化学系エンジニアの独り言

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EUの温暖化ガス削減の現状

2006-11-08 | 環境
EU15カ国の削減目標は基準年に対して8%です。ところが最新の2004年統計によれば0.9%しか削減が進んでいないそうです。1990年から2004年にかけて経済は32%増大しているそうですから、経済成長に比較すれば温暖化ガスは増えていないといえるのですが、目標値には遠く及びません。このまま行くと2010年の中間年では-0.6%にとどまると予測されています。

EU-15全体で-8%ですが、各国の目標はまちまちでドイツ-21%、イギリス-12.5%という国もあればフランスゼロ、スペインは逆にプラス15%です。これには各国の一次エネルギー源構成比やCO2排出量の過多が異なるためです。

メンバー国は計画されているがまだ実行に移されていない政策や方法に直ぐにでも取り掛かる必要があります。これにより-4.6%まで削減を進めることができるそうです。

その上で-8%を達成するため、京都メカニズムで-2.6%、森林CO2吸収で-0.8%を見込んでいます。排出権取引での購入額は10カ国合計で2.83 billionユーロに上ります。

2004年以降にEUに加盟した10カ国(EU-10)は実に-22.6%を2010年に達成する見込みです。これはCO2排出削減の努力もさることながら、政情不安などにより経済活動が停滞したことが理由ではないでしょうか。このEU-10は京都議定書には含まれていませんが、EU-15+EU-10の25カ国全体では-10.8%を達成できるとしています。

但し計画している政策を直ちに実行に移すこと、その実行により確実に成果が上がることが必要なわけで、楽観視はできないはずです。