食品のカラクリシリーズ TVのグルメ店・郷土料理番組/食べ物視点
グルメ店紹介のTV番組は素人風のタレントがお客を装い美味しさコメント
郷土料理・主婦料理の番組も料理家や主婦に見えるタレントが造る
■グルメ店や下町名物の味に素人風タレントが台本通りの旨いを連発
夕方のニュースの合間でも、「グルメ店」や下町の味を紹介するTV番組をやっています。必ずお客に、美味しさの感想を聞きます。実は“素人に見えるタレント”が、店のお客としてそっと「出演」しているのをご存じですか?お客はいきなりカメラの前では、必ずしも料理の味を的確に答えられません。番組は美味しさを伝える必要があるため、たまたま来たお客の振りをして、料理のポイントを台本通りにコメントさせるのです。視聴率アップと、店に行かせるための演出です。そういう眼で見ると、本物のお客かタレントか分かりますよ。
もう1つ、主婦の自慢家庭料理を紹介するTVシーンも、ニセモノです。料理自慢とはいえズブの主婦は、造り方の説明に要領を得ない方もいます。手っ取り早く“普通の主婦に見えそうなタレント”が、番組が企画した料理メニューを手際悪そうに造り、主婦ぶってたどたどしく調理手順を説明する算段です。
一般の家の台所は狭くカメラワークなどが難しいため、予め契約してある撮影しやすい特定の家、あるいはスタジオを一般家庭のようにして撮影しているのです。一般主婦が自宅で調理しているように見えても、別人のタレントが別場所での撮影なのです。料理番組も、普通のドラマロケと何ら変わらない手法です。
■素人の郷土料理はTV映えしないのでプロの料理家が豪華に造り変える
古びた田舎のご自宅を訪問し、その家のおばあさんが造った郷土料理・伝統料理を紹介するTV番組を見掛けます。いくつものお膳に、所狭しと大皿料理が並びます。さぞかしおばあさんが張り切って造った料理と思いきや、これもプロの料理家が事前にそのおばあさんから造り方を聞いて、TV映えするように豪華にアレンジして造るのです。
本来、郷土料理とは地味なもので、ましてや代々家に引継がれた料理は質素です。そのままではTV映えしないので、不釣り合いな豪華な什器や装飾品を使ったり、他の料理も加えて食べ切れないほどの量を揃えます。その土地に不釣合いな造作された料理で、番組を盛り上げているのです。郷土料理なのですから、そのままの地味なスタイルで紹介したほうが受け手に伝わります。しかし地元で食べるそのままの姿では辛気臭く、すぐチャンネルを換えられてしまうからこんなことをするのです。
ある生番組中にアナウンサーが、造ったとされるおばあさんにマイクを向けると、「こんな美味しい料理を頂いたのは初めて」と正直者ゆえの本音が出てしまうことも。郷土料理に、演出は要りません。2回に渡りTVの料理番組をご案内しましたが、料理番組でも相変わらずの“やらせ”と“虚像”ばかりです。
芸能人がTV番組で造る料理は大半がプロの料理家が代行している