、ローテクの時代に職人が記録していたものよりも情報量が劣っていたのではないでしょうか。
当時は音楽業界も耳の良い人が多かったでしょうから多くの人が過ちに気付いたと思いますが、その時には機材も人も全て入れ替ってしまっていて、
すでに取り返しがつかない状態になってしまっていたのではないでしょうか。
個人的には、1970年代中頃あたりからのアナログレコードの音のレベルでしたら、デジタル録音かつCDでも越えられると思っています。
そのくらい現在のデジタル技術はいい線まで来ています。
もちろん音楽が分かった耳の良いエンジニアがいることが前提ですが。
アナログの方が全て優れていると思い込んでいるミュージシャンは、エンジニアに恵まれていなかったか、
そもそも本人が、良い音とはどんなものか分かっていないのではと思います。
しかしアナログ黄金時代のレベルを超えるのは、CDアナログに関係なく、絶望的に難しいと思います。
そのくらい、しかるべき再生機器で聴くアナログ黄金時代の優れたレコードの音は隔絶しています。
高橋ジョージはおそらくそのレベルを目指して機材を収集し環境を整えようとしているのでしょうが、
以下の点でかなりの難題だと思います。
1) アナログ黄金時代と同じクオリティのレコーディングおよびマスタリングが可能なのか
2) アナログ黄金時代と同じクオリティのプレスが可能なのか
3) 満足できる再生が可能なのか
1)および2)については、
(1) 当時と同じ機材または同じレベルの機材が、当時と同じコンディションで手に入るのか
(2) ノウハウは持っているのか
というかなりの難題があります。
(1)については、当時と同じ機材が手に入ったとしても、メカ部品、電気部品共に劣化しているのが当たり前だと思いますし、
現在現役のアナログ機材で替わりが務まるかというと、1970年代中頃から現在までのアナログレコードの音を聴く限りでは、無理だと思います。
(2)については、アナログ黄金時代の職人の機微なノウハウを40年後の現在、得ることが可能なのかという疑問があります。
このノウハウには録音やプレスだけでなく、機材のメンテナンスのノウハウも含みます。
まだ続きます。