少数派シリーズ/東京オリンピックの危うさVOL.38
ROUND3 新国立競技場 (ザハ・キールアーチ)編14
新国立競技場案の白紙撤回に騙されるな!防災拠点の名目を加え再び巨額に
オリンピック募金切手のご案内・第1次(飛込み) 1961年発行
ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2015年7月、旧ブログに投稿したものです。ザハ氏デザインによる新国立競技場案は、白紙撤回されました。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。
ザハ氏デザイン、キールアーチの新国立競技場の建築が、突然、白紙撤回されました。あのまま突き進めば、2,520億円どころか最終的に3,000億円台まで膨らみ、管理維持費・大型修繕費、その他を含めると、5,000億円のとんでもない建物になるところでした。挙げ句の果てに、東京オリンピックにも間に合わない無謀な計画だったのです。世論が高まったのは、槇文彦氏や常識ある多くの建築家達の熱心な意見でした。さらにはスポーツ評論家の玉木正之氏、1級建築士・建築エコノミストの森山高至氏らが、TVなどで困難なことを分かりやすく説明し続けたことも挙げられます。
しかし、安心してはいけません。世論調査など8~9割が見直すべきとの国民の声を、政府が聴いたとするメディア評は、正しくありません。賢明な国民の声や意見を聴かない安倍政権は、米国追従の“殺し・殺される”安保(戦争)法案を強引に推し進めています。内閣支持率の低下や戦争法案の批判が高まるのを恐れ、信念のないまま白紙撤回をしたのです。この期に及んでの撤回は、動機が極めて不純です。政府が国民の声を聴いたとするならば、新国立競技場どころか真っ先に戦争法案を引っ込めたはずです。支持率が下がらなければ、ザハ案のまま突っ込んで行ったのでしょうか?
「白紙撤回」をした安倍首相の言葉を分析すると、「コストを抑制し、現実的にベストな計画を作る」に留まっています。皆様は、槇氏らが提案した1,000億円以下の競技場になると思っていませんか? それは、大きな誤りです。もう政府関係者に、「2,000億円を目標にしている」と言わせているからです。内閣支持率低下や国民の憤りが和らいだら、またぞろ巨額の費用を言い出してくるに決まっています。白紙撤回はカッコ良く見えても、国民を騙す政治家がよく使う手です。新国立競技場に限らず予算は、ほとぼりが冷めた頃に同じような案を提案してくるのです。
それまでは、ザハ案を変えたら「絶対、間に合わない」の一点張りでした。また、「国際公約」を違えることになると言い続けてきました。新国立競技場の設計変更など、全く国際公約でも何でもありません。競技会場の8割が選手村から8km圏内とした初期案はとうの昔に崩壊し、28競技のうち10会場が変更(他2競技未定)など、4割の12会場が変更されています。国際公約と言うなら、こちらのほうが重大でしょう。IOCはアジェンダ2020で、東京大会から既存施設の使用、新設は予算が掛からぬようにとするものです。IOCは、新国立競技場に金が掛かることを懸念しているのです。
「間に合わない」と言ってきた理由は、2つあります。政府が東京オリンピックに乗じて、巨大開発やゼネコン支援を進める狙いがあるからです。キールアーチが問題ではなく、建築額を減らすことが困るのです。だから総工費がいくら膨れ上がっても、大企業のために無視し続けてきたのです。2つめは、白紙撤回により「黒幕」が炙り出されました。大会組識委員会会長の森・元首相が、陰で新国立競技場建築を牛耳っていたのです。森氏は早大時代にラグビーを始めるも、短期間のうちに挫折したのです。挫折したことからラグビーへの強い思いが募り、政治家へ圧力を掛けてきたのです。
黒幕・森氏は、大会組識委員会会長の立場を忘れた行為です。だから国民を放ったらかしにして、政府・オリンピック関係者が見苦しい責任逃れ・他者への責任の押し付け合うことになったのです。それらやJSC(スポーツ振興センター)、JSCを管轄する文科省の下村大臣が腑抜けだったのも、この黒幕(政治では失敗ばかりでしたが)を気にして、何も言えなかったのです。何と言っても、森氏が新国立競技場騒動の元凶です。さて本当の見直しは、簡素で無駄のない計画(開閉式屋根は作らず)、神宮の森の景観や環境に配慮する、アスリートや大会後も国民が利用しやすい設計をする、などが求められます。
私達が白紙撤回を丸々評価したら、それこそ政府の思う壺です。国は経済界・大企業が儲かるために、何やかや理屈を付けてゼネコンを助けるのです。今度は目的を変えて、再び巨額な新国立競技場にしようとしています。それは、「東京都の防災拠点」と「セキュリティー強化」です。これなら前回案のように、国民・都民からクレームが付きにくいからです。これを理由にされると、国民は同じような巨額でも文句が言いにくくなるでしょう。また防災拠点が理由なら、都からの税金も当てにできます。これこそ、論点のすり替えです。政府が、国民を騙す言動(策略)に今後も注視していくべきです。
「ザハ・キールアーチ編」はこれで終了し、次回以降は「白紙撤回後の新国立編」と称し、まだまだ追及して参ります。
追記/ザハ氏は2016年3月に急逝され、お悔やみ申し上げます。不謹慎な言い方ですが、今となってはザハ氏デザインによる新国立競技場の騒動は何だったのかと感じざるを得ません。
ROUND3 新国立競技場 (ザハ・キールアーチ)編14
新国立競技場案の白紙撤回に騙されるな!防災拠点の名目を加え再び巨額に
オリンピック募金切手のご案内・第1次(飛込み) 1961年発行
ブログを移転したため、投稿日と記事の日時・状況と整合性がありません。記事は2015年7月、旧ブログに投稿したものです。ザハ氏デザインによる新国立競技場案は、白紙撤回されました。アスリートファーストの尊重は微塵もなく、政治家・経済界・五輪関係者などは己の思惑・利益・保身のために、東京オリンピックの悪用が目に余ります。年月が経過しても、ブログにてその検証や事実を残しておく必要があると考えます。
ザハ氏デザイン、キールアーチの新国立競技場の建築が、突然、白紙撤回されました。あのまま突き進めば、2,520億円どころか最終的に3,000億円台まで膨らみ、管理維持費・大型修繕費、その他を含めると、5,000億円のとんでもない建物になるところでした。挙げ句の果てに、東京オリンピックにも間に合わない無謀な計画だったのです。世論が高まったのは、槇文彦氏や常識ある多くの建築家達の熱心な意見でした。さらにはスポーツ評論家の玉木正之氏、1級建築士・建築エコノミストの森山高至氏らが、TVなどで困難なことを分かりやすく説明し続けたことも挙げられます。
しかし、安心してはいけません。世論調査など8~9割が見直すべきとの国民の声を、政府が聴いたとするメディア評は、正しくありません。賢明な国民の声や意見を聴かない安倍政権は、米国追従の“殺し・殺される”安保(戦争)法案を強引に推し進めています。内閣支持率の低下や戦争法案の批判が高まるのを恐れ、信念のないまま白紙撤回をしたのです。この期に及んでの撤回は、動機が極めて不純です。政府が国民の声を聴いたとするならば、新国立競技場どころか真っ先に戦争法案を引っ込めたはずです。支持率が下がらなければ、ザハ案のまま突っ込んで行ったのでしょうか?
「白紙撤回」をした安倍首相の言葉を分析すると、「コストを抑制し、現実的にベストな計画を作る」に留まっています。皆様は、槇氏らが提案した1,000億円以下の競技場になると思っていませんか? それは、大きな誤りです。もう政府関係者に、「2,000億円を目標にしている」と言わせているからです。内閣支持率低下や国民の憤りが和らいだら、またぞろ巨額の費用を言い出してくるに決まっています。白紙撤回はカッコ良く見えても、国民を騙す政治家がよく使う手です。新国立競技場に限らず予算は、ほとぼりが冷めた頃に同じような案を提案してくるのです。
それまでは、ザハ案を変えたら「絶対、間に合わない」の一点張りでした。また、「国際公約」を違えることになると言い続けてきました。新国立競技場の設計変更など、全く国際公約でも何でもありません。競技会場の8割が選手村から8km圏内とした初期案はとうの昔に崩壊し、28競技のうち10会場が変更(他2競技未定)など、4割の12会場が変更されています。国際公約と言うなら、こちらのほうが重大でしょう。IOCはアジェンダ2020で、東京大会から既存施設の使用、新設は予算が掛からぬようにとするものです。IOCは、新国立競技場に金が掛かることを懸念しているのです。
「間に合わない」と言ってきた理由は、2つあります。政府が東京オリンピックに乗じて、巨大開発やゼネコン支援を進める狙いがあるからです。キールアーチが問題ではなく、建築額を減らすことが困るのです。だから総工費がいくら膨れ上がっても、大企業のために無視し続けてきたのです。2つめは、白紙撤回により「黒幕」が炙り出されました。大会組識委員会会長の森・元首相が、陰で新国立競技場建築を牛耳っていたのです。森氏は早大時代にラグビーを始めるも、短期間のうちに挫折したのです。挫折したことからラグビーへの強い思いが募り、政治家へ圧力を掛けてきたのです。
黒幕・森氏は、大会組識委員会会長の立場を忘れた行為です。だから国民を放ったらかしにして、政府・オリンピック関係者が見苦しい責任逃れ・他者への責任の押し付け合うことになったのです。それらやJSC(スポーツ振興センター)、JSCを管轄する文科省の下村大臣が腑抜けだったのも、この黒幕(政治では失敗ばかりでしたが)を気にして、何も言えなかったのです。何と言っても、森氏が新国立競技場騒動の元凶です。さて本当の見直しは、簡素で無駄のない計画(開閉式屋根は作らず)、神宮の森の景観や環境に配慮する、アスリートや大会後も国民が利用しやすい設計をする、などが求められます。
私達が白紙撤回を丸々評価したら、それこそ政府の思う壺です。国は経済界・大企業が儲かるために、何やかや理屈を付けてゼネコンを助けるのです。今度は目的を変えて、再び巨額な新国立競技場にしようとしています。それは、「東京都の防災拠点」と「セキュリティー強化」です。これなら前回案のように、国民・都民からクレームが付きにくいからです。これを理由にされると、国民は同じような巨額でも文句が言いにくくなるでしょう。また防災拠点が理由なら、都からの税金も当てにできます。これこそ、論点のすり替えです。政府が、国民を騙す言動(策略)に今後も注視していくべきです。
「ザハ・キールアーチ編」はこれで終了し、次回以降は「白紙撤回後の新国立編」と称し、まだまだ追及して参ります。
追記/ザハ氏は2016年3月に急逝され、お悔やみ申し上げます。不謹慎な言い方ですが、今となってはザハ氏デザインによる新国立競技場の騒動は何だったのかと感じざるを得ません。