少数派シリーズ/政治情勢
統一教会6|週刊文春◇下村文科相が統一教会の名称変更を認証・腐り切った関係
■統一教会と自民党有力者との密接な関係は自民党にとって<公然の秘密>だった
まず投稿者の文章/今号は週刊文春22年7月28日号と、しんぶん赤旗の記事を活用しています。文春はメインタイトルを「統一教会と自民党『本当の関係』」とし、厳しい批判をしている。およそ30年前に霊感商法で多大な死者・破産者・被害を出し、社会問題になった「統一教会」。その犯罪と悪事を覆い隠そうとして、統一教会は名称を「世界平和統一家庭連合」に変えることができた。本文のように名称変更は文科省・文化庁の所管で、被害や犯罪を波及・増幅させないためなど社会的な影響を鑑み、そう簡単に変えられない。それを可能、実現させたのが、当時、文科大臣だった下村博文氏だった。下村氏は統一教会系組織と癒着を深め、文化庁に圧力を掛けたとされる。また高村正彦前副総裁は統一教会側の弁護人を務め、統一教会の関連企業から380万円の高級車が贈られていたことも分かった。後段のしんぶん赤旗は前川喜平・元文部科学事務次官から証言を取り、前川氏が97~98年当時、文化庁の課長だった頃、名称変更を拒否した話を載せている。投稿者の意見として、自民党は「腐り切っている」と申し上げたい。自民党があまりにも酷い場合は、文春誌を購入してしっかり分析する。
補足1/週刊文春記事のタイトルを基に、一部、投稿者が補足した。文章も分かりやすくするため、前後の流れを鑑み、一部省略、追記・修正した箇所あり。
ここから文春の文章です/創始者の文鮮明氏が1968年、反共産主義を掲げた政治団体「国際勝共連合」を立ち上げた際、設立に尽力したのが、安倍元首相の祖父・岸信介首相(当時)だ。統一教会の説明によれば、岸氏の自宅の隣に教団の教会があり、文氏の講演会にも参加していたという。以降、勝共連合は自民党の中でも清和会との関係を深めていく。当時、安倍氏の父・晋太郎元外相が率いる清和会の所属の副大臣経験者が振り返る。「私は中選挙区制だった90年代の選挙で初当選しましたが、新人でカネも人も足りなかった。そこで晋太郎先生が頼んでくれたのが、勝共連合です。その青年部が10人、20人と支援に入ってくれた。彼らは選挙を良く知っていたし、ポスターもバンバン貼ってくれました。当時の安倍派新人議員は皆、私と同じような状況だったの思います」と語る。
そんな中、宗教法人を所管する文化庁宗務課に対し、彼らが求めたのが世界平和統一家庭連合への名称変更だ。だが97年から申請を行ったものの、文化庁は変更を認証しなかった。当時、宗務課長だった前川喜平元文科次官が説明する。「安易な名称変更を認めれば、新たな被害者を生み出す懸念もあります。宗教団体としての実態が変わっていない以上、認証するわけにはいきませんでした」。以来、文化庁は20年近く、名称変更の申請を受理しなかった。それが一転して認められたのが、15年8月のことだ。前川氏は、「前例主義が大原則の役人の世界で、180度の方針転換が行われ、省内では政治からの圧力も取り沙汰されました。私は当時、文部科学審議官で文化庁を直接担当するポストではありませんでしたが、宗務課長が直接説明に来たほどです。それだけ重要度の高い事案なのだから、文化部長限りで決済することなど考えづらい。当時の文科相の了解も得ているはずです」。その大臣こそ、他ならぬ下村博文氏(在任期間は12年12月から15年10月まで)だった。
■高村正彦前副総裁は統一教会側の弁護人を務め関連企業から高級車が贈られていた
大塚正尚氏は、勝共連合の会計責任者を務めている。そんな幹部が、所管省庁の大臣側に直接”陳情”していたのだ。下村氏の大臣在任中に大塚氏、統一教会系の新聞社「世界日報社」の早川一郎政治部長らが、計8万円を献金している。下村氏の後援団体「博友会」は毎年大規模な政治資金パーティーを開催しているが、その他の定期会合などに大塚氏は9回、早川氏は12回、世界日報社の木下義昭社長も6回出席していた。こうして文科相だった下村氏が統一教会側と関係を築いていく中、15年8月、「統一教会」が「世界平和統一家庭連合」への名称変更が認められたのだった。他方、自民党幹部には、統一教会の弁護人を務めていた人物もいる。高村正彦前副総裁だ。国政から引退したものの、現在も憲法改正実現本部の最高顧問として隠然たる影響力を保持している。80年に初当選を果たす以前は弁護士だった高村氏。当時、統一教会側の弁護人を2つの訴訟で務めていた。その関係性は国政に進出後も続き、大蔵政務次官だった89年には、統一教会関連企業「ハッピーワールド」から380万円相当の高級車セドリックの提供を受けていたことが発覚している。
■前川喜平氏指摘「統一協会の名称変更は安倍政権下で方針転換」政治圧力か?
補足2/日本共産党は「統一協会」と表示している。もともと「世界基督教統一神霊協会」が韓国で設立。2015年に「世界平和統一家族連合」に変更された。見解は、霊感商法や集団結婚式などで社会的批判を浴びてきたカルト集団であることに変わりないため。そもそも宗教団体とは見ていないので、「教会」ではなく「協会」としている。
ここからしんぶん赤旗の文章です/統一協会は安倍政権下の2015年に、「世界平和統一家庭連合」に正式名称を変更しました。文部科学省の外局である文化庁はそれまで、名称変更を拒否していましたが申請を受理して認証しました。なぜ突然に方針が変更されたのか―。前川喜平・元文部科学事務次官は、「私が文化庁宗務課長だったときに統一協会が名称変更を求めてきたが拒否した」そう証言します。前川氏は1997~98年の1年間、宗教法人制度の運用を担当する文化庁宗務課の課長でした。「教義など団体の実体に変化がないと名前は変えられないと伝えた。役人は前例を重んじる。その後も同様の理由で断ってきたはずだ」と前川氏は言います。ところが宗務課は15年8月26日に認証します。なぜか―。
本紙が宗務課に確認すると、「書類が整ったので変更を認証した。以前、断った経過は当時を知る職員がいないので分からない」との回答でした。認証変更を決裁したのは文化部長だといいます。前川氏は「行政は継続性、安定性が大事。部長レベルでは方針変更を決定できない。しかも統一協会と自民党の関係はみんな知っているからより慎重になる。政治的圧力があった可能性が高いと思う」と指摘します。当時の文科相は自民党の下村博文衆院議員です。下村氏は文科相当時、統一協会系の「世界日報」のインタビューに複数回登場しています。
次号/統一教会7|自民党は統一協会との関係について火消しに躍起、広がる動揺・居直る幹部
前号/統一教会5|安倍政権首相秘書官・井上義行議員は統一教会集会で「信徒になった」と紹介される
統一教会6|週刊文春◇下村文科相が統一教会の名称変更を認証・腐り切った関係
■統一教会と自民党有力者との密接な関係は自民党にとって<公然の秘密>だった
まず投稿者の文章/今号は週刊文春22年7月28日号と、しんぶん赤旗の記事を活用しています。文春はメインタイトルを「統一教会と自民党『本当の関係』」とし、厳しい批判をしている。およそ30年前に霊感商法で多大な死者・破産者・被害を出し、社会問題になった「統一教会」。その犯罪と悪事を覆い隠そうとして、統一教会は名称を「世界平和統一家庭連合」に変えることができた。本文のように名称変更は文科省・文化庁の所管で、被害や犯罪を波及・増幅させないためなど社会的な影響を鑑み、そう簡単に変えられない。それを可能、実現させたのが、当時、文科大臣だった下村博文氏だった。下村氏は統一教会系組織と癒着を深め、文化庁に圧力を掛けたとされる。また高村正彦前副総裁は統一教会側の弁護人を務め、統一教会の関連企業から380万円の高級車が贈られていたことも分かった。後段のしんぶん赤旗は前川喜平・元文部科学事務次官から証言を取り、前川氏が97~98年当時、文化庁の課長だった頃、名称変更を拒否した話を載せている。投稿者の意見として、自民党は「腐り切っている」と申し上げたい。自民党があまりにも酷い場合は、文春誌を購入してしっかり分析する。
補足1/週刊文春記事のタイトルを基に、一部、投稿者が補足した。文章も分かりやすくするため、前後の流れを鑑み、一部省略、追記・修正した箇所あり。
ここから文春の文章です/創始者の文鮮明氏が1968年、反共産主義を掲げた政治団体「国際勝共連合」を立ち上げた際、設立に尽力したのが、安倍元首相の祖父・岸信介首相(当時)だ。統一教会の説明によれば、岸氏の自宅の隣に教団の教会があり、文氏の講演会にも参加していたという。以降、勝共連合は自民党の中でも清和会との関係を深めていく。当時、安倍氏の父・晋太郎元外相が率いる清和会の所属の副大臣経験者が振り返る。「私は中選挙区制だった90年代の選挙で初当選しましたが、新人でカネも人も足りなかった。そこで晋太郎先生が頼んでくれたのが、勝共連合です。その青年部が10人、20人と支援に入ってくれた。彼らは選挙を良く知っていたし、ポスターもバンバン貼ってくれました。当時の安倍派新人議員は皆、私と同じような状況だったの思います」と語る。
そんな中、宗教法人を所管する文化庁宗務課に対し、彼らが求めたのが世界平和統一家庭連合への名称変更だ。だが97年から申請を行ったものの、文化庁は変更を認証しなかった。当時、宗務課長だった前川喜平元文科次官が説明する。「安易な名称変更を認めれば、新たな被害者を生み出す懸念もあります。宗教団体としての実態が変わっていない以上、認証するわけにはいきませんでした」。以来、文化庁は20年近く、名称変更の申請を受理しなかった。それが一転して認められたのが、15年8月のことだ。前川氏は、「前例主義が大原則の役人の世界で、180度の方針転換が行われ、省内では政治からの圧力も取り沙汰されました。私は当時、文部科学審議官で文化庁を直接担当するポストではありませんでしたが、宗務課長が直接説明に来たほどです。それだけ重要度の高い事案なのだから、文化部長限りで決済することなど考えづらい。当時の文科相の了解も得ているはずです」。その大臣こそ、他ならぬ下村博文氏(在任期間は12年12月から15年10月まで)だった。
■高村正彦前副総裁は統一教会側の弁護人を務め関連企業から高級車が贈られていた
大塚正尚氏は、勝共連合の会計責任者を務めている。そんな幹部が、所管省庁の大臣側に直接”陳情”していたのだ。下村氏の大臣在任中に大塚氏、統一教会系の新聞社「世界日報社」の早川一郎政治部長らが、計8万円を献金している。下村氏の後援団体「博友会」は毎年大規模な政治資金パーティーを開催しているが、その他の定期会合などに大塚氏は9回、早川氏は12回、世界日報社の木下義昭社長も6回出席していた。こうして文科相だった下村氏が統一教会側と関係を築いていく中、15年8月、「統一教会」が「世界平和統一家庭連合」への名称変更が認められたのだった。他方、自民党幹部には、統一教会の弁護人を務めていた人物もいる。高村正彦前副総裁だ。国政から引退したものの、現在も憲法改正実現本部の最高顧問として隠然たる影響力を保持している。80年に初当選を果たす以前は弁護士だった高村氏。当時、統一教会側の弁護人を2つの訴訟で務めていた。その関係性は国政に進出後も続き、大蔵政務次官だった89年には、統一教会関連企業「ハッピーワールド」から380万円相当の高級車セドリックの提供を受けていたことが発覚している。
■前川喜平氏指摘「統一協会の名称変更は安倍政権下で方針転換」政治圧力か?
補足2/日本共産党は「統一協会」と表示している。もともと「世界基督教統一神霊協会」が韓国で設立。2015年に「世界平和統一家族連合」に変更された。見解は、霊感商法や集団結婚式などで社会的批判を浴びてきたカルト集団であることに変わりないため。そもそも宗教団体とは見ていないので、「教会」ではなく「協会」としている。
ここからしんぶん赤旗の文章です/統一協会は安倍政権下の2015年に、「世界平和統一家庭連合」に正式名称を変更しました。文部科学省の外局である文化庁はそれまで、名称変更を拒否していましたが申請を受理して認証しました。なぜ突然に方針が変更されたのか―。前川喜平・元文部科学事務次官は、「私が文化庁宗務課長だったときに統一協会が名称変更を求めてきたが拒否した」そう証言します。前川氏は1997~98年の1年間、宗教法人制度の運用を担当する文化庁宗務課の課長でした。「教義など団体の実体に変化がないと名前は変えられないと伝えた。役人は前例を重んじる。その後も同様の理由で断ってきたはずだ」と前川氏は言います。ところが宗務課は15年8月26日に認証します。なぜか―。
本紙が宗務課に確認すると、「書類が整ったので変更を認証した。以前、断った経過は当時を知る職員がいないので分からない」との回答でした。認証変更を決裁したのは文化部長だといいます。前川氏は「行政は継続性、安定性が大事。部長レベルでは方針変更を決定できない。しかも統一協会と自民党の関係はみんな知っているからより慎重になる。政治的圧力があった可能性が高いと思う」と指摘します。当時の文科相は自民党の下村博文衆院議員です。下村氏は文科相当時、統一協会系の「世界日報」のインタビューに複数回登場しています。
次号/統一教会7|自民党は統一協会との関係について火消しに躍起、広がる動揺・居直る幹部
前号/統一教会5|安倍政権首相秘書官・井上義行議員は統一教会集会で「信徒になった」と紹介される