少数派シリーズ/政治情勢
統一教会22|松尾貴史氏コラム◇岸田さん旧統一教会問題もう国民は「忘れてくれた」と思ってる?
毎日新聞の日曜版、「松尾貴史のちょっと違和感」というコラムからの記事をご紹介します。
松尾貴史氏はコラムの中で、痛烈な批判をしています。ぜひお読み下さい。
*投稿タイトルは、新聞の原題・原文に基づいて投稿者が行ったものです。
↓ ↓ ▽松尾貴史氏のコラム
■まるで「なかったこと」のように振る舞う自民党や維新の会の政治家を見て強い違和感を覚える
岸田文雄氏という政治家は、何がしたくて首相になったのだろうか。この国では平均賃金が30年以上もほぼ横ばいのままで、国民や企業が所得から税金や社会保険料をどれだけ払っているかを示す「国民負担率」は5割になろうとしている。物価も上がって生活苦に陥っている人も増え続けている。食料自給率(カロリーベース)は4割を切って、出生率もどんどん下がり続け、子どもの7人に1人は貧困にあえぐ中、アメリカの兵器を言い値で爆買いするという目先の利かなさ、優先順位のとんちんかんは、一体どういう不都合から生まれる現象なのだろうか。そういえば、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題はどうなったのか。昨年からあれだけ大騒ぎをして、政治と犯罪的組織との批判もある団体の根深い癒着について光が当てられたというのに、今ではまるで「なかったこと」のように振る舞う自民党や日本維新の会に所属する政治家たちを見て、強い違和感を覚えずにはいられない。
旧統一教会は、長年にわたり霊感商法による詐欺的行為や恐喝、献金の強要のような行為で、信者から財産を巻き上げ、その家族を分断させ、多くの信者や家族を不幸のどん底にたたき落としてきた。そんな団体による選挙運動での動員やさまざまな協力、支援を受けて、旧統一教会の関連団体が発行するメディアや、主催する催しに賛辞を贈り、彼らに「お墨付き」を与えてきたことについて、岸田首相らは「調査をする」「丁寧に説明をさせる」などという口先のポーズだけは見せてきたが、何もしていないに等しい。そして大手マスコミも同じように「なかったこと」のように口を閉ざし、追及しようという気概はほとんど見られなくなった。オウム真理教が起こしたテロ事件などの捜査によって、組織を解体したことを受けて、警察関係者は「次は統一教会に着手する」と言っていたのに、ある時からまるで動かなくなってしまった。ジャーナリストの有田芳生氏は関係者の「政治の力によって止められた」という証言を明らかにしていたが、今もその「政治の力」が緩やかながらマスコミへのどう喝として働いているのだろうか。まるで「早く風化させたい」「ほとぼりを冷ましたい」という強いバイアスがかけられているとしか思えないような状況ではないか。
■統一地方選結果に自民党も旧統一教会側も安心し切っている、座視の有権者の感覚にも戦慄する
「報道特集」(TBS系)は、独自の取材を続けて旧統一教会の問題を報じ続けてくれている数少ない番組だ。番組も1992年に当時の統一教会に批判的な報道をして約3万件というおびただしい「抗議」電話を受けたそうだが、今その攻撃の矛先が、国会のヒアリングに協力している2世信者たちに向けられているという。岸田首相に至っては、宗教法人としての解散命令の要求はおろか、もう既に国民が忘れてくれたと解釈して広島サミットでイメージアップを図って「解散して総選挙、国民の信任を得て憲法をいじろう」とでも思っているかのようだ。「家庭」に対するいびつな価値観を共有させられている団体の意向をくんで、国の骨組みを改変してしまおうなどというのは言語道断だ。だが、テレビ局を押さえれば、この国の有権者の多数はちょろいものだという成功体験があるのか、今更、襟を正そうなどという気はさらさらないのだろう。自民党の「改憲案」や所属議員の発言などを見れば、旧統一教会の教義と価値観を同じくする要素が多い、というよりも「そのもの」とも言えるように思える。
萩生田光一氏、山際大志郎氏、木原誠二氏らが、旧統一教会とのズブズブの関係が明らかになりながらも「どこ吹く風」の風情で発言をしている姿を見ると、喉元過ぎれば熱さを忘れる国民性が、悪い意味で発揮されているのが分かる。自民党内では「旧統一教会問題は沈静化したという空気」だという。昨年11月の共同通信のアンケート調査で旧統一教会との関係を認めた都道府県議のうち、先日行われた統一地方選に265人が立候補し、そのうち9割の240人が当選している現状を見れば、自民党も旧統一教会側も安心し切っているのだろう。その前に、それを座視している有権者の感覚にも戦慄(せんりつ)するのだが。
■投稿者の文章|統一地方選挙から見えてきた国民の無関心さがこの国の将来に危惧を
統一地方選挙では自民党の旧統一教会への対応の酷さから見て、相当数の自民党の地方議員が落選すると思ったがそうではなかった。投稿者は”有権者が試される選挙”と見込んだが、あれほど批判された自民党議員が次々と当選した。岸田首相は、もうとっくに旧統一教会のことなど忘れてしまったことだろう。いやはや、この国の有権者のレベルがこれほど低いことを改めて知った。だから、愚策と言われる政策のやり放題だ。結局、富裕層や政治に関心のない人達の行動のしわ寄せが、高齢者、女性、弱者、貧困層、少数派に多大な悪影響を及ぼす。コロナ禍の影響か、給料が上がらない虚しさか、国民全体が「不感症」(鈍感)になっている。挙げ句の果てにメディアの萎縮と忖度、ネット情報の明らかな自民党支援の姿勢に麻痺してしまったのか。国民がこんなことをやっていれば、やがて回り回って無関心な層にまで生活苦や不合理なことになっていく。税や社会保険料などの国民負担率5割がさらに上がり、江戸時代の五公五民より酷くなる。政治の無策・現世代の無責任さが格差と膨大な借金を作り、これから20~30年先の若い方に全てしわ寄せされる。子供・孫の世代が、大変、気の毒になると危惧する。
次号/統一教会23|岸田首相も旧統一教会の広告塔になっていた!教会主要人物と自民党本部で面会
前号/統一教会21|開祖・文鮮明入国に金丸氏便宜、長年の癒着全て明らかにせよ!旧統一教会と自民党
統一教会22|松尾貴史氏コラム◇岸田さん旧統一教会問題もう国民は「忘れてくれた」と思ってる?
毎日新聞の日曜版、「松尾貴史のちょっと違和感」というコラムからの記事をご紹介します。
松尾貴史氏はコラムの中で、痛烈な批判をしています。ぜひお読み下さい。
*投稿タイトルは、新聞の原題・原文に基づいて投稿者が行ったものです。
↓ ↓ ▽松尾貴史氏のコラム
■まるで「なかったこと」のように振る舞う自民党や維新の会の政治家を見て強い違和感を覚える
岸田文雄氏という政治家は、何がしたくて首相になったのだろうか。この国では平均賃金が30年以上もほぼ横ばいのままで、国民や企業が所得から税金や社会保険料をどれだけ払っているかを示す「国民負担率」は5割になろうとしている。物価も上がって生活苦に陥っている人も増え続けている。食料自給率(カロリーベース)は4割を切って、出生率もどんどん下がり続け、子どもの7人に1人は貧困にあえぐ中、アメリカの兵器を言い値で爆買いするという目先の利かなさ、優先順位のとんちんかんは、一体どういう不都合から生まれる現象なのだろうか。そういえば、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の問題はどうなったのか。昨年からあれだけ大騒ぎをして、政治と犯罪的組織との批判もある団体の根深い癒着について光が当てられたというのに、今ではまるで「なかったこと」のように振る舞う自民党や日本維新の会に所属する政治家たちを見て、強い違和感を覚えずにはいられない。
旧統一教会は、長年にわたり霊感商法による詐欺的行為や恐喝、献金の強要のような行為で、信者から財産を巻き上げ、その家族を分断させ、多くの信者や家族を不幸のどん底にたたき落としてきた。そんな団体による選挙運動での動員やさまざまな協力、支援を受けて、旧統一教会の関連団体が発行するメディアや、主催する催しに賛辞を贈り、彼らに「お墨付き」を与えてきたことについて、岸田首相らは「調査をする」「丁寧に説明をさせる」などという口先のポーズだけは見せてきたが、何もしていないに等しい。そして大手マスコミも同じように「なかったこと」のように口を閉ざし、追及しようという気概はほとんど見られなくなった。オウム真理教が起こしたテロ事件などの捜査によって、組織を解体したことを受けて、警察関係者は「次は統一教会に着手する」と言っていたのに、ある時からまるで動かなくなってしまった。ジャーナリストの有田芳生氏は関係者の「政治の力によって止められた」という証言を明らかにしていたが、今もその「政治の力」が緩やかながらマスコミへのどう喝として働いているのだろうか。まるで「早く風化させたい」「ほとぼりを冷ましたい」という強いバイアスがかけられているとしか思えないような状況ではないか。
■統一地方選結果に自民党も旧統一教会側も安心し切っている、座視の有権者の感覚にも戦慄する
「報道特集」(TBS系)は、独自の取材を続けて旧統一教会の問題を報じ続けてくれている数少ない番組だ。番組も1992年に当時の統一教会に批判的な報道をして約3万件というおびただしい「抗議」電話を受けたそうだが、今その攻撃の矛先が、国会のヒアリングに協力している2世信者たちに向けられているという。岸田首相に至っては、宗教法人としての解散命令の要求はおろか、もう既に国民が忘れてくれたと解釈して広島サミットでイメージアップを図って「解散して総選挙、国民の信任を得て憲法をいじろう」とでも思っているかのようだ。「家庭」に対するいびつな価値観を共有させられている団体の意向をくんで、国の骨組みを改変してしまおうなどというのは言語道断だ。だが、テレビ局を押さえれば、この国の有権者の多数はちょろいものだという成功体験があるのか、今更、襟を正そうなどという気はさらさらないのだろう。自民党の「改憲案」や所属議員の発言などを見れば、旧統一教会の教義と価値観を同じくする要素が多い、というよりも「そのもの」とも言えるように思える。
萩生田光一氏、山際大志郎氏、木原誠二氏らが、旧統一教会とのズブズブの関係が明らかになりながらも「どこ吹く風」の風情で発言をしている姿を見ると、喉元過ぎれば熱さを忘れる国民性が、悪い意味で発揮されているのが分かる。自民党内では「旧統一教会問題は沈静化したという空気」だという。昨年11月の共同通信のアンケート調査で旧統一教会との関係を認めた都道府県議のうち、先日行われた統一地方選に265人が立候補し、そのうち9割の240人が当選している現状を見れば、自民党も旧統一教会側も安心し切っているのだろう。その前に、それを座視している有権者の感覚にも戦慄(せんりつ)するのだが。
■投稿者の文章|統一地方選挙から見えてきた国民の無関心さがこの国の将来に危惧を
統一地方選挙では自民党の旧統一教会への対応の酷さから見て、相当数の自民党の地方議員が落選すると思ったがそうではなかった。投稿者は”有権者が試される選挙”と見込んだが、あれほど批判された自民党議員が次々と当選した。岸田首相は、もうとっくに旧統一教会のことなど忘れてしまったことだろう。いやはや、この国の有権者のレベルがこれほど低いことを改めて知った。だから、愚策と言われる政策のやり放題だ。結局、富裕層や政治に関心のない人達の行動のしわ寄せが、高齢者、女性、弱者、貧困層、少数派に多大な悪影響を及ぼす。コロナ禍の影響か、給料が上がらない虚しさか、国民全体が「不感症」(鈍感)になっている。挙げ句の果てにメディアの萎縮と忖度、ネット情報の明らかな自民党支援の姿勢に麻痺してしまったのか。国民がこんなことをやっていれば、やがて回り回って無関心な層にまで生活苦や不合理なことになっていく。税や社会保険料などの国民負担率5割がさらに上がり、江戸時代の五公五民より酷くなる。政治の無策・現世代の無責任さが格差と膨大な借金を作り、これから20~30年先の若い方に全てしわ寄せされる。子供・孫の世代が、大変、気の毒になると危惧する。
次号/統一教会23|岸田首相も旧統一教会の広告塔になっていた!教会主要人物と自民党本部で面会
前号/統一教会21|開祖・文鮮明入国に金丸氏便宜、長年の癒着全て明らかにせよ!旧統一教会と自民党