化学系エンジニアの独り言

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2005ハリケーンの後遺症

2006-09-08 | 石油
昨年アメリカ・ガルフ地区を襲った大型ハリケーン(カトリーナとリタ)は記憶に新しいところです。ニューオーリンズの町は一瞬にして洪水で破壊されてしまいました。と同時に石油施設も甚大ならざる被害をこうむりました。
石油生産設備の95%、ガス生産設備の85%の操業がストップしました。

被害の全容はいまだ集計中とのことですが、前例の無いものだったのは間違いないところです。8月29日に上陸したカトリーナによって44の石油プラットフォームが破壊され、20のプラットフォームが損傷を受けたと報告されています。一方、9月24日にテキサス州とルイジアナ州の境に上陸したリタによって、オフショアの69のプラットフォームが破壊され、他に32箇所が損害を受けたそうです。
復旧工事は続けられているものの6月末時点でまだ、10%近くの設備は運転再開できていないといいます。

被害額としては、石油とガスの生産がストップしたことで$16B、掘削リグ・プラットフォーム・パイプラインなどの損害として$31Bという集計がなされています。さらにハリケーン後に保険額が$13M/四半期から$20M/四半期に上昇したといいます。

このようが大型ハリケーンへの対応策としてBPではプラットフォームとの通信のための光ファイバーケーブルを新たに$100Mかけて施設するといいます。これまでは人工衛星を利用して通信を行なっていたそうですが、それだと嵐の中では通信が出来なかったそうです。プラットフォームの足を長くして海面との間隔を大きく取り、高波による被害を減らそうという措置もとられるようです。あるいは海底パイプラインにコンクリートバッドの補強を施すことも検討されています。

この二つのハリケーンは異例中の異例というものでしょうが、心理的には大きな影響を今年も与えています。それはハリケーンと原油価格の関係に見られます。
カトリーナ被害が発生した直後の9月3日にガソリン価格はガロン当り$3.05と最高値を付けましたが、これは前週よりも37セントの上昇でした。しかしハリケーンが去った後は徐々に価格は低下し、10月21日にはハリケーン前と同じ$2.61まで戻りました。

今年も先日のハリケーン・アーネストに気をもんだようですが、熱帯低気圧になった途端にガソリン価格は11セント下落して$2.98になりました。この11セントという下落幅は昨年のハリケーン後以降ではもっとも大きなものです。
夏休みのガソリン消費シーズンも終わり、ハリケーンの懸念も遠のいてガソリン価格は下がってきたということでしょうか。ドライブをするならば今だ、という声も聞こえます。もっとも、原油高の影響はそのまま残っていますから、ロングドライブとは行かないでしょう。