今年のお題は「謂れを聞く」です。
一年を通じてなかなか勉強がままならない私ですが、この時期になるといつもあまり開けない本棚を開けて、今年のネタ探しをするのです。
今年目に付いたのが「唯信鈔文意」(ゆいしんしょうもんい)でした。
その本には「親鸞に学ぶ仏教の極意」と書いてあったので、ちょっと目を引いたのでしょう。
これを書かれたのは親鸞聖人ですが、「唯信鈔」(ゆいしんしょう)は法然上人のお弟子であった「聖覚法印」というお方です。(せいかくほういん。法印は朝廷から賜る僧の位です。ですから聖覚さんということです。)
親鸞聖人が比叡山から降りられて法然上人のところに行かれたときに、先輩として既にそこにおられて、法然上人からもとても信頼されていたようです。詳しいことはさておき、その当時仏教の主流であった聖道門の中にあって、法然上人の開かれた浄土門は、いわゆる新興宗教として民衆の中に拡がっていったわけですが、僧侶の中からは不満が拡がり、ついには朝廷をも動かして弾圧をかけられていくわけです。
聖覚さんのお父さんの澄憲法印は、天台の説法家として有名な方だったようで、その息子である聖覚さんもまた説法が上手だったようです。でも、のちに法然上人の教えに遇い、その教えに影響を受け、比叡山を降りられたのです。
その後、朝廷から聖覚は「聖道の諸宗の他に別に浄土宗があってはならない」ということを明らかにせよという、難中心難な勅請をうけることになるのですが、何故聖覚さんがその命を受けたかが、窺い知ることが判りますね。
そのどちらの門にも顔が利く聖覚さんにしか出来ないその苦しみを、今風に思うと、ある大きな会社にいた凄腕さんが、そののちある会社の創設者の話に感激して、その会社に移ることになるが、元の会社からあれこれと難くせを言われ、しいてはその新しい会社を潰しにかかられたような状態ですかね?
この事件のうわさを聞かれた法然上人が、聖覚さんのところに、事の詳細を確かめるため、親鸞聖人を使いとして出されたようです。聖人はこのとき、法然上人からのおおせを正しくに聖覚さんに伝え、聖覚さんが、聖道門、浄土門の二門の仲立ちをしようとしていることを法然上人にお伝えになりました。
また、法然上人のお弟子さんたちの中でも混乱が生じておりましたので、聖覚さんの論旨を忠実に報告して、お弟子さんたちを安心させたのでした。
ですから、この二人の人物がいかに重要な任務を受けていたかが窺えます。
では、また。
智承
一年を通じてなかなか勉強がままならない私ですが、この時期になるといつもあまり開けない本棚を開けて、今年のネタ探しをするのです。
今年目に付いたのが「唯信鈔文意」(ゆいしんしょうもんい)でした。
その本には「親鸞に学ぶ仏教の極意」と書いてあったので、ちょっと目を引いたのでしょう。
これを書かれたのは親鸞聖人ですが、「唯信鈔」(ゆいしんしょう)は法然上人のお弟子であった「聖覚法印」というお方です。(せいかくほういん。法印は朝廷から賜る僧の位です。ですから聖覚さんということです。)
親鸞聖人が比叡山から降りられて法然上人のところに行かれたときに、先輩として既にそこにおられて、法然上人からもとても信頼されていたようです。詳しいことはさておき、その当時仏教の主流であった聖道門の中にあって、法然上人の開かれた浄土門は、いわゆる新興宗教として民衆の中に拡がっていったわけですが、僧侶の中からは不満が拡がり、ついには朝廷をも動かして弾圧をかけられていくわけです。
聖覚さんのお父さんの澄憲法印は、天台の説法家として有名な方だったようで、その息子である聖覚さんもまた説法が上手だったようです。でも、のちに法然上人の教えに遇い、その教えに影響を受け、比叡山を降りられたのです。
その後、朝廷から聖覚は「聖道の諸宗の他に別に浄土宗があってはならない」ということを明らかにせよという、難中心難な勅請をうけることになるのですが、何故聖覚さんがその命を受けたかが、窺い知ることが判りますね。
そのどちらの門にも顔が利く聖覚さんにしか出来ないその苦しみを、今風に思うと、ある大きな会社にいた凄腕さんが、そののちある会社の創設者の話に感激して、その会社に移ることになるが、元の会社からあれこれと難くせを言われ、しいてはその新しい会社を潰しにかかられたような状態ですかね?
この事件のうわさを聞かれた法然上人が、聖覚さんのところに、事の詳細を確かめるため、親鸞聖人を使いとして出されたようです。聖人はこのとき、法然上人からのおおせを正しくに聖覚さんに伝え、聖覚さんが、聖道門、浄土門の二門の仲立ちをしようとしていることを法然上人にお伝えになりました。
また、法然上人のお弟子さんたちの中でも混乱が生じておりましたので、聖覚さんの論旨を忠実に報告して、お弟子さんたちを安心させたのでした。
ですから、この二人の人物がいかに重要な任務を受けていたかが窺えます。
では、また。
智承