食品のカラクリシリーズ スイカ割り/食べ物視点
夏休み・夏祭りの定番「スイカ割り」は今や身障者差別として中止されることも
食べ物も粗末にするとして児童(親)に不参加を要請する小学校が相次ぐ
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■日本の伝統でも目の不自由な方・親御さんの心情を慮って中止が妥当
子供の頃から、毎年夏になると町内会や夏祭りの行事としてスイカ割りをやってきた方も多いと思います。しかし時代が変わり、今やスイカ割りは目の不自由な身障者への差別として中止する町内会や団体が相次いでいます。地元の町内会でも、だいぶ前からスイカ割りが行われなくなりました。当初、スイカが高くなり、町会経費の関係で中止したと思っていました(笑)。役員に聞いたら、地元小学校からの“お達し”(要請)があり、取り止めたそうです。現在は、夏を伝えるスイカ割りのTVニュースは、原則、放送されません。
当然、スイカ割りは、手拭いやタオルで目隠ししてスイカを割ります。この行為が、目の不自由な方への障害者差別に当たるのです。また食べ物を弄ぶことにもなり、小学生への教育に相応しくない考え方です。一方、スイカ割りをこれからも子供や孫達に伝えたいと考える方や、スイカ割りは目の見えない方の立場を考える絶好の場なので、継続すべきという人もいます。果たして、そうでしょうか?それは後付けというか、屁理屈のような気がします。やはり目の不自由な方・その親御さんの立場や心情を慮って、中止することが妥当と思います。
スイカ割りや正月の「福笑い」は、「目が見える人」がわざわざ「目が見えない」ことを楽しむ遊びです。身障者は、目が見えないことは極めて深刻です。目が見える健常者が、勝手な解釈や理屈で物事を捻じ曲げてはならないと思います。駅・車内・道路で、障害者の杖が他の人に当たり、殴られる、突き倒される、罵声を浴びるなど、健常者からの被害が甚大だそうです。そんな健常者も、人生で1度はスイカ割りをしたでしょう。従って、スイカ割りが身障者への理解の場になんてなっていません。
■スイカ割り・パン喰い競走・福笑いなど身障者や食べ物を弄ぶ遊びはやめよう
家から少し離れたところに、聾唖(ろうあ)学校があります。だいぶ以前、開校に反対や不安視する向きもありました。しかし周辺の方々は、開校後に彼等・彼女達が真面目に真剣に生きている姿を見て絶賛したそうです。私も過日たまたま下校と重なり、中学生ぐらいの彼等の手振り、全身を使ったコミュニケーションに感心しました。その場を去り難く、校門の前で20分ぐらい見とれてしまいました。彼等の純真さが、何とも素敵だったからです。
でも身障者に、同情してはいけないと聞きます。同情ではなく、同じ立場で向き合うことが重要だからです。しかし現実は、ハンディキャップを克服するのは大変で、棘(いばら)の道でしょう。本人自身を始め親御さんも、他人に迷惑を掛けないように躾や気を遣っています。ぜひ、たくましく生きて欲しいと思います。日本の伝統でも、「棄てる伝統」も必要です。運動会などの定番・パン食い競走も、食べ物を弄ぶ・不衛生なことから遥か以前に消えていきました。これらも時代変化の1つで、やむを得ないと思います。
一方、山形・尾花沢市のスイカ割り促進の動きをご案内しておきます。同市はスイカの生産が日本一で、ある団体は厳密なルールを設けて「全日本すいか割り選手権」を開いています。スポーツとしての普及を目指し、いつかオリンピック種目になることが夢だそうです。さて世帯当たりのスイカ消費量は、ここ30年で11kgから4.1kg(1玉程度)に激減してしまいました。小子化、重い、切るのが面倒、冷蔵庫に納まりにくい、生ゴミが多くなる、冷す必要がありすぐ食べられないなどが原因です。でも夏こそ、スイカを食べましょうよ。