報告の遅れていた決定日の報告をしておこうと思う。
「検察、特別抗告に向けて検討」の報にあわてた自分を反省しながら・・・。
高裁の決定は
まぎれもない「勝利決定」なのだから・・・。
二日前の夜、夫から電話で「keikoさんも一緒に裁判所に入るんだよ」と言われた。
えっ?
どういうこと?
それって・・・
と、当然、私なりに想像をめぐらす。
いい決定なのだろうか・・・
夫は多くは語ろうとしなかった。
私も
「わかった!」と答えた・・・。
田口孝夫さんが、この日のために描いてくださったという横断幕には
「今こそ、今日こそ 再審裁判を」の文字と大きなひまわりが描かれていた。
守る会の事務局のYさん、Mさん、茨城の会のUさんと私。
4人でこの横断幕を持って最前列に並んだ。
すぐ後ろに夫とSさん、弁護団の先生方がつづき、沿道で見守る大勢の支援者の皆さんに送られて、私たちは裁判所の建物に向かった。
正門を入る前、私たちの前にはたくさんの報道陣がカメラを構えていて、自分の想像以上にこの日の決定が注目されていることを感じた。
東京高裁15階の第4刑事部書記官室。
私は、弁護団の先生方とともに入り、勧められるままに請求人の家族として椅子に座った。
夫たちは、すぐ奥の小さな部屋にそれぞれの主任弁護人であるS先生とT先生とともに案内され入って行った。
時計を見ると10時5分前だったろうか・・・。
あと5分ある・・・
そう思いながら周りを見渡すと、部屋の雰囲気がとても穏やかに感じられた。
ピリピリした感じが全く感じられなかった。
「掛けてお待ちください」と言いながら、「椅子が少なくて済みません」と職員が本当に済まなさそうに声をかけて来たこと・・・
書記官と弁護団事務局長のY先生の事務連絡?の内容も、「しんせつ」そのものだった。
何度も部屋の掛け時計を見上げ、確認し、きっかり午前10時に、担当書記官が決定書4名分持って夫たちの待つ部屋に入って行く姿を見送った。
ほとんど時間をおくことなく、背中越しに座っていた夫が振り返って(?実際私はこの瞬間を見逃してしまいました!・・・)私たちにVサインが・・・。
後ろから声が聞こえた。
「Vサイン?sakuraiさんがVサインを出したよ!」
「待って、待って!ちゃんと確かめてから・・・」
そして、正面に顔の見えた弁護団長でもあるS先生がニコニコ顔で両手で○の合図をするのが見えた!
私は、小さな声で「やったー!」とたぶん言ってしまったような・・・。
後ろにいた弁護団の先生方に「○ですね!」と確認し、小さな拍手をしてしまった。
先生方も小さな拍手!
拍手はダメ!と顔をほころばせながら制する事務局長のY先生。
書記官室の外にいたマスコミの人たちがガラス越しに見えた私たちの反応で即、ニュースに。
NHKのテロップが10時5分に流れたというのですから、その間3~4分のことだったようだ。
でも、Y先生は、本人たちが出てくるまでは「待って、待って・・・」・・・と両手を広げ私たちを制し続けた。
部屋から出て私たちのもとに来た夫たちは、にこにこ顔だった。
夫は、先生方一人一人と握手をし、お礼を言いながら私の前でいきなり方向転換。
列を変えてほかの先生方と握手、握手・・・。
一瞬、ポカンとしている私を見て
「あっ、keikoさんを忘れちゃった!」と言って戻って来て抱き寄せてくれた・・・。
Y先生に促されて、書記官室を喜びいっぱいで出た。
今になって思う。
「書記官室の皆さんにちゃんと挨拶して来たかなぁ?」って、なんだか全く思い出せない・・・。
先生方と喜びあいながら部屋を出て、3機のエレベーターに分乗して一階に降りたが・・・
ここでも
「揃って正面玄関を出ますから」のY先生の指示。
そうだった!・・・興奮ぎみの自分を自覚しながら、
「勝利決定」を持つM先生
「再審開始」を持つA先生の走り出したあと、夫たちについて私は外に出、たくさんの人たちの歓声の中に迎えていただいた・・・。
結局、高裁正門前で待つ宣伝カーや支援者の皆さんに「勝利決定」が伝わったのは、NHKのテロップよりも遅くなった10時10分頃だったろうか・・・。
それからは、報道の通りです。
本当にたくさんの報道陣、駆けつけてくださった200人余の支援者の皆さんに囲まれ、ともに喜びあいました。