『日本沈没』『復活の日』などで著名なSF作家:小松左京氏が昨年出版した『SF魂』(新潮新書)に、次のような文章がある。
(157ページ)
黄河、ボルガ、ミシシッピーへの旅
八五年五月から七十六日間にわたる黄河取材を引き受けたのも、言ってみれば浮き世の義理の一つ。関西テレビが開局三十五周年記念で、黄河の全流域をルポ する番組を作りたい、ついては僕にリポーターを頼みたいと、古いつきあいのプロデューサーから電話がかかってきたのだ。
(中略)
初めての中国で見聞きしたことや中国で感じた「歴史と文明」については、それこそサンケイ新聞に書き、『黄河-中国文明の旅』にまとめられているのでも う触れないが、この取材で苦労させられたのは「中国人」ではなくて「日本人」だった。開放に転じた中国のルポを狙うのは、ドキュメンタリーの作り手として は当然だ。つまり、この時も、日本人のライバルが我々のほかに二組もいたのである。かたや高名なドキュメンタリスト、そしてもう一組が天下のNHKだっ た。
取材したい場所はだいたい同じようなものだから、三組があちこちで鉢合わせになる。特にNHKには何度も煮え湯を飲まされた。彼らは取材費は無尽蔵な上 に、中央電視台と組んで、こちらを妨害するのだ。源流の湖では、NHKが先に入って、我々には撮影許可を出さないよう工作までしていた。
まさか中国の奥地に行って、同胞から背中を切られるとは思いもせず、同行したプロデューサーは悔し泣きした。NHKに物量作戦でかなうわけないじゃないか-そう慰めながらも、僕も腹が立って仕方がなかった。
NHKが中華人民共和国とつるんで日本や日本人に不利益な行動をするというのは、なにも最近突然始まったことではない。少なくとも20年以上も前から、このような卑劣極まりない行為をやっていたのだね。
NHKは一旦は解体し再編したほうが良いのじゃないか。