今号は、1/26に「カラダラボフェス16」に出演する、元TOKYOマイムカレッジ生のバンバンさんの日記をお届けします。3度目のリレー日記ご登場になります。
みなさま、こんにちは。バンバンです。
パントマイムが大好きです。
観るのも演るのも大好きです。
しばし、バンバンのつぶやきにおつきあいください。
演る方で、最近、面白かったのは、石彫刻とのコラボパフォーマンスです。
石彫家の千夏さんが槌を振り下ろすと、キーン、キーン、カーン、コンコンコンととても綺麗な音が奏でられます。そこにタップの音を沿わせていく、会話をするように。芸術館の軒先で、木々が風で葉音を鳴らし、冬の昼下がりの優しい光の中、胸像の彫刻の生い立ちを、パントマイムでなぞりました。お客様に、「今、この彫刻は何と言っていますか?」と聞いてみると、「千夏さん、ありがとう」とか「身体が欲しい」とか、てんでばらばらな答えが返ってきました。パントマイムって、本当に面白いです。同じものを見ているはずなのに、感じるものは違う。見ている人の環境やこれまでの経験、様々な要素が相まって演じ手の想像を超えた作品がお客様の中で完成するのです。演じる側には、伝えたいもの、表現したいものが確かな意識としてあります。物にとらわれず、セリフにとらわれず、思う存分自由に表現することができます。物もセリフもないから伝えたいことを伝えるのは難しいという面もありますが、いかにしたら伝わるかという表現技術の研究は生涯かけて取り組む価値があり、奥が深く、やりがいに満ちています。本当にパントマイムは面白いです。
10年ほど前、仕事で小児科病棟に訪問したことがパントマイムを演じ始めたきっかけです。産まれてからずっと病院に入院しほぼ寝たまま過ごす青年を笑わせたいという思いで始めたパントマイム。病院の閉ざされた白い壁を壊すのはパントマイムなら簡単です。空を飛んだり、海深く潜ったり、山の頂に立ったり、怒り、悲しみ、喜びを過度に思いっきり出したり、時空を自由に超えられる、なんと無限超越的な表現でしょう。出会った頃の彼は偏屈で、ほとんど笑うことがなかったけれど、パントマイムを見て、不覚にもニヤリとしてしまい、パントマイムで病室の外の世界を見ることで、出不精だった彼は、積極的に外出するようになりました。パントマイムの魔法です。
見るのも面白い、演じ手の人となりや人生が見えるから、時空をトリップできるから。私が最初にパントマイムを学んだTOKYOマイムカレッジには課題作品があり、ある程度のパントマイム技術を身に付けて演ってみたい生徒がシスターひろみ先生の指導の下で挑戦します。同じ作品で指導者も同じなのに、完成した作品はそれぞれ別物になっています。また、作品を見ていると突然自分の過去に飛ばされることがあります。空間の詩人清水きよし先生の作品を見ていると、柿の木に登って柿を服いっぱいに詰めて帰ろうとしたのを見つかり、おじさんに怒られているシーンで、自分が昔、団地住まいをしていた頃によく怒られていた強面おじさんを思い出し、芋づる式にあれやこれやと思い浮かび、深いノスタルジックに浸ります。知らず知らずのうちに泣いていることもあります。逆に宇宙や未来など、行けっこないところに飛んでいくこともあります。パントマイムは楽しいアトラクションです。
さて、そんなパントマイム大好きな私は、コロナ禍の頃から、振付家香瑠鼓先生にネイチャーバイブレーションを学び、その時に人や大地や宇宙から受け取る即興表現にはまっています。表現で私をいつも助けてくれるのはパントマイム。
今回、このリレー日記を書かせていただけたことで、改めてパントマイムの良さを再確認できたので、この好きの気持ちを大切にしながら、いろいろな表現をしていきたいと思います。見かけた時には「今は何をやってるの?」と気軽に声をかけてやってください。
直近の出演は、1月26日(日)13:00~ 下北沢スタジオルゥ
「カラダラボフェス16」です。
型にはまらない出演者の自由な即興表現の楽しさをご堪能ください。
バンバン
●「カラダラボフェス16」の詳細は下記をご覧ください。
https://facebook.com/events/s/%E3%82%AB%E3%83%A9%E3%82%BF%E3%83%A9%E3%83%9B%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%8F%E3%83%AB16/944958261012601/