原則論としては、9条に限らずそろそろ憲法の全条文にわたる再検討が必要でしょうと思います。
70年以上、一字一句たりとも変化のない憲法って、何の冗談かと思います。
本来であれば、憲法の条文と日本国の現実が適合していない場合、国の政策によって現実の方の変化を期待するのが常道だとは思います。
しかしながら、
(1)そもそも憲法に規定がない問題について
例えば環境問題、プライバシーと公的機関の情報公開に関する問題等は明文規定がないです。幸福追求権に含意されているとして憲法の保障とされていますが、もう少し明確に規定すべきでしょう。
(2)憲法改正手続きにつて
そもそも硬性憲法の中でも、最も変えにくい類の憲法が日本国憲法です。
国会の両院でそれぞれ総議員数の2/3以上の賛成がないと発議できないって、国家社会主義獨逸労働者党並みの独裁政党の出現でも期待しているのかと。
……逆説的に、第二次安倍政権で改憲の発議すら為されなかったことは、現在の自公連立政権が独裁政権ではありえない、ということでもあります。
護憲勢力の勝利と誇りたい向きはご随意に。
(3)憲法第9条問題について
これ、関連する憲法前文と合わせ、既に竹島を占拠された時点で破綻しています。いわゆる李承晩ラインをめぐり、40名以上の日本人漁民が全く無実であるのに殺され、4,000人以上の日本人漁民が不法に拘留されています。
憲法9条はこの問題の解決に全く役に立っていません。
(小生、そもそも日本人であること自体が罪、と仰る向きと対話する言語を習得しておりません)
しかしながら、現在の日本では憲法問題が票につながりにくいのも確かです。
理非曲直はさておき揉め事を起こすこと自体が悪である日本社会においては、この手の収拾の付かない論争に直結する問題は実に取り扱いにくい問題ですし、憲法が変わったことで、例えば国民一人一人の賃金が明日から月給で1万円上がるというような直接的利益もありません。
管政権としては、自衛隊の問題もさることながら、いわゆる非常事態における国および政府諸機関の非常事対応についてきちんと整備しておきたいのだろうと思いますが、この種の議論を一言述べただけで「軍靴の音が云々」と思考停止する御仁がまだまだ無視できないのもまた事実です。
要は改憲を表看板とすることは、もめ事を自ら起こすスタイルにつながる訳で、日本における政権与党の取るべき選挙戦略としてはあまり感心できません。
何というか、管政権の余裕のなさが露呈した感があります。