年に2回の一般団体戦。
男女ともに1部~7部まで、全エントリー数は1200人を超えるという大規模な大会。
会場には48台もの卓球台が並ぶ。
その会場に車椅子は僕一人。
サーブにのみ存在する「車椅子ルール」は適用されないので僕にとってはシビアなものになる。
でもそれは見方を変えれば「車椅子選手」ではなく出場されるみなさんと同じ一般の「卓球選手」として僕がみなされているということで、それが凄く嬉しく、また燃えてくるものでもあるわけです。
5チームのリーグ戦なのが1チーム棄権の為4チームで3試合を行うことに。
団体戦は1ダブルス4シングルスを順に行い、先に3勝した方が勝ち。
1試合目僕はシングルス3番手のオーダーに。
でもダブルスもシングルス2つとも負けてチームは0-3で敗退。僕には回ってこなかったのでした。
2試合目はベテランの強豪チーム。
僕はダブルスの次、シングルス1番手で出ることに。
これは相手チームのエースと当たる確率の高いオーダー。
実は密かに燃えていました(笑)
ダブルスはストレートで敗退。
僕の勝敗でチームの流れは大きく変わる。
責任重大なのだけれど、その時はもう自分のことしか考えてなかったかも(笑)
そして僕の試合。相手はエースではないと思うけど・・・でもそう見えなくもないし・・・2番手くらいなのかなぁ?というベテランのおじさま。
特にサーブも器用に多彩に技をお持ちでした。
その方が試合前に「サーブは車椅子ルールがあったよね?」と聞いてきました。
なに!?車椅子ルールを知っている!?
ということは、弱点を知っているということか!
と率直に危機感を抱きましたが、でもそこは一応正々堂々とスポーツマンシップにのっとるかたちで「この大会では車椅子ルールは適用されないことになってるので大丈夫、関係ないです。なのでガンガン狙ってください(笑)」と伝えました。
そして試合開始。
さすが知ってるおじさまだけあってサーブ1本目から早速狙われました。
というか大半のサーブはそこを狙ってきます。
でもそれだけではない。
それと同じサーブを、コースを変えて僕の弱点を狙うようにも出してくる。
また同じコースでもサーブを変えて狙ってくる。
さすがベテラン、戦い方、勝ち方を知っているという戦術、戦略なのでした。
でも僕も負けてはいられない、自分の得意の展開を狙い、そこから攻撃的プレーを推し進めていく。
ところがどうも調子が悪い。
打っても打ってもミスを連発。
シンプルな凡ミスまで多発。
いつもとなにかフィーリングが違う。
なんだ?
と思いつつ、ベンチに帰ってもそうした愚痴をこぼしてしまう。
そして0-2で迎えた第3セット。
僕はもう後の無い状況。
そこからちょっと戦術転換。
調子は変わらず良くないまま。
でもなぜを考えながらプレーに集中し、なんとかそのゲームを勝ち、その後も勝利、結果的には3-2で逆転勝利が出来ました。
これが嬉しかった。
内容的には全然だしむしろ悪い。最悪とも言えるほど。
でもそれでも勝つことが出来た。
自分で言うのもなんだけど、ここには大きな成長が見て取れる気がしている。
自信になるということです。
この試合、チームはファイナルまでもつれ込み3-2で勝利することが出来ました。
そして次の試合。
この試合も僕はシングルス・トップで出ることに。
ここでもダブルスは敗退。
再び僕次第で流れが大きく変わる場面に。
その相手はエースではなかった。
車椅子ルールも特には触れられなかった。
ということは逆にいつもどおりにやってくると考えられる。
それはそれで気をつけなければならない。
途中で弱点を悟られないように。
結果的には3-0で勝利。
観察し分析しそのデータを記憶すること、どういう戦術を組み立てるかプレー中に考えること、そうしたことが多少は実践出来た結果なのかなと自画自賛(笑)
結果的にチームはこの試合も3-2で勝利。
ブロック内のリーグで2勝1敗とし2位で終了。
個人的にこの結果には満足。
ここ最近技術面ではどうも腑に落ちないことが多かった。
それは未だ解決には至っていない。
でもそれを補うことが結果的には出来ていたわけで、チームの勝利に貢献できたことは素直に嬉しく思う。
後はその技術面の修正、調整をより迅速に行わなければならない。
試合翌日も反省を踏まえ調整の為の練習を行う。
健常者だけでなく障害者仲間にも言われたのが、僕の練習メニューはすごくレアなのだそう。
実戦的だけれど、地味なのであまりみんなやりたがらないものだという。
だからそれをやりたい時は僕に声をかけるのだと言ってくれる。
嬉しいことです。
そうした積み重ねが今回の試合の結果にもつながったのだと思う。
練習は一人ではできないからこそ、環境づくりも大変重要なのだとあらためて思う。
また今回は打ち上げの席でチームの先輩方に僕の海外での試合の動画をダイジェストで見ていただいた。
自分の良いシーンと相手の良いシーンを編集したもの。
世界の車椅子卓球のプレーを初めて見る先輩方は「おお!」と声をあげながら見てくださった。
凄すぎて笑うシーンもあった。
車椅子なのに世界のレベルはすごいね!となる。
でも、その次にも言葉は続く。
「だけどさ、俺らから見ればあんなのは普通のことよ。健常者なら普通。それが出来ればお前も勝てるはずでしょ?その為の練習をすれば良いだけだよ。」
と率直に言ってもらえた。
それがもの凄く嬉しかった。
先輩方は凄い方々ばかり。
学生リーグ1部でプレーし今なお実業団卓球部に籍を置く方を筆頭に、実業団選手兼監督経験者もいればインターハイ出場経験者もあり、東京選手権年代別出場者もいるし、凄いレベルの先輩方が多い。だから人脈も実業団から代表選手に至るまで幅広く、技術を感覚だけでなく理論的にも説明できるような有識者がそろっている。
そうした方々に車椅子卓球を理解いただきアドバイスいただける、さらには練習も付き合っていただけるというのはもの凄くありがたい。
チームのスローガンに「努力は不可能を可能にする」という言葉がある。
この日も先輩が「これを聞くとなんか熱くなるわけですよ」と言ってた。
そういう意識が根底にあるから僕にそうアドバイスしていただけるのだと思う。
良いチームに加えていただいた。
車椅子卓球の健常者化。
数年前に以前の中国女子監督の基本理念「女子卓球の男子化」という記事を読み、その時ひらめいた僕の基本理念。
でもこれまでは健常者のプレーを真似る、参考にするというと否定されることばかりだった。
同じ車椅子選手でも上のクラスの選手のプレーを真似ようとすれば否定されることもあった。
でも自分の考えを変えることは出来なかったので、その結果今に至っている。
僕は障害者卓球界ではアウトローなのだと自覚する。
それでいい。
お友達が欲しいわけではなく、自分の思う卓球をやりたいだけだから。
車椅子卓球活動5年目。
求めていた環境、コミュニティが出来つつある。
僕が健常者サイドへ歩み寄っていった結果、向こう側からも門戸を開いて迎え入れてくれている、そんな状況に思う。
ある意味本当の意味でのバリアフリーでもあるわけだ。
全ては自分次第。
どれだけ良い環境が整っても、そこに身を置けたとしても、自分自身の努力と行動がなければ無用の長物となってしまう。
それは周囲の人たちをがっかりさせることにもなる。
むしろマイナスとなるわけだ。
それも全ては自分次第。
今回の一般大会出場はこれまで以上に大きな収穫を得られた。
これを糧にもっと頑張っていこうと思います。
身体のケアも怠らずに。
男女ともに1部~7部まで、全エントリー数は1200人を超えるという大規模な大会。
会場には48台もの卓球台が並ぶ。
その会場に車椅子は僕一人。
サーブにのみ存在する「車椅子ルール」は適用されないので僕にとってはシビアなものになる。
でもそれは見方を変えれば「車椅子選手」ではなく出場されるみなさんと同じ一般の「卓球選手」として僕がみなされているということで、それが凄く嬉しく、また燃えてくるものでもあるわけです。
5チームのリーグ戦なのが1チーム棄権の為4チームで3試合を行うことに。
団体戦は1ダブルス4シングルスを順に行い、先に3勝した方が勝ち。
1試合目僕はシングルス3番手のオーダーに。
でもダブルスもシングルス2つとも負けてチームは0-3で敗退。僕には回ってこなかったのでした。
2試合目はベテランの強豪チーム。
僕はダブルスの次、シングルス1番手で出ることに。
これは相手チームのエースと当たる確率の高いオーダー。
実は密かに燃えていました(笑)
ダブルスはストレートで敗退。
僕の勝敗でチームの流れは大きく変わる。
責任重大なのだけれど、その時はもう自分のことしか考えてなかったかも(笑)
そして僕の試合。相手はエースではないと思うけど・・・でもそう見えなくもないし・・・2番手くらいなのかなぁ?というベテランのおじさま。
特にサーブも器用に多彩に技をお持ちでした。
その方が試合前に「サーブは車椅子ルールがあったよね?」と聞いてきました。
なに!?車椅子ルールを知っている!?
ということは、弱点を知っているということか!
と率直に危機感を抱きましたが、でもそこは一応正々堂々とスポーツマンシップにのっとるかたちで「この大会では車椅子ルールは適用されないことになってるので大丈夫、関係ないです。なのでガンガン狙ってください(笑)」と伝えました。
そして試合開始。
さすが知ってるおじさまだけあってサーブ1本目から早速狙われました。
というか大半のサーブはそこを狙ってきます。
でもそれだけではない。
それと同じサーブを、コースを変えて僕の弱点を狙うようにも出してくる。
また同じコースでもサーブを変えて狙ってくる。
さすがベテラン、戦い方、勝ち方を知っているという戦術、戦略なのでした。
でも僕も負けてはいられない、自分の得意の展開を狙い、そこから攻撃的プレーを推し進めていく。
ところがどうも調子が悪い。
打っても打ってもミスを連発。
シンプルな凡ミスまで多発。
いつもとなにかフィーリングが違う。
なんだ?
と思いつつ、ベンチに帰ってもそうした愚痴をこぼしてしまう。
そして0-2で迎えた第3セット。
僕はもう後の無い状況。
そこからちょっと戦術転換。
調子は変わらず良くないまま。
でもなぜを考えながらプレーに集中し、なんとかそのゲームを勝ち、その後も勝利、結果的には3-2で逆転勝利が出来ました。
これが嬉しかった。
内容的には全然だしむしろ悪い。最悪とも言えるほど。
でもそれでも勝つことが出来た。
自分で言うのもなんだけど、ここには大きな成長が見て取れる気がしている。
自信になるということです。
この試合、チームはファイナルまでもつれ込み3-2で勝利することが出来ました。
そして次の試合。
この試合も僕はシングルス・トップで出ることに。
ここでもダブルスは敗退。
再び僕次第で流れが大きく変わる場面に。
その相手はエースではなかった。
車椅子ルールも特には触れられなかった。
ということは逆にいつもどおりにやってくると考えられる。
それはそれで気をつけなければならない。
途中で弱点を悟られないように。
結果的には3-0で勝利。
観察し分析しそのデータを記憶すること、どういう戦術を組み立てるかプレー中に考えること、そうしたことが多少は実践出来た結果なのかなと自画自賛(笑)
結果的にチームはこの試合も3-2で勝利。
ブロック内のリーグで2勝1敗とし2位で終了。
個人的にこの結果には満足。
ここ最近技術面ではどうも腑に落ちないことが多かった。
それは未だ解決には至っていない。
でもそれを補うことが結果的には出来ていたわけで、チームの勝利に貢献できたことは素直に嬉しく思う。
後はその技術面の修正、調整をより迅速に行わなければならない。
試合翌日も反省を踏まえ調整の為の練習を行う。
健常者だけでなく障害者仲間にも言われたのが、僕の練習メニューはすごくレアなのだそう。
実戦的だけれど、地味なのであまりみんなやりたがらないものだという。
だからそれをやりたい時は僕に声をかけるのだと言ってくれる。
嬉しいことです。
そうした積み重ねが今回の試合の結果にもつながったのだと思う。
練習は一人ではできないからこそ、環境づくりも大変重要なのだとあらためて思う。
また今回は打ち上げの席でチームの先輩方に僕の海外での試合の動画をダイジェストで見ていただいた。
自分の良いシーンと相手の良いシーンを編集したもの。
世界の車椅子卓球のプレーを初めて見る先輩方は「おお!」と声をあげながら見てくださった。
凄すぎて笑うシーンもあった。
車椅子なのに世界のレベルはすごいね!となる。
でも、その次にも言葉は続く。
「だけどさ、俺らから見ればあんなのは普通のことよ。健常者なら普通。それが出来ればお前も勝てるはずでしょ?その為の練習をすれば良いだけだよ。」
と率直に言ってもらえた。
それがもの凄く嬉しかった。
先輩方は凄い方々ばかり。
学生リーグ1部でプレーし今なお実業団卓球部に籍を置く方を筆頭に、実業団選手兼監督経験者もいればインターハイ出場経験者もあり、東京選手権年代別出場者もいるし、凄いレベルの先輩方が多い。だから人脈も実業団から代表選手に至るまで幅広く、技術を感覚だけでなく理論的にも説明できるような有識者がそろっている。
そうした方々に車椅子卓球を理解いただきアドバイスいただける、さらには練習も付き合っていただけるというのはもの凄くありがたい。
チームのスローガンに「努力は不可能を可能にする」という言葉がある。
この日も先輩が「これを聞くとなんか熱くなるわけですよ」と言ってた。
そういう意識が根底にあるから僕にそうアドバイスしていただけるのだと思う。
良いチームに加えていただいた。
車椅子卓球の健常者化。
数年前に以前の中国女子監督の基本理念「女子卓球の男子化」という記事を読み、その時ひらめいた僕の基本理念。
でもこれまでは健常者のプレーを真似る、参考にするというと否定されることばかりだった。
同じ車椅子選手でも上のクラスの選手のプレーを真似ようとすれば否定されることもあった。
でも自分の考えを変えることは出来なかったので、その結果今に至っている。
僕は障害者卓球界ではアウトローなのだと自覚する。
それでいい。
お友達が欲しいわけではなく、自分の思う卓球をやりたいだけだから。
車椅子卓球活動5年目。
求めていた環境、コミュニティが出来つつある。
僕が健常者サイドへ歩み寄っていった結果、向こう側からも門戸を開いて迎え入れてくれている、そんな状況に思う。
ある意味本当の意味でのバリアフリーでもあるわけだ。
全ては自分次第。
どれだけ良い環境が整っても、そこに身を置けたとしても、自分自身の努力と行動がなければ無用の長物となってしまう。
それは周囲の人たちをがっかりさせることにもなる。
むしろマイナスとなるわけだ。
それも全ては自分次第。
今回の一般大会出場はこれまで以上に大きな収穫を得られた。
これを糧にもっと頑張っていこうと思います。
身体のケアも怠らずに。