少数派シリーズ/カジノ・ギャンブルを許すな(大阪・関西万博)
大阪万博⑧理念なき万博は中止せよ!数々のトラブル例紹介(2)350億円の日除けリング要らぬ
万国博覧会協会HPのイメージ図。テーマの「リング」(大屋根)は、
木造、内径615m・高さ10m・幅20m予定。右上の緑がカジノ予定地。
■2350億円に膨れ上がり閉幕したら「大赤字」でまたまた税金投入が見えている
引き続き、大阪・関西万博の数々のトラブル例を紹介する。前号はインフラ部分を書いたが、今号は予算面を。「お金」の問題も、これほど杜撰だと思わなかった。だから当初予算の1250億円から、1.9倍の2350億円に膨れ上がった。入場者見込を2820万人としていても、果たして人気のない万博にそれだけ集まるのだろうかの不安も出てきた。見込数に達しなければまたぞろ赤字が増え、国、大阪府市、経済界3者が負担しなければならない。終わってみれば大変な大赤字で、「またまた借金を埋めてよ!」と国に泣きつくのは目に見えている。そんな中で、呆れるのが350億円する日除け・雨除けの「リング」(詳細下記)。そもそも万博の趣旨はそっちのけで強引に推進した日本維新の会、一方、政権維持のために維新の要求を丸呑みした安倍首相(当時)と自民党、公明党の責任は重大である。万博本来の理念を失った大阪・関西万博は、今からでも中止すべきだ。
■入場者見込2820万人でも果たして来るの?人気なければますます赤字が増える
<予算関係・その他>
▽8・直径600m・1周約2kmの木造「リング」をやめれば350億円も浮く
2350億円に膨れ上がっても役人上がりや政権に忖度する経済人ばかりの主催上層部は、経費上積み方式しか頭になく、一向に予算を減らそうとしない。民間感覚なら資材や人件費が上がれば、どこかを減らすのが常識。削減例では直径600m・1周2kmの木造、高さ10m・幅20mのいわゆる「リング(画像参照)」の建設をやめれば350億円浮く。当初計画にはなく、万博ゼネラルプロデューサー藤本壮介氏(建築家)の案が入れられた。今万博の象徴ではあるが、あまりにも巨額。国会で追及され、自見万博担当大臣が答えに窮し「来場者の日除け、雨除け」と答弁したことから大紛糾。いくらシンボルとしても、こんな物は要らぬ。「リング」の環境破壊も問題で、この木はどこで伐採されたのか?まさか話題の神宮外苑の木ではないでしょうね?と皮肉が出ている。2005年の「愛知万博」も予算オーバーになり掛けたが、大幅に削除し却って好評を得た。
▽9・吉村大阪府知事は資金不足に「EXPО70」の万博基金も取り崩しか?
大成功した1970年の大阪万博「EXPО70」の余剰金190億円が、今も基金として残っている。国際文化交流の助成金に充てられ、勝手に取り崩しはできない。しかし吉村大阪府知事は資金不足の折、規則を変更してここにも手を突っ込もうとしている。予算や規模を縮小する気はさらさらなく、このスタンスではさらに費用が膨大に増えるに違いない。予算が「爆発だ!」~70年万博「太陽の塔」デザインの故・岡本太郎氏のキャッチフレーズ。
▽10・万博入場料金はUSJ・ディズニーランドより安くてもかなり「コスパ」が悪い
予算増大とともに、入場券も次々と値上げした。当初の大人料金4800円→6000円→現在では7500円(前売り6000円)になった。USJ入場料は8600円~10400円、ディズニーランドは8400~10900円。それより安くても、万博に魅力があると思えない。高くてもコスパを考えたら、USJやディズニーのほうが遥かに「お得感」がある。前回70年の時は人気の高い日本館・アメリカ館・ソ連館などのパビリオンは6~7時間待ち、その他も数時間待ちの行列、結局、入れたのは名も知らぬアフリカなどの小国だった苦情が多数寄せられた。会場全体入場は事前予約制で入れても、人気館は長い時間行列で待ったり諦める人が出てきて失望感と“損失感(損した感)”の恐れも。※人気パビリオンの入館要領はまだ定かではない。
▽11・前売券の企業各社割り当て15~20万枚はさばき切れずに“塩漬け”か?
大阪・関西の大手企業は万博の出資金の費用の他に、前売券の割り当ても強いられ頭を悩ましている。前売り1400万枚のうち、半分は関西全体の企業に700万枚が割り当てられる。うち大手16社は各社15~20万枚、前売券6000円、12億円を負担する。従業員に配る(有償・無償?)にしても、従業員1人当たり25枚に相当する。出入り業者にも、無理やり押し付けるのであろう。それでも、さばき切れず悲鳴が上がっている。企業在庫のまま“塩漬け”か。押し付けられた切符を買わされても、あるいはもらっても行かない人が多数見込まれ、ここにも入場者が増えない理由がある。
▽12・猛暑・台風シーズンの7-9月、全て入場予約制では客足が増えないかも?
前号では、台風・暴風雨・地震の危険性について触れた。前回の万博と大きく違うことは、7~9月の猛暑の酷さと台風の激化である。会場は広く、過酷な炎天下にさらされ熱中症が襲い掛かる。前述の藤本壮介氏は熱中症対策・日除け・雨除けのための「リング」と言うが、後付け・詭弁だ。リングが熱中症対策と言うなら、こんな物を作らず開幕を秋からにすればよい。ただデザインとして、作りたかっただけだ。猛暑の中、希望パビリオン前で数時間待ちの行列ができたら最悪だ。お客はその点を考え温暖な季節に行く心理が働いても、全期間予約制(交通アクセスが限られるため)なので人数制限が掛かる。一方、夏の期間は来場者がガラガラの不振が考えられ、入場者数2820万人の見込みも危うい。出鱈目と嘘で固めた万博になりそうだ。
▽13・万博会場では全てキャッシュレス決済、万博電子マネー「ミャクペ!」
万博会場の支払いは全てキャッシュレス決済で、万博独自の電子マネーは万博キャラクター「ミャクミャク」と「ペイ」から取った「ミャクペ!」とした。70年万博の“夢よもう一度”と高齢者の来場が多く見込まれる中、これでいいのか?の声が出ている。
▽14・前回万博の零れ話/当時生まれた女の赤ちゃんは「陽子」が多かった
最後は前回の零(こぼれ)れ話。大阪・千里丘陵(330ha)で開かれた※今回は155ha。入場者は6422万人、期間中の病気疾患者は86332人、出産者が1人出た。シンボルの「太陽の塔」が有名だったため、その年前後に生まれた赤ちゃんは、「陽子」ちゃんが多かった。現在は、「太陽のように明るく輝く」50過ぎのレディになっているだろう。
■吉村府知事は22年秋に工事の大幅遅れを把握も統一選挙のため公表を止めた
パビリオンや会場工事を請け負う日本建設業連合会は、昨年22年の秋に大幅な工事の遅れを指摘、万国博覧会協会に各国パビリオンの工期促進を要請した。それに対し万博副会長の吉村大阪府知事は、「知ったのは今年6月だ」と白を切った。知らない訳はなく、今年4月の統一地方選の前の公表では“選挙に影響が出る”と、日本維新の会が公表を止めたことが分かっている。
前回は通産省官僚でありながら万博全体を取り仕切った、名プロデューサー役の故・堺屋太一氏(作家)の存在が大きかった。また財界には、松下電器産業創設者の松下幸之助氏の陣頭指揮ぶりも際立った。“松下万博”や2005年愛知万博は“トヨタ万博”と言われるように、経済界の統率が取れて成功を収めた。しかし今回の会長は、経団連の十倉会長は東京にいて言わば“お飾り”。万博統率がバラバラなのは、吉村府知事が副会長にいて、また実質、組織外の日本維新の会の「力」(意向)が極めて強く、他理事や下の組織が何もできない(何もしない)“維新万博”と呼ばれる硬直組織になっているため。このままでは大赤字を作り出し、大失敗に終わる可能性が大だ。“維新凋落”の始まりか?
次号/大阪万博⑨松尾貴史氏コラム◇予算を垂れ流す天下の愚挙・万博に巨費を投じている場合か
前号/大阪万博⑦大阪府は教職員に「阪神・オリ優勝記念パレード」費用捻出にネット募金要求
大阪万博⑧理念なき万博は中止せよ!数々のトラブル例紹介(2)350億円の日除けリング要らぬ
万国博覧会協会HPのイメージ図。テーマの「リング」(大屋根)は、
木造、内径615m・高さ10m・幅20m予定。右上の緑がカジノ予定地。
■2350億円に膨れ上がり閉幕したら「大赤字」でまたまた税金投入が見えている
引き続き、大阪・関西万博の数々のトラブル例を紹介する。前号はインフラ部分を書いたが、今号は予算面を。「お金」の問題も、これほど杜撰だと思わなかった。だから当初予算の1250億円から、1.9倍の2350億円に膨れ上がった。入場者見込を2820万人としていても、果たして人気のない万博にそれだけ集まるのだろうかの不安も出てきた。見込数に達しなければまたぞろ赤字が増え、国、大阪府市、経済界3者が負担しなければならない。終わってみれば大変な大赤字で、「またまた借金を埋めてよ!」と国に泣きつくのは目に見えている。そんな中で、呆れるのが350億円する日除け・雨除けの「リング」(詳細下記)。そもそも万博の趣旨はそっちのけで強引に推進した日本維新の会、一方、政権維持のために維新の要求を丸呑みした安倍首相(当時)と自民党、公明党の責任は重大である。万博本来の理念を失った大阪・関西万博は、今からでも中止すべきだ。
■入場者見込2820万人でも果たして来るの?人気なければますます赤字が増える
<予算関係・その他>
▽8・直径600m・1周約2kmの木造「リング」をやめれば350億円も浮く
2350億円に膨れ上がっても役人上がりや政権に忖度する経済人ばかりの主催上層部は、経費上積み方式しか頭になく、一向に予算を減らそうとしない。民間感覚なら資材や人件費が上がれば、どこかを減らすのが常識。削減例では直径600m・1周2kmの木造、高さ10m・幅20mのいわゆる「リング(画像参照)」の建設をやめれば350億円浮く。当初計画にはなく、万博ゼネラルプロデューサー藤本壮介氏(建築家)の案が入れられた。今万博の象徴ではあるが、あまりにも巨額。国会で追及され、自見万博担当大臣が答えに窮し「来場者の日除け、雨除け」と答弁したことから大紛糾。いくらシンボルとしても、こんな物は要らぬ。「リング」の環境破壊も問題で、この木はどこで伐採されたのか?まさか話題の神宮外苑の木ではないでしょうね?と皮肉が出ている。2005年の「愛知万博」も予算オーバーになり掛けたが、大幅に削除し却って好評を得た。
▽9・吉村大阪府知事は資金不足に「EXPО70」の万博基金も取り崩しか?
大成功した1970年の大阪万博「EXPО70」の余剰金190億円が、今も基金として残っている。国際文化交流の助成金に充てられ、勝手に取り崩しはできない。しかし吉村大阪府知事は資金不足の折、規則を変更してここにも手を突っ込もうとしている。予算や規模を縮小する気はさらさらなく、このスタンスではさらに費用が膨大に増えるに違いない。予算が「爆発だ!」~70年万博「太陽の塔」デザインの故・岡本太郎氏のキャッチフレーズ。
▽10・万博入場料金はUSJ・ディズニーランドより安くてもかなり「コスパ」が悪い
予算増大とともに、入場券も次々と値上げした。当初の大人料金4800円→6000円→現在では7500円(前売り6000円)になった。USJ入場料は8600円~10400円、ディズニーランドは8400~10900円。それより安くても、万博に魅力があると思えない。高くてもコスパを考えたら、USJやディズニーのほうが遥かに「お得感」がある。前回70年の時は人気の高い日本館・アメリカ館・ソ連館などのパビリオンは6~7時間待ち、その他も数時間待ちの行列、結局、入れたのは名も知らぬアフリカなどの小国だった苦情が多数寄せられた。会場全体入場は事前予約制で入れても、人気館は長い時間行列で待ったり諦める人が出てきて失望感と“損失感(損した感)”の恐れも。※人気パビリオンの入館要領はまだ定かではない。
▽11・前売券の企業各社割り当て15~20万枚はさばき切れずに“塩漬け”か?
大阪・関西の大手企業は万博の出資金の費用の他に、前売券の割り当ても強いられ頭を悩ましている。前売り1400万枚のうち、半分は関西全体の企業に700万枚が割り当てられる。うち大手16社は各社15~20万枚、前売券6000円、12億円を負担する。従業員に配る(有償・無償?)にしても、従業員1人当たり25枚に相当する。出入り業者にも、無理やり押し付けるのであろう。それでも、さばき切れず悲鳴が上がっている。企業在庫のまま“塩漬け”か。押し付けられた切符を買わされても、あるいはもらっても行かない人が多数見込まれ、ここにも入場者が増えない理由がある。
▽12・猛暑・台風シーズンの7-9月、全て入場予約制では客足が増えないかも?
前号では、台風・暴風雨・地震の危険性について触れた。前回の万博と大きく違うことは、7~9月の猛暑の酷さと台風の激化である。会場は広く、過酷な炎天下にさらされ熱中症が襲い掛かる。前述の藤本壮介氏は熱中症対策・日除け・雨除けのための「リング」と言うが、後付け・詭弁だ。リングが熱中症対策と言うなら、こんな物を作らず開幕を秋からにすればよい。ただデザインとして、作りたかっただけだ。猛暑の中、希望パビリオン前で数時間待ちの行列ができたら最悪だ。お客はその点を考え温暖な季節に行く心理が働いても、全期間予約制(交通アクセスが限られるため)なので人数制限が掛かる。一方、夏の期間は来場者がガラガラの不振が考えられ、入場者数2820万人の見込みも危うい。出鱈目と嘘で固めた万博になりそうだ。
▽13・万博会場では全てキャッシュレス決済、万博電子マネー「ミャクペ!」
万博会場の支払いは全てキャッシュレス決済で、万博独自の電子マネーは万博キャラクター「ミャクミャク」と「ペイ」から取った「ミャクペ!」とした。70年万博の“夢よもう一度”と高齢者の来場が多く見込まれる中、これでいいのか?の声が出ている。
▽14・前回万博の零れ話/当時生まれた女の赤ちゃんは「陽子」が多かった
最後は前回の零(こぼれ)れ話。大阪・千里丘陵(330ha)で開かれた※今回は155ha。入場者は6422万人、期間中の病気疾患者は86332人、出産者が1人出た。シンボルの「太陽の塔」が有名だったため、その年前後に生まれた赤ちゃんは、「陽子」ちゃんが多かった。現在は、「太陽のように明るく輝く」50過ぎのレディになっているだろう。
■吉村府知事は22年秋に工事の大幅遅れを把握も統一選挙のため公表を止めた
パビリオンや会場工事を請け負う日本建設業連合会は、昨年22年の秋に大幅な工事の遅れを指摘、万国博覧会協会に各国パビリオンの工期促進を要請した。それに対し万博副会長の吉村大阪府知事は、「知ったのは今年6月だ」と白を切った。知らない訳はなく、今年4月の統一地方選の前の公表では“選挙に影響が出る”と、日本維新の会が公表を止めたことが分かっている。
前回は通産省官僚でありながら万博全体を取り仕切った、名プロデューサー役の故・堺屋太一氏(作家)の存在が大きかった。また財界には、松下電器産業創設者の松下幸之助氏の陣頭指揮ぶりも際立った。“松下万博”や2005年愛知万博は“トヨタ万博”と言われるように、経済界の統率が取れて成功を収めた。しかし今回の会長は、経団連の十倉会長は東京にいて言わば“お飾り”。万博統率がバラバラなのは、吉村府知事が副会長にいて、また実質、組織外の日本維新の会の「力」(意向)が極めて強く、他理事や下の組織が何もできない(何もしない)“維新万博”と呼ばれる硬直組織になっているため。このままでは大赤字を作り出し、大失敗に終わる可能性が大だ。“維新凋落”の始まりか?
次号/大阪万博⑨松尾貴史氏コラム◇予算を垂れ流す天下の愚挙・万博に巨費を投じている場合か
前号/大阪万博⑦大阪府は教職員に「阪神・オリ優勝記念パレード」費用捻出にネット募金要求